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アーク溶接等特別教育とは?概要から受講方法までやさしく解説!

公開日:2024年7月19日 更新日:2024年7月19日

アーク溶接等特別教育とは?概要から受講方法までやさしく解説!

アーク溶接は製造業や建設業界など、さまざまな業種の現場で使用されています。おもに金属を強固に接続するときに使用されるため、現場作業では欠かせない重要な工程になります。しかし、正しい使用方法でなければ事故が起きることもあり、アーク溶接に従事する作業員は、アーク溶接等特別教育を受講することが義務付けられているのです。今回は、アーク溶接等特別教育について詳しく紹介します。


CICアーク溶接等の業務に係る特別教育




目次

アーク溶接について

アーク溶接

アーク溶接は、アーク溶接機を使用して電気エネルギーを空気中の放電現象(アーク放電:以下で解説)に変え、そのときに発生する熱で、金属の溶接を行う溶接方法です。製造業や建設業など幅広い業種で行われる溶接方法です。アーク溶接は、溶接棒(またはワイヤ)が溶ける「消耗電極式(溶極式)」の溶接と、溶けない「非消耗電極式(非溶極式)」の2種類に大別できます。

アーク溶接とは?

アーク溶接のメカニズムは、「アーク放電」という電気的現象を利用して溶接する作業です。アーク放電とは、気体の放電現象の一種で、空気中に発生する電流のことです。空間的で離れた2つの電極に電圧をかけると、2つの電極の間に電流が発生し、電流の発生と同時に強い光と高い熱を発生します。

このとき発生する光を「アーク」といい、アークの高熱を熱源として利用する溶接方法が「アーク溶接」です。アークの温度は約5,000℃~20,000℃で、鉄の融解温度は約1,500℃ですから、金属も高温になり溶け込んで接合されます。しかし、高温であり高電圧のため、感電災害や爆発や火災などの重大な災害が発生する危険性があります。これらの事故や災害を防止するため、事業者はアーク溶接の業務に就かせる労働者に対し、特別教育の実施が義務付けられているのです。

アーク溶接の対象業種

アーク溶接は最も一般的な溶接技術で、さまざな金属を溶接することが可能で、幅広い分野で使用されています。たとえば、机や椅子などの家庭用用品やオフィス用品から、自動車メーカー・修理工場・鉄道車両工場・造船業・航空機メーカー・建設業などで、アーク溶接の技術が活かされています。この他にも金属加工の業務ではなくてはならない、必須の技術です。

アーク溶接はじめ溶接の市場ニーズ

アーク溶接をはじめ、ガス溶接にスポット溶接など、溶接は金属を接合する技術で、「モノづくり」の基礎といえます。溶接は金属材料どうし、つなげたい部分を高熱で溶かしながら接合するのです。その技術は大型小型の金属を問わず、だまざまな現場で使われています。

また、家庭で使われる家電製品の内部の端子の接続でも溶接が使われ、住宅の鉄骨をつなげる場合にも溶接技術が使用されます。それだけ、溶接は重要な役割を担っています。このように、アーク溶接は、多くの製造現場や建設現場で広範囲に行われる作業であるため、一度技術を習得すると生涯役に立つといわれるのです。また、作業現場が多いだけに、有資格者は多方面からニーズがあります。では、特別教育はどのような内容で実施されるのか、アーク溶接等特別教育の概要について次章で解説します。

アーク溶接に特別教育が必要な理由

アーク溶接に特別教育が必要な理由

アーク溶接は危険がともなう作業だけに、人が原因となる事故やケガは避けなければなりません。アーク溶接機の点検および整備の不良や、取扱い方法の誤りなどが原因して、感電災害・爆発・火災などの重大な災害が発生する可能性があります。このような災害を未然に防止するために、アーク溶接機の適切な点検・整備と、適切な安全装置の使用および、正しい作業方法を学ぶことが必要です。

アーク溶接で起きた労働災害事例

厚生労働省の職場の安全サイトにも、アーク溶接の事故が紹介されています。被災者がアーク溶接作業中に、アークの火花が作業ズボンの裾に引火して燃え広がり、火傷を負い死亡した重大な労働災害です。

災害発生当日の作業内容は、縦横6cmの鉄片にU字型の鉄棒をアーク溶接機にて溶接するもので、被災者が溶接作業を行っていたところ、突然アーク溶接の火花が被災者の作業ズボンの裾に引火し、一気に燃え広がったのです。すぐに被災者の全身に水をかけ消火したのですが、全身火傷で命を落としています。このような事故を避けるためにも、アーク溶接作業者には特別教育が必要です。

