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第二級デジタル通信(DD第三種)とは?難易度と合格率、合格するための勉強方法を紹介
公開日:2022年7月27日 更新日:2023年5月1日
第二級デジタル通信(DD第三種)とは?難易度と合格率、合格するための勉強方法を紹介
第二級デジタル通信(DD第三種)とは?
難易度と合格率、合格するための勉強方法を紹介
工事担任者は、AIやIoTなどに普及により通信容量が増加の一途を辿っていることから、代替されにくく、むしろ需要が伸びる資格と言えます。
今回は、そんな工事担任者資格の中でも、第二級デジタル通信(DD第三種)にフォーカスして、「難易度」「合格率」「勉強方法」など多岐にわたって解説していきます。
目次
最終更新日:
第二級デジタル通信(DD第三種)とは
電気通信の「工事担任者」の試験は、電気通信事業法第73条の規定により行われる国家資格試験になります。
第二級デジタル通信(DD第三種)の資格者証を有する方が、自ら工事又は監督することができる端末設備等の接続に係る工事の範囲は、次の赤枠の範囲の通りになります。
デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(接続点におけるデジタル信号の入出力速度が毎秒1ギガビット以下であって、主としてインターネットに接続するための回線に係るものに限る)。
ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。
工事担任者の資格は、表1に示す通りに5種類あります。
その中の1Gbps(ギガビーピーエス)以下のデジタル工事のインターネット接続工事が第二級デジタル通信(DD第三種)になります。
第二級デジタル通信(DD第三種)は、文系・理系やこれまでの経歴に関係なく受験可能な国家資格試験になります(この理由が、以下の文面を眺めて頂ければご理解頂けると思います)。
大切な事は、受験する気持ち(モチベーション)の維持及び合格できるという気持ちになります。
表1 工事担任者の資格一覧【出典:総務省ホームページ】
横にスワイプで左右にスライドできます。
資格区分 | 工事範囲 |
---|---|
第一級アナログ通信 | アナログ回線及びISDN(Integrated Services Digital Network、サービス総合デジタル網)回線に端末設備等を接続するための工事全て |
第二級アナログ通信 | 1回線のアナログ回線及び基本インターフェースが1回線のISDN回線に端末設備等を接続するための工事 |
第一級デジタル通信 | デジタル回線(ただしISDN回線を除く)に端末設備等を接続するための工事(以下「デジタル工事」という。)全て |
第二級デジタル通信 | デジタル工事の内、1Gbps(ギガビーピーエス)以下のインターネット接続工事 |
総合通信 | アナログ回線及びデジタル回線に端末設備等を接続するための工事全て |
第二級デジタル通信(DD第三種)の工事・監督の範囲のイメージは、図1に示す通りになります。
図1 責任分解点の図
【出典:総務省Webサイト】
シンプルに表現すると使用者側の設備であり、ビルや建物等の中のデジタルのインターネット接続工事になります。
また、令和3年4月1日に工事担任者規則が改正されました(表1の通りに資格の種類が再定義されました)。
我が国のインターネットにおけるトラヒック(=通信の量)の集計結果を図2に示します。
図2 我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計結果(2021年5月分)
【出典:総務省Webサイト】
コロナ禍によるトラフィックの変化も含まれていますが、2010年以降のトラフィックが著しく増加していることがわかります。
この結果は、工事担任者のラインセンス保持者の人財の必要性が日増しに高まっていることを意味しています。
工事担任者の資格取得のメリット
近年の情報化の流れはめざましく、その根幹を支えている電気通信インフラの構築・維持・管理等になくてはならない人財がまさに、工事担任者になります。
その活躍が期待されているばかりでなく、有資格者を求める求人も多くあります。
能力・知識・技術の証明
工事担任者として要求されるスキルを有していることが証明することが、国家資格を通してなされます。
そのために、社内での評価の向上・顧客から信頼向上・昇進・転職など幅広く活用できることになります。
実際の現場ではどんな作業をする?
