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足場の業務をしている人の資格の種類と取得の方法を解説

公開日:2024年6月3日 更新日:2024年9月9日

足場の業務をしている人の資格の種類と取得の方法を解説

足場の業務は高所での作業が多く、非常に高いリスクを伴います。足場は、工事現場などで組まれるものです。足場での作業は、高所からの転落や墜落といった常に命に関わる危険にさらされています。

足場の業務をしている労働者の安全を確保するためには、足場に関する資格の取得が必要です。足場の資格にはいくつかの種類が設けられており、業務や立場によって取得が義務づけられているものもあります。

この記事では、足場の業務をしている人の資格の種類と取得方法について詳しく解説します。


CIC足場の組立て等作業従事者特別教育




目次

足場の業務をしている人の資格の種類

足場と青い空

足場の業務をしている人の資格はいくつかあります。足場の組立てや解体等の危険な環境で作業をしている人は、足場の資格の種類を知っておくことが大切です。

  • 足場の組立て等作業従事者特別教育
  • 足場の組立て等作業主任者
  • 足場の組立て等作業主任者能力向上教育
  • 建築物等の鉄骨組立て等作業主任者
  • とび技能士

足場の組立て等作業従事者特別教育

足場の組立て・解体・変更などの作業を行う労働者は、必ず受講しなければなりません。

特別教育を受講していない人は、足場の組立て業務には関わることができず、もし受講せずに足場の組立て業務を行ってしまうと罰則の対象となります。

この資格は試験はなく、特別教育は受講すれば取得可能です。


CIC足場の組立て等作業従事者特別教育

足場の組立て等作業主任者

つり足場、張出し足場又は高さが5m以上の構造の足場の組立て・解体又は変更を行う現場で指揮監督を行う際に必要な資格となっています。

労働安全衛生法に定められた国家資格です。

足場の組立て等作業主任者技能講習を修了すれば取得できます。

この講習を受講するには、以下のどちらかの資格が必要です。

  • 足場の組立て・解体又は変更に関する業務を3年以上従事している
  • 土木、建築、造船に関する学科の専攻・卒業しており、足場の組立て・解体又は変更に関する業務を2年以上従事し経験している

足場の組立て等作業主任者能力向上教育

足場の組立て等作業主任者を取得したら、キャリアアップのために能力向上教育を受講し資格を取得することになります。

労働安全衛生法では作業主任者の資格保持者にはこの能力向上教育の資格も取得するように定められています。

作業主任者能力向上教育の資格を取得するために必要な条件は、以下のとおりです。。

  • 足場の組立て等作業主任者の資格を取得してから5年経過していること
  • 能力向上教育を受講してから5年以上経過していること

建築物等の鉄骨組立て等作業主任者

建築物の骨組み又は塔であって、高さ5m以上である金属製の部材によって構成されるものの組立て・解体又は変更の作業において労働災害の防止等を行う指揮監督者に与えられる資格です。

この講習を受講するには、以下のどちらかの資格が必要です。

  • 建築物等の鉄骨組立て等の業務に3年以上従事している
  • 土木、建築に関する学科の専攻・卒業しておりその後2年以上建築物等の鉄骨組立て等の業務に従事し経験している

とび技能士

とびに関する技能を認定する資格となっており、職業能力開発協会が実施しています。とび作業の段取りや仮設の建築物の組立て・解体、掘削、士留めや地業などのとびに関する能力の認定を行うものです。

とび技能士の資格は1~3級までの階級があり、実技試験が伴います。

次章より各資格の講習について詳しく説明いたします。

足場の組立て等作業従事者特別教育

ノートパソコンを操作する男性

建設現場で足場の組立て業務を行う人は、足場作業という専門職のスキルを身につけています。

足場の組立て等の作業は常に大怪我や命の危険にさらされている危険な業務です。だからこそしっかりと知識と技術を得て自分自身を守る必要があります。

足場の組立て等作業従事者特別教育は、足場の作業を行う全ての労働者が取得しなければいけない基本的な資格です。特別教育を受講することで、足場の組立て等作業に従事することができるわけですから、まずはこの特別教育から取得しましょう。

資格の内容

足場の組立て等作業従事者特別教育は、足場の作業員として基礎的な知識や現場で役に立つ技術を身につけることができる内容となっています。

講習の主な内容は次のとおりです。

  • 足場の設置・撤去方法
  • 安全管理
  • 事故防止

講習のカリキュラム

CICのWeb講座では、カリキュラム・講座内容は、安全衛生教育等規定第22条(足場の組立て等の業務に係る特別教育)に基づき実施しています。

科目・範囲 講習時間
足場作業に関する知識 3時間43分
工事用設備、機械、器具作業環境の知識 43分
労働災害の防止について 1時間40分
関係法令 1時間10分
合計7時間17分