受講要件と教育内容

受講要項と教育内容

アーク溶接作業者は、公的機関が実施する試験に合格しなければ取得できないような国家資格ではありません。しかし、アーク溶接作業を行う際は、「アーク溶接等特別教育」という特別教育の修了と修了証が必要です。

受講資格

アーク溶接等特別教育の受講に関しては、学歴や経験などの縛りはなく、満18歳以上であれば誰でも受講可能です。

教育カリキュラム

アーク溶接等特別教育は「学科」と「実技」の2種類です。学科では、必要知識と労働安全衛生法などの関係法令を学び、実技は、アーク溶接装置の取扱いや、アーク溶接などの作業の正しい方法について学びます。なお、アーク溶接の特別教育の必要性は、以下のように法律でも定められています。

(アーク溶接等の業務に係る特別教育)
第四条 安衛則第三十六条第三号に掲げるアーク溶接等の業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行うものとする。
2前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。

科目 範囲 時間
アーク溶接等に関する知識 アーク溶接等の基礎理論 電気に関する基礎知識 一時間
アーク溶接装置に関する基礎知識 直流アーク溶接機 交流アーク溶接機 交流アーク溶接機用自動電撃防止装置 溶接棒等及び溶接棒等のホルダー配線 三時間
アーク溶接等の作業の方法に関する知識 作業前の点検整備 溶接、溶断等の方法 溶接部の点検 作業後の処置 災害防止 六時間

3第一項の実技教育は、アーク溶接装置の取扱い及びアーク溶接等の作業の方法について、十時間以上行うものとする。
(昭四九労告三七・一部改正)

引用:労働安全衛生法第59条第3項/労働安全衛生規則第36条第3号/安全衛生特別教育規程第4条

アーク溶接等特別教育の受講資格

アーク溶接等特別教育の受講資格

この章で、アーク溶接等特別教育の受講資格について、受講するための条件があるのか、さらに詳しく解説します。

資格を習得するための条件

受講するための特別要件はありません。満18歳以上であれば、年齢性別に関係なく誰でも受講可能です。また、アーク溶接等特別教育の難易度については、しっかりと講義を受講すれば理解できる内容です。さらに、アーク溶接等特別教育の講習会のほとんどは、学科講習と実技がセットで開催されるため同時期に受講できます。

そのため、設定された講習期間を休まず受講すれば、原則、誰でも修了可能です。また、特別教育の講習ではテストなどは行われません。あえて差が出るといえば、学科講習よりも実技講習の方が習得に個人差が出る傾向がみられます。

アーク溶接等特別教育はどこで受ける?

アーク溶接等特別教育はどこで受ける?

アーク溶接等特別教育は、各都道府県の労働基準協会が主催する講習会で受講することが可能です。各都道府県には「労働基準協会」が設置されていて、アーク溶接等特別教育の講習も扱っています。ただし、県により特別教育を実施していない場合もあります。そのため、受講を希望する方の地域の労働基準協会が実施しているか、講習会のスケジュールを確認しましょう。

受講方法

他の受講方法として、さまざまな協会が開催する、アーク溶接等特別教育を受講する方法もあります。労働基準協会以外で、技能的な特別教育を専門的に実施している民間機関もあります。このような各種協会が実施する講習会も利用可能です。

そして、最近人気なのがインターネットを利用するWeb講座です。Web講座は、受講する時間も場所も自分で選べ、マイペースで受講できる点が最大の魅力といえます。また、スマホやパソコンでの視聴も可能なため、仕事が終わった時間に学習を進められる点もメリットです。

修了証取得は必要?

アーク溶接等特別教育を実施している講習会場で受講し、すべての過程を修了すると、通常は当日に修了証が交付されます。修了証が交付されると、実際の製造現場や、生産工場や建設現場などで仕事に従事できるのです。また、この資格には有効期限や更新もないため、一生ものになります。修了証を取得しましょう。

まとめ

アーク溶接特別教育のまとめ

アーク溶接等特別教育は、アーク溶接の作業を行うときに必要な資格です。アーク溶接等特別教育を受講することで取得可能な資格だけに、取得をおすすめします。学科と実技講習がありますが、長くても3日間ほどで修了可能です。アーク溶接等特別教育を受講することで、アーク溶接機を使ったさまざまな溶接作業ができるようになり、業務の幅も広がり、自分自身の成長にもつながります。ステップアップやキャリアアップを目指すためにも、アーク溶接等特別教育の取得を検討しましょう。


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