現場で従事する職務は、主に次の3点になります。
- 工事の実施又は実地の監督
- 端末設備の機能確認試験等
- 端末設備等を事業用ネットワークに接続するときの責任分界点における技術基準適合性の確認
工事担任者は、端末設備等を事業用ネットワークへ接続する工事や調整作業、通信線を配線する工事などがあります。
加えまして、工事担任者は、事業用ネットワークに端末設備等の接続が良好に行われるよう担保する責任を負うため、接続工事の実施又は実地の監督等の職務を誠実に行う必要があります。(電気通信事業法第 71 条第2項)。
勉強方法はどうすれば効果的?
私が登壇する講習会において会場のお客様に『勉強はすきですか?』とお尋ねすると、圧倒的多数のお客様が『勉強は好きでない』とお答えになります。
私も全く同じ感情であります。
とはいっても勉強や研究などの知的活動から回避できない場合があります。
そこで、私も実践している方法であり、米国パデュー大学のカーピック博士等の研究成果をご紹介します。
カーピック博士等の実験
- 4グループに分けて各自に40個のスワヒリ語を暗記(インプット)させる
- 暗記した結果の確認テストを行う
- 再学習(インプット)
グループAとグループCは40語全部を再学習 → 学習時間:大
グループBとグループDにはテストで間違った語だけを再学習 → 学習時間:小 - 再テスト(アウトプット)
グループAとグループBには40語全部をテスト
グループCとグループDには間違った語だけをテスト - 3.と4.と全問正解するまで繰り返す
1週間後に再テストした結果は、次の通りとなった。
- グループAとグループBの平均点は80点
- グループCとグループDの平均点は35点
この実験結果からグループBが最も短時間且つ効果的な学習方法になります。
この考え方を整理してみます。
次の赤枠の1.2.3.を通して学習時間の短縮化を図ります。
また、2.3.を繰り返すことにより知識のアウトプットが安定化し得点が自然と上昇していきます。
効果的な学習方法のまとめ
- その分野を専門的に扱っている講習会あるいはweb教材等を通して知識(インプット)
- 実際にご自身で過去問をトライ(アウトプット)
- 過去問の間違っている部分のみを対象に解説等で確認(インプット)
この方法では、2.に初めてトライした場合、点数が低くモチベーションの低下を招くばかりでなく、再学習範囲が広すぎると疑問に思われるかもしれません。
私が常々、過去問に対する不正解が多い場合は、まずは取り組みやすい部分や興味がある部分のみの再学習だけで十分と、お伝えしています。
これを進めていけば、徐々に不正解が減少して点数が上昇していきます。
これまでの話の流れから、1.の講習会等のインプットの後は、実はアウトプットが大切になってきます。
このアウトプットの方法を誤ると時間の浪費になり、合格に到達しないことになります。
(グループCとグループDの学習方法が不合格になりやすい学習方法であり、グループBが効果的な学習方法になると考えられます)
第二級デジタル通信(DD第三種)は難しい?
試験は、3科目(①電気通信技術の基礎、②端末設備の接続のための技術及び理論、③端末設備の接続に関する法規)になります。
なお、合格率は、表2に示す通りになります。
3科目を一度に合格を目指す場合は、合格率が20[%]前後になります。
ところが、科目合格を含めた場合の全体の合格率は、2倍となり、40[%]前後に達します。
この科目合格の有効期間は、科目合格した試験が行われた月の翌月の初めから起算して3年間になります。
表2 第二級デジタル通信(DD第三種)の合格率
この合格率をもう少し深堀していきたいと思います。
比較的合格率が高くない最大の理由は、試験の出題範囲が広すぎるために試験勉強範囲が広いことにあります。
理想的には、試験範囲を網羅することがベストになろうかと思います。
しかし、多くの方が、勉強時間を生み出すためにご苦労されていると思います。
そこで、次の3つの戦略で、短期間合格という成果を最優先していきます。
より深い知識等は、OJT(On the Job Traning)等を通して、実務で補強していく手立てもあろうかと思います。
- 試験勉強範囲の絞込み
- 試験勉強範囲の理解内容のレベルの割切り
- 得点源の確実な確保
試験勉強範囲の絞り込み
具体的に試験勉強範囲の絞り込みは、過去問を分析して、過去問の範囲を重点的に学ぶ方法が挙げられます。
加えて、過去問の中でも、類似問題が毎年出題される場合があります。
これは、資格者が身につけておくべき重要な知識であるからこそ、類似問題が毎年出題されています。
このように、過去問を通して、敵を知ることが大切になります『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』。
”彼を知り”は、まさに、講習会等の活用がお薦めになります。
試験勉強範囲の理解内容のレベルの割切り
試験問題を解く時に、ご自身の現時点での知識や経験のバックグランドを把握すると同時に、その試験問題の解法にある一定の割り切りを設けることが学習時間の短縮と学習効果を高めるコツになります『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』。