講習の費用

足場の組立て等作業従事者特別教育の講習の費用は、実施する機関や地域によって異なりますが、目安としては1万円から2万円程度となっているようです。

ちなみにCIC日本建設情報センターの顔認証付きWeb講座の受講料は、10,000円(税込11,000円)となっています。

講習が免除される場合

すでに足場の組立て等に関する資格を保持している者や経験のある者は、足場の組立て等作業従事者特別教育が免除されるケースがあります。

  • 足場の組立て等作業主任者技能教育を修了済
  • 建築施工系とび科の訓練(普通職業訓練)を修了済
  • 居住システム系建築科または、居住システム系環境科の訓練(高度職業訓練)を修了済
  • とび科1級または2級の技能検定合格者
  • とび科の職業訓練指導員免許保持者

申請手続き

地域や実施機関によって費用やカリキュラムの時間などに多少の違いがあります。


CIC足場の組立て等作業従事者特別教育

足場の組立て等作業主任者

マンション工事の足場組立

足場の組立て等作業主任者の資格は、取得するのに3年以上の実務経験が求められます。また資格取得後も5年おきに「能力向上教育」を受講する必要もありますし、資格取得するには修了試験に合格しなければいけません。

それは、足場の組立や解体作業をする者を監督する責任を要するためです。監督者として安全な業務環境の確保、労働災害の防止等を目指すための知識や技術が必要となります。

講習の内容

資格の講習内容は、安全対策や関連法令について学びます。具体的には安全で効率的な建設現場を作り維持するかという、知識やスキルを身につけるものです。

講習のカリキュラム

足場の組立作業主任者を取得するためには、約12時間から14時間程度の講習を受講する必要があります。

取得済みの資格や実務経験によっては免除される科目があります。

免除がない場合で、受講できる条件は次のどちらかに該当する者となります。

  • 満21歳以上で足場作業に3年以上従事した経験のある者
  • 満20歳以上で、大学、高専、高校、中学において土木、建築または造船に関する学科を専攻した者で、その後2年以上足場作業に従事した経験のある者
科目・範囲 講習時間
学科1日目 作業の方法に関する知識 7時間
学科2日目 工業用設備、機械、器具、作業環境などに関する知識 3時間
作業者に対する教育などに関する知識 1時間30分
関連法令 30分
学科試験 1時間
合計13時間

講習の費用

足場の組立て等作業主任者の資格取得の費用は、実施する機関や地域によって異なりますが、目安としてはおよそ2万円程度となっているようです。

講習が免除される場合

足場の組立て等作業主任者の資格取得でも、一部の講習が免除されるケースがあります。

  • とび科の訓練を修了した者
  • とび科技能検定1級・2級合格者
  • とび科の職業訓練指導員免許保持者

足場の組立て等作業主任者能力向上教育講習

記入するビジネスマン

労働安全衛生法および関係法令で、事業者は足場の組立て等の作業について作業主任者を選任し能力向上教育を受講させるように通達が出されています。

厚生労働省では多発している墜落・転落災害を受けて労働安全衛生規則の改正が図られました。(平成21年6月1日)

  1. 足場からの墜落防止措置等の充実
  2. 足場の安全点検等の充実

改正に伴い足場等の組立て・変更時の点検実施者につき当該講座を受講していること及び十分な知識・経験のある者を指名することが求められています。

また事業者は一定期間(概ね5年)ごと、または機械設備に大幅な変更があった折には、当該講座を再受講することを規定されました。

講習の内容

足場の組立て等作業主任者能力向上教育の講習は、最近の足場について管理・安全な作業方法と正しい足場の組み立てや保守管理などの技能の再教育を目的とした講習です。

講習のカリキュラム

足場の組立て等作業主任者能力向上教育の講習は約7時間程度となります。

科目 範囲 講習時間
最近の足場、部材等及びそれらの選択と管理
  • 足場、部材等の特徴
  • 部材等の選択と管理
1時間
足場の組立て等の安全施工と保守管理作業管理
  • 足場の強度計算の方法
  • 組立て等の基本的事項と留意事項
  • 組立て後の保守管理
4時間
災害事例及び関係法令
  • 災害事例とその防止対策
  • 労働安全衛生法令のうち足場の組立て等に関する条項
2時間
合計 計7時間

講習の費用

足場の組立て等作業主任者能力向上教育の講習の費用は、実施する機関や地域によって異なりますが、目安としては1万円から2万円程度となっているようです。

ちなみにCIC日本建設情報センターの通学講座は13,000円(税込14,300円)、顔認証付きWeb講座の受講料は10,000円(税込11,000円)となっています。

