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技術士第一次試験(機械部門)を独学で合格するには?最短で合格するための学習方法を紹介
公開日:2022年7月28日 更新日:2023年3月29日
技術士第一次試験(機械部門)を独学で合格するには?最短で合格するための学習方法を紹介
技術士第一次試験(機械部門)を独学で合格するには?
最短で合格するための学習方法を紹介
技術士になるための第一の関門は、技術士第一次試験に合格することです。
このコラムでは、機械部門の第一次試験に独学で合格するための学習方法を紹介します。
最終更新日:
技術士とは
技術士制度は、「科学技術に関する技術的専門知識と高等の応用能力及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた優れた技術者」を育成するための国家資格です。
つまり、「①高度な技術的知識と応用能力」、「②豊富な実務経験」、「③高い技術者倫理」を兼ね備えた国家が認定した技術者です。
上記の①~③の能力は、全ての技術者に必要な要素であることが容易に理解できます。
つまり、技術士は全ての技術者、研究者等にとって有用な資格だと言えます。
技術士には、下表に記すように20の技術部門があります。
表 技術士の20の技術部門
機械部門 | 船舶・海洋部門 | 航空・宇宙部門 | 電気電子部門 |
化学部門 | 繊維部門 | 金属部門 | 資源工学部門 |
建設部門 | 上下水道部門 | 衛生工学部門 | 農業部門 |
森林部門 | 水産部門 | 経営工学部門 | 情報工学部門 |
応用理学部門 | 生物工学部門 | 環境部門 | 原子力・放射線部門 |
※総合技術監理部門(第二次試験のみ実施、第一次試験は当分の間実施されません。)
出典:日本技術士会Webサイト(2022年3月28日閲覧)
機械部門の技術士は、機械設備、各種機器の開発、設計、製造、生産技術等を行う広い範囲の技術者に適した資格です。
技術士第一次試験の概要と試験科目
技術士第一次試験の試験科目、試験内容などを次の表にまとめます。
試験科目 | 試験の内容 | 試験の方法 | 試験時間 | 合格ライン |
---|---|---|---|---|
基礎科目 |
科学技術全般にわたる基礎知識を問う問題 1.設計・計画に関するもの 2.情報・倫理に関するもの 3.解析に関するもの 4.材料・化学・バイオに関するもの 5.環境・エネルギー・技術に関するもの |
5肢択一マークシート式 1〜5の分野から各6問(計30問)出題され、各分野から選択し、合計計15問に回答する |
1時間 | 50%以上の得点(8問以上正解) |
適性科目 | 技術士法第4章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性を問う問題 |
5肢択一マークシート式 合計15問出題され、その全てに解答する |
1時間 | 50%以上の得点(8問以上正解) |
専門科目 | 20部門の中から、受験者があらかじめ選択する1技術部門に係る基礎知識及び専門知識を問う問題 |
5肢択一マークシート式 35問出題され、そのうちの25問に解答する |
2時間 | 50%以上の得点(13問以上正解) |
出典:飯島晃良著、らくらく突破技術士第一次試験[基礎科目・適性科目]過去問マスター解説集、技術評論社(2022)
一次試験は、次の3科目で構成されます。
(1)基礎科目
科学技術全般にわたる基礎知識(次の5分野に分かれる)
- 設計・計画に関するもの〔設計理論、システム設計、品質管理等〕
- 情報・論理に関するもの〔アルゴリズム、情報ネットワーク等〕
- 解析に関するもの〔力学、電磁気学等〕
- 材料・化学・バイオに関するもの〔材料特性、バイオテクノロジー等〕
- 環境・エネルギー・技術に関するもの〔環境、エネルギー、技術史等〕
回答方法は5肢択一のマークシート方式で、1~5の各分野から各6問、合計30問出題されます。
各分野の6問から各3問選び、合計15問に解答します。
合格ラインは、正答率50%以上(8問以上正解)です。
(2)適性科目
技術士法第4章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性が問われます。
回答方法は5肢択一のマークシート方式で、15題出題されます。
