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ボイラー技士とは?仕事内容や年収、試験の難易度からおすすめの勉強方法まで解説
公開日:2022年4月6日 更新日:2023年3月29日
ボイラー技士とは?仕事内容や年収、試験の難易度からおすすめの勉強方法まで解説
ボイラー技士とは?仕事内容や年収、試験の難易度からおすすめの勉強方法まで解説
ボイラー技士は工場や建物など、現代社会を支える重要な資格です。これから目指そうと考えている方も、多いのではないでしょうか。
資格を目指す上で気になることに、合格率や難易度が挙げられます。ボイラー技士は難しい資格なのでしょうか。
またどのような勉強方法を取れば、合格に近づけるのでしょうか。本記事ではボイラー技士の仕事や資格の内容も含めて、解説していきます。
ボイラー技士とは?仕事内容や年収、資格の特徴を解説
ボイラー技士は、ボイラーに関わる国家資格です。その資格は二級・一級・特級の3種類に分かれています。
本記事ではまず、ボイラー技士の仕事内容や平均年収、級ごとの違いについて解説します。その後、ボイラー整備士との違いにも触れていきます。
ボイラー技士の仕事内容
ボイラー技士は「ボイラー」を扱い、熱を作って供給することが仕事です。供給する熱は、水蒸気や温水が代表的。
ボイラーによる熱は、以下のとおりさまざまな施設で活用されています
- 工場
- 病院
- 学校
- 宿泊施設
- 温浴施設(スーパー銭湯など)
- スポーツクラブ
- オフィスビル
- 地域冷暖房センター
またボイラーを正常に運転するため、日々の点検や管理、修繕もボイラー技士の重要な仕事です。
ところで液体の水が水蒸気に変わると、体積は1,700倍にも膨れ上がります。もし水蒸気がボイラーにとどまったままだと内部の圧力は上昇し、ボイラーが破裂しかねません。そうでなくてもボイラーにひびが入るなど、損傷を起こすおそれもあります。いい加減な仕事をしていると、事故に結びつくおそれがあるため注意しなければなりません。
このためボイラー技士は五感を活用し、正常に動作しているかチェックしなければなりません。少しの異常も見逃さず、適切に対処できる責任感が必要な仕事です。
ボイラー技士の平均年収
ボイラー技士の平均年収は、「求人ボックス」により公表されています。2021年9月9日時点の情報によると、その額は以下の通りとなっています。
項目 | 金額 |
---|---|
正社員の平均年収 | 384万円 |
ボリュームゾーン(最も人数が多い年収額) | 320~376万円 |
出典:カカクコム「求人ボックス 給料ナビ ボイラー技士関連の仕事の年収・時給・給料情報」
これは民間企業の平均年収(436万円)よりも、50万円以上低い数字です。平均額だけ見ると、ボイラー技士は稼げない仕事に見えるかもしれません。しかし給与幅が大きい職種でもありますから、実力を重ねれば平均年収を大きく上回る収入を得ることも可能です。
一級・二級それぞれの違い
二級ボイラー技士の資格があれば、ボイラーを扱うことは可能です。一方でボイラーを扱う職場では、「ボイラー取扱作業主任者」を選任しなければなりません。選任される条件は、資格により以下のように異なります。
有する資格 | 貫流ボイラーのみの職場 | それ以外 |
---|---|---|
二級ボイラー技士 | 伝熱面積が250平方メートル未満 | 伝熱面積が25平方メートル未満 |
出典:一般社団法人 日本ボイラ協会「ボイラーの取扱い管理と作業主任者」
例えば伝熱面積が100平方メートルの蒸気ボイラーを扱う職場では、少なくとも1人は一級、または特級ボイラー技士の資格を持っている必要があるわけです。全員が二級ボイラー技士ですと、ボイラー取扱作業主任者を選任できなくなってしまいます。
なお特級ボイラー技士は、すべての職場でボイラー取扱作業主任者になれます。
ボイラー整備士との違いは?
