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石綿特別教育と作業主任者の違いとは?カリキュラムや受講方法について解説
公開日:2024年7月30日 更新日:2024年7月30日
石綿特別教育と作業主任者の違いとは?カリキュラムや受講方法について解説
石綿は健康被害をもたらす危険性があるので、取り扱う際には細心の注意が求められます。石綿の使用された建築物や工作物での解体作業する際には、特別教育もしくは作業主任者技能講習を受講しなければなりません。石綿を取り扱う場合、どちらのカリキュラムを受講すれば良いのかわからない人もいるでしょう。そこでここでは特別教育と作業主任者技能講習の違いや各種カリキュラム内容などについて解説します。
目次
特別教育と作業主任者講習
石綿を取り扱う作業を担当するためには、特別教育もしくは作業主任者講習を受講しなければなりません。これは法律で定められていることで、受講していないものが作業すると罰則規定もあるので、注意してください。
特別教育を受講修了すれば石綿取扱作業従事者に
特別教育とは、危険もしくは有害な業務に労働者をつかせる際に受けさせなければいけない教育プログラムです。安全を確保するために必要な知識や技能を学ぶのが目的です。石綿を取り扱う場合でも特別教育を受けなければなりません。
特別教育は所定のカリキュラムを受講すれば、問題ありません。また、修了試験なども課されません。特別教育を受講すれば、石綿取扱作業従事者になれます。石綿を扱う作業に従事することができるわけです。
作業主任者技能講習は石綿作業主任者になるためのカリキュラム
作業主任者技能講習は、石綿作業主任者になる人が受講しなければならないカリキュラムです。作業主任者とは、ただ従事するのではなく現場を指導する立場に当たります。現場の作業員に指示や指導する立場に立つためには、先に紹介した特別教育を履修したものよりも豊富な知識やスキルが要求されます。
さらに現場作業員の指導だけでなく、機器のメンテナンスや安全対策なども担当します。このため、特別教育よりも高いレベルのプログラムを受講しなければなりません。
石綿作業主任者と石綿取扱作業従事者の違い
石綿作業主任者と石綿取扱作業従事者では、立場が異なると思ってください。石綿取扱作業従事者とは、石綿を取り扱う場面で作業する人を指します。石綿の使用された建築物や工作物、船舶の解体作業をする際には特別教育を受講しなければなりません。作業をする人は全員、特別教育を受ける必要があります。
石綿作業主任者は石綿作業従事者の上司や監督のような立場になると考えてください。作業従事者が安全に作業できるように方法の選定や指導、監督を担当します。その他にも廃棄・換気設備など関連する設備のメンテナンスや、何か起きた場合の退避指示なども役割の一つです。
石綿作業主任者は作業員を指導する立場を担うものが受講すれば問題ありません。現場の作業員が全員受講する必要もありません。
石綿作業主任者の講習は特別教育よりも広範にわたる内容を履修する必要があります。またカリキュラムを受講すれば良い特別教育と違って、修了試験を受けて合格しなければ石綿作業主任者を務めることはできないので注意してください。
特別教育と作業主任者講習のカリキュラム
特別教育と作業主任者講習は、担当する立場が異なります。そこでカリキュラムの内容も違ってくるので、どのようなことを学ぶのかについてここで見ていきましょう。
特別教育のカリキュラム
特別教育で受講すべきカリキュラムを表にしてまとめると、以下の通りです。
科目 | 時間 |
---|---|
石綿の有害性 | 0.5時間 |
石綿の使用状況 | 1時間 |
粉じん発散抑制のための措置 | 1時間 |
保護具の使用方法 | 1時間 |
その他石綿のばく露防止に関する必要事項 | 1時間 |
合計 | 4.5時間 |
特別教育は学科のみのカリキュラムになります。実際に作業を担う人が対象なので、安全に作業する方法についてメインで学ぶ形になります。