15題の問題全てに解答し、正答率50%以上(8問以上正解)が合格ラインです。
(3)専門科目
20の技術部門のうち、あらかじめ選択する1技術部門に係る基礎知識及び専門知識が問われます。
回答方法は5肢択一のマークシート方式で、35問出題されます。
この中から25問に解答します。
合格ラインは正答率50%以上(13問以上正解)です。
以上のように、(1)基礎科目、(2)適性科目、(3)専門科目 のそれぞれで合格ラインを超えるように、バランスの取れた学習を計画的に行うことが大切です。
機械部門の出題項目
一次試験 専門科目の技術部門
技術士第一次試験の専門科目は、以下の20の技術部門から1部門を選択して解答します。
表 技術士第一次試験専門科目の技術部門
出典:日本技術士会Webサイト(2022年3月24日閲覧)
機械部門の専門科目
この中で、機械部門の専門科目について出題項目を詳しく見ていきましょう。
機械部門の出題項目は、上記の表に示されるように、
「材料力学,機械力学・制御,熱工学,流体工学」の4科目が掲げられています。
この4科目は、いわゆる機械系四力学(機械力学、材料力学、熱力学、流体力学)が基本であることを意味します。
また、技術士第一次試験の内容は、「大学のエンジニアリング課程修了程度」とされています。
多くの大学の機械系学科では、上記の機械系四力学は、2年生及び3年生の前期ごろまでに学ぶものだと考えられます。
ただし、技術士第一次試験機械部門の出題範囲は、機械系四力学だけではありません。
出題科目をよく見ると、例えば「機械力学・制御」には、制御工学が含まれます。
熱工学には、「伝熱工学」や「燃焼」等が含まれます。
機械部門で出題される主な具体的科目名を以下にまとめます。
専門科目の範囲 | 具体的な科目名 |
---|---|
材料力学 | 材料力学 |
機械力学・制御 | 機械力学,振動工学,制御工学 |
熱工学 | 工業熱力学,伝熱工学 |
流体工学 | 流体力学・水力学 |
つまり、「技術士第一次試験の機械部門で出題される分野の教科書は?」と質問されたら、それは以下の教科になります。
- 材料力学
- 機械力学(振動工学を含むテキストの場合、振動工学のテキストは不要)
- 振動工学(基礎的な内容が出題される)
- 制御工学(基礎的な内容が出題される)
- 工業熱力学(簡単な燃焼計算が出る場合もある)
- 伝熱工学(基礎的な内容が出題される)
- 流体力学(または水力学)
なお、振動工学、制御工学、伝熱工学からの出題はいずれも基礎的なものであり、これらの科目の基本的事項を押さえておくことが大切です。
学習の進め方と必要な学習時間
出題傾向の分析が重要
専門科目の学習法として、「過去問徹底演習」を強くお勧めします。
過去問徹底演習とは、過去問を解けるようになるだけでなく、その問題を完全に理解して解けるようにすることです。
つまり、過去問題の類題が出たら必ず正解できるレベルまで理解を深めることです。
この理由は、技術士第一次試験の専門科目では、過去に出題された問題の類題が数多く出題されるためです。
一例として、令和元年度の問題を分析した例を以下に記します。
令和元年度の35問の出題は、材料力学から10問、制御工学から4問、振動工学から6問、工業力学から2問、熱力学から5問、伝熱工学から1問、流体力学から7問が出題されました。
合計35問から25問を選んで解答します。
仮に、上から問1~問25を選んだとすると、上記の表の黄色のセルの問題に解答することになります。
合格ラインは正答率50%です。
つまり、黄色のセルの問題の内、青のセル(仮に問1~問13に正解したとします)で示す13問に正解すれば合格ラインを超えます。
いかがでしょうか。
35問出題されますが、正解しなければならない問題数は13問です。
出題範囲の内、得意科目を中心に解答することが重要になってきます。
上記の例では、極端な話、材料力学と制御工学がパーフェクトであれば、合格します。
熱工学(伝熱工学含む)と流体工学がパーフェクトであれば、合格します。
また、黄緑色のセルで示すように、過去問題の類題が複数題出題されています。
H〇〇-〇〇同一と記された問題は、過去問題と同じ問題(ほぼ同じ問題含む)が出題されています。
上記の令和元年度を例にすると、35問中19問が類似または同一の問題になっています。
つまり、過去問をしっかり理解していると、自然と合格ラインを超える問題数に正答できるようになります。