ボイラー技士とボイラー整備士には、以下のとおり明確な違いがあります。
資格 | 特徴 |
---|---|
ボイラー技士 |
|
ボイラー整備士 |
|
ボイラーを運転する仕事に就きたい場合は「ボイラー技士」、ボイラーを整備する仕事に就きたい場合は「ボイラー整備士」の資格を取る必要があります。どのような仕事に就きたいかという点も踏まえて、資格を選びましょう。
特にボイラー整備士の場合は試験に合格できても、資格を取るまでの条件が限られています。このため職業訓練校に入校する、仕事をしながら資格を取ることも視野に入れるとよいでしょう。
この点、二級ボイラー技士は実務経験の代わりに「ボイラー実技講習の受講」を選べます。そのため、独学でも資格を取得可能です。
ボイラー技士の難易度
試験を受ける際に、合格率や難易度は気になるものです。ここからは危険物乙4(危険物取扱者乙種4類)との比較も含めて、どの程度の難しさか解説していきます。
ボイラー技士の合格率と難易度
二級ボイラー技士の合格率は、以下の通りです。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和2年度 | 16,098人 | 9,400人 | 58.4% |
令和元年度 | 25,192人 | 12,803人 | 50.8% |
平成30年度 | 25,601人 | 14,297人 | 55.8% |
平成29年度 | 27,393人度 | 15,609人 | 57.0% |
平成28年度 | 27,211人度 | 15,919人 | 58.5% |
引用:日本建設情報センター「二級ボイラー技士 資格試験ガイド」
受験者のうち、5割から6割弱の方が合格しています。しっかり準備を行えば、合格できる試験といえるでしょう。この点で、難易度は高いとはいえません。
また令和2年度の一級・特級ボイラー技士の合格率は、以下の通りです
- 一級ボイラー技士:50.9%
- 特級ボイラー技士:29.1%
特級ボイラー技士は原則として一級ボイラー技士が、一級ボイラー技士は原則として二級ボイラー技士が受ける試験です。この点を考えると、それなりに難しい試験といえるでしょう。
ボイラー技士と危険物乙4はどちらが難しい?
ボイラー技士と危険物乙4は、どちらが難しいのでしょうか。ここでは試験そのもの、受験しやすさや資格の取りやすさに分けて解説します。また難しい試験にはそれなりの価値があることにも触れていきます。
試験自体はボイラー技士のほうが難しい
危険物乙4と二級ボイラーを比較した情報のなかには、合格率を根拠に危険物乙4のほうが難しいとするものもあります。確かに合格率は以下のとおり、二級ボイラー技士のほうが高くなっています。
試験の種類 | 令和2年度の合格率 |
---|---|
二級ボイラー技士 | 58.4% |
一級ボイラー技士 | 50.9% |
危険物乙4 | 38.9% |
危険物乙種(乙4以外) | 62.8~70.0% |
危険物丙種 | 53.5% |
危険物甲種 | 37.3% |
引用:公益財団法人 安全衛生技術試験協会「統計」
一般財団法人 消防試験研究センター「試験実施状況」
ここで注目して欲しいポイントは、乙4以外の危険物乙種で6割以上の合格率となっている点です。乙4(乙種4類)は乙種の一部ですから、4類だけ飛びぬけて難しいわけでもありません。
乙4の合格率が低いのは受験者数が多く、受験者層が幅広いためですから、実際の試験レベルは他の危険物乙種と同等と考えられます。この点を踏まえると、ボイラー技士のほうが難しい試験となるでしょう。
合格基準は危険物乙4のほうが厳しい
一方で合格基準は、危険物乙4のほうが厳しめです。
試験の種類 | 合格基準 |
---|---|
ボイラー技士 | 60%以上。但し4科目とも、正答率が40%以上であること |
危険物乙4 | 各科目とも60%以上 |
例えば正答率50%の科目がある場合、ボイラー技士の場合はトータルで6割以上正答していれば合格ですが、危険物乙4では不合格となってしまいます。
危険物乙4はすべての科目にわたってまんべんなく得点する必要があるため、合格基準はボイラー技士よりも厳しいといえます。
試験の受験しやすさや資格の取りやすさは、ボイラー技士のほうが難しい
資格を取る難易度には、試験の受験しやすさも含まれます。危険物乙4は、全都道府県で受験可能。東京の場合は、毎週のように試験日が設定されています。試験会場も便利な場所となる場合が多いです。
一方でボイラー技士は、全国7箇所にある「安全衛生技術センター」での受験が基本です。試験の実施頻度は、最も多い二級ボイラー技士でも月1回程度。また試験会場のアクセスも、良くない場所が多いです。例えば関東の試験会場は千葉県市原市にあり、最寄り駅からバスで20分。全国各地で受けられる「出張試験」もありますが、頻度は東京都を含めて年1~2回と少なめです。
また資格の取りやすさも、見逃せないポイントです。危険物乙4は多くの試験と同様、合格すれば資格を取得できます。一方でボイラー技士は、二級でも実務経験またはボイラー実技講習の受講が必要です。
試験の受験しやすさや資格の取りやすさという観点では、危険物乙4のほうが容易です。
ボイラー技士を取れば、職業選択の幅が広がる
ここまで読んだ方のなかには、「ボイラー技士はいろいろ難しそうだし、やはりやめておこうかな」と思った方もいるかもしれません。しかしボイラー技士を取ると工場やオフィスビル、病院や温浴施設など、ボイラーを使う施設での仕事に就きやすくなります。