”己を知れば”は、まさに、ご自身による過去問の活用による学習がお薦めになります。
得点源の確実な確保
必ず得点可能な得点源を確保することが大切になります。
多くの問題が三択であるために、答えがわからない問題も残らずマークすることにより、正解になることが期待されます。
ここで、分からない問題の得点を上げるマーク方法は、三択であるならば、ずばり1、2、3のどれかに固定してマークすることで答えが不明な問題の得点を確実に上げることができます。
確実な得点は、最低50点ほどをめざせれば、おおざっぱに半分程度の得点ができれば、統計的には前述のマーク法を適用することで60点をクリアできる方が増えてきます。
そのため、はじめの勉強開始時には、ハードルを下げて、半分くらい解けるようになることを目指すと気持ちが楽になると思います。
マークシートの特徴から、実は、ゼロ点は絶対にありません。
三択の問題であるならば、統計的な観点で知識ゼロの状態であっても100点満点中33点を獲得できることになります。
さらに、気持ちが楽になり、受験してもいいかという気持ちになりませんか?
計算問題が多いけど、どうすればいいの!?
計算問題は、いわゆる学校での物理や数学の解き方や勉強をしないといけないなどはありません。
大切なことは、どのような手段を使ってもよいので、答えに到達することなのです。
極論になりますが、物理や数学の勉強なしでも、答えに到達すれば問題ないことになります。
実は、前述のアプローチであっても、最終的には物理や数学の知識が自然と体得されていきます。
最大のポイントは、資格試験を受験される方やエンジニアの方の多くが、数学者や物理学者を目指している訳ではなくて、答えが欲しいと考えていると思います。
数年に渡り毎回出題されている ①電気通信技術の基礎で出題されている問題を例として確認してみます。
この問題は、交流回路であり(この例題ではコイルとコンデンサの回路)、一見すると難解で難しそうです。
しかしながら、次の基本的な電気に関する性質を知ることでこの問題に対処できるようになってきます。
つまり、電気理論を完全にマスターしなくても問題が解けてしまいます。
-
回路素子は、抵抗とコンデンサ・コイルの2種類に分類
(例えば、抵抗とコンデンサは分類が異なるから足し引きできないので直角三角形で計算) -
コンデンサとコイルは逆の電気的な性質
(例えば、コンデンサとコイルは分類が同じであるから、加減算で計算) - 最後にオームの法則
【出典:一般財団法人 日本データ通信協会】
この問題の場合は、コイルとコンデンサのみですので、加減算(=足し算や引き算のこと)で端子aから端子bまでのインピーダンスZ(交流回路の電気抵抗の意味合い)は、
となります。
この段階で、回路全体のインピーダンスと電圧が数値として確定しています。
そのために、図3のオームの法則で回路に流れる電流を計算することできます。
オームの法則は、下図の通りに表されます。つまり、求める電流Iは、
となります。
図3 オームの法則
いきなりオームの法則が出てきました。
ところで、法則は、”ある物事と他の物事との間に一定の関係がある”ものを指しています。
つまり、多くの場合の法則は、ある入力した量に対して、出力のある量が現れるといった関係にあり、
なぜ、そのような出力の量が得られるかの根本原理は、不明である場合が多いのです。
そのために、なぜなぜと追求すると答えが得られないとう状況に陥ります。
初めは、そのようなものとして割り切ってしまうこともスピード学習のポイントになります。「習うより慣れよ」です。
前述のオームの法則は、実は体積の問題に帰着できて、数ページで解説することができる少ない事例になります。
このあたりは、別の機会に詳しく書かせて頂きます。
加えて、次の電気の直角三角形の辺の比率を覚えておけば、類似問題の多くに対応できるようになります。
実は、交流回路は、プラスマイナスと時間とともに値が変化しており、その波形は三角関数であるsin(サイン)あるいはcos(コサイン)で表されます。
ところが、多くの計算問題が、瞬間の電圧等に関する出題がありません。
そのために、前述の56ボルトとは、実効値と呼ばれる量になります。
実効値で表すことで、乾電池と同じ直流回路と同等の手順で計算ができます。
こればかりか、三角関数等の数学の計算から解放されます。
話が長くなりましたが、前述の1.2.3.の手順と足し算と引き算、掛け算、割り算のみで電気の計算問題が解けます。
加えて、この考え方の延長線上に共振回路等の考え方も同様に理解することができるようになります。
もう一つ論理演算やベン図などの問題が、例年出題されています。
このような論理演算とかベン図とか数学用語が登場すると諦めることは、とても勿体無い話と思います。
この出題分野は、ポイントを抑えれば解答に到達することができるからです。
これも日常シーンでよくある話になります。
例えば、会議のメンバーの日程を決める際にAND(アンド)をとると言ったりしませんか?
