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ビル管理士試験は難しい?合格率や合格基準、合格するための学習の方法も解説
公開日:2022年9月6日 更新日:2024年11月12日
ビル管理士試験は難しい?合格率や合格基準、合格するための学習の方法も解説
ビル管理士試験は難しい?
合格率や合格基準、合格するための学習の方法も解説
ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)の資格を取得するには、毎年1回実施される筆記試験に合格するのが基本的な方法です。
この他に講習を受けて取得する方法もありますが、講習期間が15~20日間と長く、平日も含まれることから、働きながら受講するのはなかなか難しいのが現実です。
そのため、多くの方が試験合格による取得を目指しますが、試験の実施が年1回のみであり、合格率も10~20%台と決して高くないため、しっかりとした対策を取り本番に臨むことが重要です。
そこで本記事ではビル管理士試験の難易度や、合格するための学習方法などについて詳しく解説します。
最終更新日:
ビル管理士とは
ビル管理士とは正式名称を「建築物環境衛生管理技術者」といい、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(通称ビル管法)により、特定建築物で選任が義務づけられた国家資格です。
特定建築物に選任されたビル管理士は、環境衛生上の維持管理に関わる業務を担当することになります。
主な業務としては以下の通りです。
- 管理業務計画の立案
- 管理業務の指揮監督
- 建築物環境衛生管理基準に関する測定または検査結果の評価
- 環境衛生上の維持管理に必要な各種調査の実施
建物のオーナーが自ら選任のビル管理士となり、業務を担当する場合もありますが、ビル管理会社などへ業務委託するケースも増えています。
ビル管理士の合格率と合格基準
試験によりビル管理士の取得を目指す方は、まずは試験の合格率や合格基準を知っておくことが大切です。
以下の3点は必ず頭に入れておきましょう。
合格率は10~20%台
ビル管理士の試験合格率は年によって変動がありますが、おおよそ10~20%台で推移しています。
以下に過去10年間の受験者数、合格者数、合格率をまとめます。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2012年(平成24年) | 10,599人 | 3,467人 | 32.7% |
2013年(平成25年) | 9,441人 | 1,000人 | 10.6% |
2014年(平成26年) | 10,095人 | 2,335人 | 23.1% |
2015年(平成27年) | 9,827人 | 1,861人 | 18.9% |
2016年(平成28年) | 10,394人 | 2,956人 | 28.4% |
2017年(平成29年) | 10,209人 | 1,387人 | 13.6% |
2018年(平成30年) | 11,096人 | 2,339人 | 21.1% |
2019年(令和元年) | 10,146人 | 1,245人 | 12.3% |
2020年(令和 2年) | 9,924人 | 1,933人 | 19.5% |
2021年(令和 3年) | 9,651人 | 1,707人 | 17.7% |
過去データを見ると、合格率が高かった年の翌年は落ちる傾向にあることがわかります。
この傾向は過去10年よりさらに前の年を見ても表れており、ビル管理士試験の一つの特徴といえるでしょう。
また、受験者数はおおむね1万人前後で推移しています。
過去10年間では人数に大きな変動はありませんが、2000年以前は8000人未満の受験者数であったことから、ビル管理士の需要は以前より増加傾向にあると考えられます。
合格基準は得点率65%以上
試験問題全体の得点率が65%以上であることが合格基準となっています。
ビル管理士の試験問題は合計で180問あるので、117点が合格するための最低得点です。
国家試験の多くは得点率60%以上を合格基準とすることが多いため、ビル管理士の得点率はやや厳しい条件といえます。