受講対象

作業主任者のみを対象とした講座です。作業主任者講習を修了してからの経過年数については問いません。

建築物等の鉄骨組立て等作業主任者

ビル建設現場での足場組立作業

建築物等の鉄骨組立て等作業主任者というのは、高さが5m以上で金属製の部材によって組立てを行う現場で、監督・安全指導する者のことです。

講習の内容

作業方法に関する知識や工業用設備、工事用設備・機械・器具に関する知識など、建築物等の鉄骨組立て等作業主任者に必要な知識を学びます。

講習のカリキュラム

建築物等の鉄骨組立て等作業主任者を取得するためには、約12時間程度の講習を受講する必要があります。

科目・範囲 講習時間
学科1日目 作業の方法に関する知識 5時間
工業用設備、機械、器具等に関する知識 1時間30分
学科2日目 作業環境等に関する知識 1時間30分
作業者に対する教育等に関する知識 1時間30分
関係法令 1時間30分
修了試験 1時間
合計12時間

講習の費用

受講料は、10,000円(税込11,000円)程度です。受講する講習機関によって費用は異なります。

講習が免除される場合

取得済みの資格や実務経験によっては免除される科目があります。

免除がない場合で、受講できる条件は次のどちらかに該当する者となります。

  • 満21歳以上で足場作業に3年以上従事した経験のある者
  • 満20歳以上で、大学、高専、高校、中学において土木、建築または造船に関する学科を専攻した者で、その後2年以上足場作業に従事した経験のある者

とび技能士

職人

とび技能士とは、とび工事に必要な技能・知識を認定する国家資格です。資格区分は1級・2級・3級試験は学科試験、実技試験が実施されます。

受験資格

  • 1級:7年以上の実務経験が必要
    (2級合格者は2年の実務経験、3級合格者は4年の実務経験が必要)
  • 2級:2年以上の実務経験または3級合格者
  • 3級:年齢・学歴は関係なく誰でも受験可

とび技能士の試験内容

建築物等の鉄骨組立て等作業主任者足場を取得するには以下の試験に合格する必要があります。

  • 1級・2級
    実技試験:とび作業
    学科試験:真偽法・多肢択一式:1時間40分
    施工法、材料、建築構造、関係法規、安全衛生
  • 3級
    実技試験:とび作業:2時間
    枠組、単管および木製足場板を使用して、枠組応用登り桟橋の組立てを行う
    学科試験:真偽法:1時間
    施工法、材料、建築構造、関係法規、安全衛生

試験の費用

とび技能士の受験費用は以下のとおりです。

  • 学科試験:3,100円
  • 実技試験:18,200円

試験が免除される場合

実技試験か学科試験のどちらかに合格した者は、次回以降受験する場合には不合格になった試験のみ受験すればよい。

足場の資格を取得する際の勉強方法

足場の資格を取得する際の勉強方法は、主に以下の3つです。

  • テキスト・問題集を活用する
  • 講習会を受講する
  • オンライン講座を受講する

ここからは、それぞれの内容について詳しく解説します。

テキスト・問題集を活用する

テキストや問題集がある資格の場合、活用することで効率よく学習できます。テキストで基礎知識を身につけ、問題集で実践的な知識を身につけましょう。
過去問題集を繰り返し解くことで、実力を高められるだけでなく、出題傾向なども把握できます。

講習会を受講する

資格によっては講習会が開催されることもあります。講習会を受講することで、独学で躓きやすい内容も効率よく進められます。

中でも実技試験がある場合は、独学で理解しづらいといえます。実際に聞いて知識・技術力を得たい方にとっては、積極的に活用したい方法といえるでしょう。

オンライン講座を受講する

資格によってはオンライン講座が設けられているものもあります。オンライン講座は、自宅で効率的に対策できるのがメリットです。

テキストだけで理解できなかった点を理解しやすいため、モチベーションの維持にも役立ちます。自宅や日々のスキマ時間を有効活用したい方にとって、おすすめの方法といえるでしょう。

まとめ

仮設足場の組立

足場の業務をしている人の労働環境は決して安全とは言えません。高所での作業が多く常に命の危険にさらされているといっても過言ではない環境です。

自分自身を守るための安全性の確保、作業の効率化などによって足場の作業にはいくつかの資格が設けられています。

それぞれが自覚をもち高い意識で従事することの大事さを学び、また次世代へと受け継いでいかねばなりません。

この記事でご紹介した内容を参考に、自分に適した足場作業に関する資格の取得を目指してみてください。


CIC足場の組立て等作業従事者特別教育

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