以上の理由から、過去問徹底演習を強くお勧めします。
一次試験の学習時間
学習時間は、その方の習熟度によってさまざまだと思います。
過去問題を7年分くらい理解するまで繰り返し演習をすることが重要です。
分からない問題は、教科書を開いて基礎から学ぶ必要があると思います。
仮に、過去問題1年分の演習に2週間かけたとします。
その場合、7年分を実施するには3~4か月必要です。
平行して、基礎科目と適性科目の学習も同様に過去問演習を中心に進めていくことになります。
テキストと過去問題の使い方
- 過去問題7年分
- 市販の過去問題の解説書(基礎科目・適性科目)
- 市販の過去問題の解説書(機械部門専門科目)
- 専門科目の教科書(材料力学、機械力学・制御、熱工学、流体工学)
1は日本技術士会Webサイトから無料でダウンロードできます。
技術士第一次試験過去問ダウンロード(日本技術士会Webサイト内)
ただし、1には解説は示されていません。
限られた時間で学習するには、2や3の市販の過去問解説書を入手することをお勧めします。
まずは、1で問題を解いて、3を使いながら分からない問題の解き方・考え方を学んでいきます。
3の解説を読んでも分からない事項は、4の専門科目教科書を読んで基礎から理解をします。
これらを繰り返すことで、確実に力をつけるに尽きます。
お勧めのテキスト
独学で受験をすることを想定して、お勧めのテキストを以下に挙げます。
(1)基礎科目・適性科目の過去問解説集
(2)機械部門専門科目の過去問解説集
(3)その他
必要に応じて、専門科目の教科書を準備すると良いでしょう。
押さえるべき項目とポイント
機械部門の専門科目を攻略するために必要な重要事項を次に記します。
材料力学の対策
材料力学は出題数が多いので、重要な得点源になります。
主に次の項目が出題されます。
- はりの問題(せん断力、曲げモーメント、傾斜、たわみ)
- 熱応力
- 棒のねじり
- 組み合わせ応力
- 薄肉容器
- トラス
- 座屈
過去問演習を通じて内容を理解しましょう。
過去問の解説では分からない事項については、材料力学の教科書を読んで理解しましょう。
機械力学・制御の対策
機械力学は、特に振動工学の分野からの出題が多いことが特徴です。
制御工学は、出題範囲が限られているので比較的対策しやすいと言えます。
主に次の項目が出題されます。
- 基本的な振動モデルの振動
- ブロック線図
- 伝達関数
- システムの安定性判定
過去問の解説で分からない事項については、機械力学、振動工学、制御工学の教科書を読んで理解しましょう。
熱工学の対策
熱工学では、熱力学の基礎的事項、熱機関のサイクル、冷凍サイクル、伝熱工学など、比較的広い範囲から出題されます。
主に次の項目が出題されます。
- 熱力学の基本事項
- 熱サイクル
- 冷凍サイクルの成績係数
- 燃焼計算
- 平板の熱伝導または熱通過
- 円筒の熱伝導または熱通過
- 熱移動に関係する無次元数
過去問の解説で分からない事項については、工業熱力学、伝熱工学の教科書を読んで理解しましょう。
流体工学の対策
流体工学では、連続の式、ベルヌーイの式(エネルギー保存則)、運動量保存則、無次元数などの出題が多い傾向にあります。
主に次の項目が出題されます。
- 流体の基本用語
- ベルヌーイの式
- 連続の式
- 運動量保存則
- 無次元数と相似則
- 境界層
- 基本の流体機械
過去問の解説で分からない事項については、流体力学や水力学の教科書を読んで理解しましょう。
独学のサポートに通信講座の利用を
技術士第一次試験では、「基礎科目」「適性科目」「専門科目」の全てにおいて正答率50%以上でなければ合格できません。
そのため、受験者は広い範囲の学習を効率的に進める必要があります。
特に、基礎科目と適性科目は、出題される範囲が極めて広いため、独学で学ぶには時間を要します。
そこで、基礎科目・適性科目の通信講座を利用して効率的に学ぶことで、その分専門科目の対策に時間をさけるようになります。
まとめ
以上、技術士第一次試験(専門科目は機械部門)の出題傾向と対策法について説明しました。
繰り返しになりますが、過去問マスターが合格への近道です。
過去問演習を通じて一歩一歩、確実に力をつけて合格を勝ち取りましょう。
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