また、問題数が非常に多いことから、簡単な問題から設備管理のベテランでも解けないレベルの難問まで、さまざまなタイプの問題が出る傾向にあります。
科目ごとの得点率40%以上
ビル管理士の試験は7つの科目が出題されます。
合格するためには、これらの科目の得点率40%以上でなければなりません。
もし1科目でも40%を下回ってしまうと、たとえ試験全体の得点率が65%以上であったとしても、不合格になってしまいます。
特に「建築物の構造概論」と「ねずみ、昆虫等の防除」は、例年、出題数が15問と非常に少なく、10問落とせば不合格となるため注意しなければなりません。
このように試験全体での得点率と科目ごとの得点率の両方を満たす必要がある点が、ビル管理士の難易度を高めている理由といえるでしょう。
なお、合格条件は過去10年以上、上記の条件で実施されていますが、今後変更する可能性もあります。
合格を目指す方は、常に同一の条件とは考えず、試験を受ける前に必ず確認するようにしましょう。
ビル管理士の難易度
ビル管理士の合格率は10~20%台と決して高くなく、合格に必要な得点率に厳しい基準があることから、難易度は高い資格といって良いでしょう。
しかし、国家資格の中にはビル管理士以上に難関な資格もたくさんあります。
また、ビル管理に関する他の資格と比較してどの程度の難しさなのか、把握しておくことも重要です。
ビル管理に関わる資格では難しい部類
ビル管理の仕事ではさまざまな資格が必要とされています。
一定規模以上の建物では資格所持者でなければ扱えない設備や、法律によって選任が義務づけられている場合が多いためです。
たとえばビル管理会社の設備員として働く人は、ビルメン四点セットと呼ばれる以下の資格の取得を推奨されます。
- 第二種電気工事士
- 2級ボイラー技士
- 危険物取扱者乙種4類
- 第三種冷凍機械責任者
ビル管理士の資格はビルメン四点セットの試験と比較して合格率が低く、試験範囲が広いなどの理由から、難易度は高めと考えられています。
また、受験資格として2年以上の実務経験が必要であることも取得のハードルを上げている点です。
しかし、ビル管理の仕事に関係する方であれば、資格の価値は非常に高いといえます。
特定建築物で選任が義務づけられているうえ、建物の構造・設備の仕組み、清掃や害虫駆除などビル管理の仕事に必要な知識が幅広く得られることから、試験学習で得た知識が直接実務で活かせます。
なお、ビル管理士と同時または取得後に目指す資格として候補になるのが「電験三種(第三種電気主任技術者)」です。
電験三種は「電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安の監督ができる資格」であり、事業用電気工作物を扱う企業(または個人)は電気主任技術者の選任が義務づけられています。
ビル管理士では、ビル管理の仕事に必要となるほとんどの知識を吸収できますが、電気設備に関しては出題の対象となっていないため、キャリアアップに加え、知識を補完する目的で取得を目指す方も多いです。
ただし、電験三種はビル管理士以上に難易度が高い資格です。
また、試験問題はビル管理士とはまったく毛色が異なり、共通する内容はほとんどありません。
さらに複雑な計算問題が多く出題されるため、ビル管理士とは違った試験対策が必要です。
そのため、ビル管理士と同時期に試験によって取得を目指すのは、事前に知識のある方でなければ、相当な努力が必要であると考えておきましょう。
合格率は年によって大きな変動がある
ビル管理士の合格率は比較的広い範囲で推移しています。
国家資格には相対評価方式の試験もありますが、ビル管理士は絶対評価の試験で毎年合格点が固定されているため、試験の難易度によって平均点が変わりやすいことが、変動が大きい理由の一つとされています。
また、前述した通り、過去データの推移を見ると合格率が高かった年の翌年は低下する傾向にあります。
つまり反対に捉えれば、数値が低かった年の翌年は、合格率が上昇する可能性が高いと考えられます。
これは前年で惜しくも不合格になった方が再受験したことで、全体の合格者数が増加している可能性も考えられますが、試験問題自体が易化したという印象を持つ方も多いようです。