なぜ石綿が危険なのか、ばく露の防止や対処法などについて学習します。また特別教育では、必要最低限の事項について学べるようなカリキュラムになっています。このため、合計で4.5時間と短めです。
作業主任者講習のカリキュラム
作業主任者講習のカリキュラムについてまとめると、以下のようになります。
科目 | 時間 |
---|---|
健康被害とその予防措置に関する知識 | 2時間 |
作業環境の改善方法に関する知識 | 2時間 |
保護具に関する知識 | 4時間 |
関係法令 | 2時間 |
合計 | 10時間 |
特別教育と比較して、その内容をさらに深く追求するようなカリキュラムになっています。防護具に関する知識では、防護マスクなど現場で実際に使用するものを使った講義も実施されます。
作業主任者になるには修了試験合格が必須
作業主任者講習も学科のみのカリキュラムですが、特別教育と違って修了試験が実施されます。20~25問の出題で、三者択一式の試験です。時間は1時間で行われます。
全科目の得点が60%以上が合格基準です。プラス各科目の正答率が40%以上を満たさないといけないので、まんべんなく理解度を深める必要があると思ってください。試験当日中に合否判定を通知する教育機関も見られます。
石綿取扱作業従事者特別教育と作業主任者講習の受講方法
石綿を取り扱う作業を担当するためには、特別教育を受講することが義務付けられています。では特別教育はどこで受講すれば良いのかについて見ていきましょう。いくつかの選択肢があるので、自分たちに合った方法で受講してください。
会場へ受講に出向く
石綿特別教育は作業する人間はすべて受講が義務付けられています。このため、多くの団体や企業で講義を開催しています。日本各地で開催しているので、最寄りの会場を探してみると良いでしょう。
作業員に会場に行ってもらって受講してもらうだけなので、事業所は何も準備する必要がありません。しかも直接講師の指導が受けられるので、わからないことはその場で確認できるので理解度も深められます。
ただし事業所の所在地によっては、近くに開催している会場がない場合もあるでしょう。遠方の会場まで足を運んでもらう必要があり、作業員の負担が大きくなります。移動時間も含めると1日つぶれてしまう可能性もあり、業務に支障をきたす恐れもあることは認識しておきましょう。
CICでもいくつかの会場で作業主任者講習を実施しています。年間通じて随時講習を実施しているので、都合に合わせて受講が可能です。
事業所に講師を招く
講師の方を事業所に招いて講義してもらう方法もあります。講師の派遣サービスを行っているところもありますので、こちらを活用しましょう。
講師を事業所に招いて、あとは講義をお任せするだけなので法人の負担はあまり大きくありません。しかも事業所で講義を実施するので、作業員の移動時間も最小限に抑えられます。
ただし派遣サービスを受けるためには条件があることも注意しましょう。受講者が少ない場合には派遣を断られる可能性もあります。数十人単位で受講できる大手なら問題ありませんが、数人単位の中小の事業者はサービス利用できない恐れがあるので、注意してください。
オンライン講座の受講
オンラインで受講する方法もあります。パソコンもしくはスマホで受講して、オンラインにて学習する方法です。パソコンやスマホとインターネットに接続できる環境があれば、だれでも受講できる手軽さが魅力です。従業員も自分の好きなタイミングで自由に受講できるのも魅力です。
ただし従業員がきちんと受講して、その内容を理解できているか確認できない恐れがあるので注意しましょう。従業員が受講内容を理解できているか、この問題にWeb講座を提供している側がどう対処しているかについて確認しておきましょう。
まとめ
建物や船舶の解体作業で、石綿を取り扱うことは十分考えられます。石綿を扱うのであれば、特別教育を受講しなければなりません。
また現場の作業員を指導する作業主任者になるためには、作業主任者技能講習を受講し、さらに修了試験に合格する必要があります。各従業員にどのカリキュラムを受けさせるべきか、慎重に判断してください。