このANDをとるとは、まさに論理演算なのです。
この論理演算をどのように計算しているかについて、説明します。
AND演算は、現実の世界では、スケジュールが空いている日程を探すことに対応しています。
まず、次の通り定義してみます。
スケジュールが 空いている |
1 (=True =真) |
---|---|
スケジュールが 空いていない |
0 (=False =偽) |
このようにルールを決めて、会議のメンバーが全て1となっている場合を選択しています。
これが、実は論理演算のANDになるわけです。
このように論理演算・ベン図・ブール代数は、日常の生活シーンから理解することができます。
加えて、日常生活の中の雨水が流れる側溝の水の流れをイメージすることで、電圧・電流・インピーダンスを理解することができます。
消費電力やエネルギーの量についての公式を覚えることなく日常のシーンからなんとなくイメージすることができます。
このあたりは、別の機会に詳しく書かせて頂きます。
お伝えしたいことは、計算問題は、日常的なシーンのイメージからなんとなくイメージすることができて、
公式を全て覚えなくても、万が一試験の時に公式を忘れてもなんとなる方法もある、ということです。
このように必要最低限のルールをマスターしていきながら、次の上位資格を目指される際に、さらにステップアップしていけばよいと思います。
このようなことから、これまで数学・物理などが障壁であった方も、思った以上に答えに到達できると実感いただけると思いますので、引き続き、お付き合いを頂ければ幸いであります。
また、工事担任者の試験科目は、3科目あります。
端末設備の接続のための技術及び理論や法令になります。
これらの科目の専門用語や機器の動作等に係るトピックや法令の勉強方法などは、別な機会に触れていきたいと思います。
第二級デジタル通信(DD第三種)を習得して求められる人材へ
工事担任者資格は更新義務や失効の無い終身資格です。
しかしながら、電気通信分野の技術の発展は極めて早いものであるため、既存の技術が陳腐化する場合があります。
ただし、工事担任者のみが技術変革の荒波にある訳ではなく、技術関連職は新たな技術の場に置かれることが多く、常に新しい知識の吸収が必要になってきます。
このようなことから、常に新しい知識・技術の修得・維持向上のための自己研さんをされる方は、業界では貴重な人財となります。
『新しいことにチャレンジされる方』や『新しいことが好きな方』などアグレッシブな方にもってこいの国家資格です。
まとめ
昨今は、AI(人工知能:Artificial Intelligence)やIoT(ものとインターネットの接続:Internet of Things)などネットワークを介した自動化等の潮流にあります。
過去の時代もそうでしたが、機械化により置き換わる同種業態があります。
しかしながら、工事担任者は、その状況が変わる可能が低い職種になると考えます
機械化などで仕事が減少しない。むしろ、増加する職種が工事担任者になります
最後になりますが、このような時代背景の中で、通信の容量は、増加の一途を辿っております。
工事担任者資格の分野は、機械による自動化は難しい分野になると予想されています。
そのため、前述の視点並びに社会の通信の比重の増大の中で、必要不可欠な人財となるであろうと考えます。
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