逆に合格率が高かった後の年は、問題が難化する傾向にあります。
実際に過去問を解いてみると、こうした傾向も読み取れるでしょう。
以上のことから、ビル管理士の試験合格を目指す場合、前年の合格率のチェックは重要なポイントといえます。
試験範囲が広い
ビル管理士は以下の7つの科目から出題されます。
- 建築物衛生行政概論
- 建築物の構造概論
- 建築物の環境衛生
- 空気環境の調整
- 給水及び排水の管理
- 清掃
- ねずみ、昆虫等の防除
合計で180問が出題され、試験時間は午前と午後に分かれるため、筆記試験としては、長丁場の試験といえます。
建物の設備管理を経験している方であれば、比較的イメージしやすい内容になっていますが、実際に空調や給排水設備などを見たことのない方にとっては、とっつきにくい印象を受けるでしょう。
また、構造概論や清掃の科目は、設備管理の仕事に携わっている方でも、あまり経験できない内容が多いため、他の科目より理解に時間を要する可能性があります。
ビル管理士の学習時間と学習方法
ビル管理士の試験合格を目指すためには、どのような対策を取っていけば良いのか、学習時間や方法を中心に解説します。
テキスト・過去問を繰り返す
ビル管理士は筆記試験になるので、テキストを読み、過去問をはじめとした問題集を繰り返し解くことが、基本的な学習方法です。
ビル管理士は過去問と類似した問題や、選択肢や言葉を少し変えただけの問題が出題されるケースも多いため、過去問学習は確実に効果のある方法です。
合格を目指すのであれば、直近5~10年分は解き、すべての問題を理解できるくらい学習することをおすすめします。
暗記問題が多いのも特徴なので、覚えるべき事項はしっかりと暗記することが大切です。
また、問題数は少数ですが、計算問題も出題されます。
しかし、おおよそパターン化されている問題が多いため、過去問を繰り返し学習すれば、計算が苦手な方でも十分に対策できるでしょう。
実際に現場で設備を見る
ビル管理士の試験では、空調・給排水・建築などの設備の仕組みに関する問題が多く出題されます。
そのため、現場で設備機器を見た経験のある方でなければ、イメージがつきにくいでしょう。
ビル管理会社に勤務している方であれば、テキストや過去問で学習しつつ、理解が難しい分野は現場で実際に設備機器を見て覚えることをおすすめします。
特に理解が難しい分野としてあげられるのが、空調や給排水設備に関する科目です。
空調や給排水は建物の規模などによってさまざまな方式がありますが、テキストを読むだけではイメージするのが難しく、試験の得点率も低い傾向にあります。
したがって、実際に現場の設備を見て理解を深めておけば、他の受験者と差をつけられる分野といえるでしょう。
通信講座などを受講する
近年、ビル管理士の試験対策用の教材が多数販売されています。
通信講座が受講できる教材は、市販されているテキストなどより割高にはなりますが、独学での学習よりも効率アップが期待できます。
通信講座の場合、ネット環境が整っていれば時間や場所を問わず受講できる点が大きなメリットです。
パソコンやスマホを活用すれば、忙しい社会人の方でもスキマ時間を使って効率的に学習できるでしょう。
ビル管理士の試験では、テキストを読んだだけでは理解が難しい問題も多く出題されるため、体系的に学ぶためには講座の受講がもっとも有効な手段といえます。
したがって、独学での学習に自信のない方や、とにかく効率的な学習をしたい方は、こうした教材の利用をおすすめします。
まとめ
ビル管理士の資格はビル管理業界で勤務している方にとって、非常に価値の高い資格です。
試験範囲が広く、合格率も決して高くありませんが、試験問題は暗記によって解ける問題も多いことから、真剣に学習すれば決して合格できない試験ではありません。
特に実際に設備現場で働いている方は、現場の設備を目で見て覚えることをおすすめします。
また、時間に余裕のある方は講習による資格取得も方法の一つと考えて良いでしょう。
ぜひ計画的な学習をして、ビル管理士の取得を目指してみてください。
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