これらの仕事は「ボイラー技士」の有資格者が条件となっている場合も多く、その場合危険物乙4の資格だけでは就けません。応募できる仕事を増やせる点で、ボイラー技士は重要な資格です。
そもそも資格は難しいと取得する方も減るため、価値が高まることも見逃せません。ボイラー技士は資格に関連する仕事も多いため、職業選択の幅が広がることは大きなメリットです。
ボイラー技士の将来性
ボイラー技士の将来性は、二級と一級・特級で分かれます。近年では資格が不要な小規模の貫流ボイラーが普及しており、二級ボイラー技士の資格を役立てられる場面は減少しています。「有資格者が必要なボイラーをわざわざ使うためには、それなりの合理的な理由が必要」という観点から考えると、二級ボイラー技士の将来性は明るいとはいえません。
一方で一級や特級で扱うボイラーは、大規模なものになります。工場や病院などの大規模施設では効率的に熱を作る機器として、引き続き使われるでしょう。また近年では高層ビルも増加しており、新たな活躍の場も見込めます。
このため一級や特級ボイラー技士は、将来に期待できる資格です。二級ボイラー技士になった後は実務経験を積み、一級や特級を目指しましょう。
ボイラー技士は二級から取得することをおすすめ
もしあなたがボイラー技士を目指すなら、二級からチャレンジすることをおすすめします。それは単に試験が難しいだけでなく、一級や特級は受験資格の条件が厳しいためです。
いきなり一級ボイラー技士を受験する場合、以下のどれかに該当しないと申し込みすらできません。
- 大学や高等専門学校、高校、専門学校でボイラーに関する学科を履修し、1年以上の実地修習を経験した方
- エネルギー管理士(熱)免状を持っており、1年以上の実地修習を経験した方
- 海抜士(機関1級~3級)免許を受けた方
- ボイラー・タービン主任技術者(1種又は2種)免状、または汽かん係員試験に合格しており、伝熱面積の合計が25平方メートル以上のボイラーを取り扱った経験がある方
出典:公益財団法人 安全衛生技術試験協会「一級ボイラー技士」
はじめから特級ボイラー技士を受ける場合は実地修習が2年以上、海抜士3級や汽かん係員試験は対象外というように、さらに条件が厳しくなります。
これに対して二級ボイラー技士は、誰でも受験できます。二級の免許を持つ方は一級を受験でき、一級の免許を取れば特級の受験資格が得られます。加えて二級の免許は試験合格に加えて、ボイラー実技講習を受けることで取得可能。実務経験が無い方でも問題ありません。
このためボイラー技士を目指す方は、二級から始めましょう。二級→一級→特級と、順番にステップアップすることをおすすめします。
ボイラー技士試験に合格するための勉強方法
ボイラー技士に合格するには、さまざまな勉強方法があります。ここからはよく選ばれがちな独学について、メリットとデメリットを解説します。その後、独学以外の勉強方法を選んだほうが良いケースについて触れていきます。
独学のメリット・デメリット
独学には、多くのメリットがあります。だからこそ選ぶ方も多いわけです。しかし独学で合格を勝ち取るためにはデメリットもしっかり把握した上で、メリットを活かせるように学習を進めなければなりません。
独学のメリット
独学の代表的なメリットには、以下の項目が挙げられます。
- 思い立ったときにすぐ始められる
- 深夜や休日など、好きな時間で勉強できる
- 教材が安価。お金をかけられない方でも学習を進められる
- 複数の教材を併用できる。いろいろな専門家の意見を吸収できる
ご自身のスケジュールに合わせて、また理解度に応じて学習を進められることが魅力です。試験対策にあまりお金をかけられない方でも、勉強できることもメリットに挙げられます。
独学のデメリット
一方で独学には以下のとおり、見逃せないデメリットもあります。
- スケジュールは自分でコントロールする意志の強さが必須。途中で諦める方も多い
- 筆者や編集部に質問ができない、あるいは回答までに時間を要する場合が多い
- 合格まで年月を要する場合がある
独学で合格できるかどうかは、ご自身の頑張りや「合格する」といった強い意志が重要です。1回で合格できるとは限らないため、長い期間にわたって努力を重ねなければならない場合もあります。またわからない点は自分で解決しなければならない点も、デメリットの1つです。
忙しい、必ず合格したいという方は、独学を避けたほうがよい
もしあなたが以下の状況に置かれているならば、独学は避けるほうが無難です。
- 日々の仕事が忙しく、勉強できる時間を十分に取れない
- 1回で合格する必要がある
- 勉強にかけられる期間が短い
このような方には多少の費用を払ってでも、最短の時間で効率よく学べる方法がおすすめです。WebやDVDを使った通信講座は、代表的な方法に挙げられます。
日本建設情報センターが提供する「二級ボイラー技士」講座では、合格することに的を絞った教材を提供。WebやDVDを用いた学習で、五感を活用し効率的に学べます。忙しい方でも、最少の努力で合格を勝ち取れるノウハウを提供いたします。講座を上手に活用することで、スキルの向上と職場での評価アップにつなげることが可能です。
社会を支えるボイラー技士。あなたもぜひチャレンジしよう
ボイラー技士は、現代社会を支える重要な資格です。有資格者は工場やオフィスビルなどの大規模施設において、引き続き活躍することが期待できます。
また資格そのものも、しっかり準備すれば合格可能なことが特徴です。まずは二級からチャレンジするとよいでしょう。活躍の場を広げるためには二級にとどまらず、一級や特級を目指すことをおすすめします。
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