労働安全衛生法改正に伴い、「ストレスチェック義務化」はもちろんのこと、努力義務になる職場環境の改善について知りたい方は多いはずです。
この記事では、「ストレスチェック」が全事業場で義務化すること、高年齢労働者の労働災害防止対策、治療と仕事の両立支援の推進について詳しく解説します。さらに、法改正に対応することによる企業側のメリットなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
更新日:2026年8月28日

労働安全衛生法改正に伴い、「ストレスチェック義務化」はもちろんのこと、努力義務になる職場環境の改善について知りたい方は多いはずです。
この記事では、「ストレスチェック」が全事業場で義務化すること、高年齢労働者の労働災害防止対策、治療と仕事の両立支援の推進について詳しく解説します。さらに、法改正に対応することによる企業側のメリットなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

労働安全衛生法は、人材の多様化に伴い、安全かつ安心な職場環境の整備を促進するために改正が実施されています。
人手不足が進むなか、職場では「外国人労働者」をはじめ、「高年齢労働者」や「治療と仕事を両立する労働者」も増加しており、多様な人材に合った改善対応を行うことが重要となります。例えば、高年齢労働者のために労働災害防止を目的とした作業環境の改善、治療と仕事を両立する労働者のためには職業安定に必要な措置、メンタルヘルス不調の方には医師の面接指導などが求められるでしょう。
労働安全衛生法改正により、公布後3年以内に政令で定める日から「ストレスチェック」が全事業場で義務化されます。
ストレスチェックとは、「ストレスに関する質問票に記入することで、自分のストレスがどのような状態にあるかを調べられる検査」のことです。ストレス状態を認知することで、メンタルヘルス不調の未然防止に必要な対処ができるうえ、高いストレス状態にある場合は医師による面接で助言をもらうことも可能です。
これまでは、労働者50人以上の事業場のみに義務付けられていたストレスチェックや高ストレス者への面接指導ですが、労働安全衛生法改正により、全ての事業場で義務化されることになりました。
全事業場で義務化される「ストレスチェック」実施の流れは、以下のとおりです。
| ストレスチェック実施の流れ | 内容 |
|---|---|
| ステップ1:事業者の導入準備 | 事業者がストレスチェックの実施方針を表明し、実施体制や方法について関係労働者の意見を聞く。そのうえで、実施体制や方法、情報管理などの「社内ルール」を決めて周知する。 実務担当者の選任や委託先の選定、実施時期なども決定する。 |
| ステップ2:ストレスに関する検査 | 委託先の外部機関が配布する調査票を用いてストレスチェックを実施する。 |
| ステップ3:結果を本人へ通知 | 結果は委託先から労働者本人へ、他者に内容が分からない形で直接通知される。高ストレス者と判断された労働者は、申し出により医師の面接指導を受けられる。 |
| ステップ4:ストレスチェックデータの保存 | ストレスチェック結果は、委託先の外部機関で保存されることが推奨されている。 |
| ステップ5:医師の面接指導 | 高ストレス者と判断された労働者から申し出があった場合、事業者は速やかに担当医師と面接指導の日程調整を行う。 面接指導後、事業者は医師から結果に基づいた必要な就業上の措置の内容について意見を聴き、対応可能な措置を講じなければいけない。また、面接指導結果の記録は5年間保存する必要がある。 |
| ステップ6:集団分析や職場環境の改善【努力義務】 | 努力義務として、委託先にストレスチェックデータの集計や分析を依頼し、事業者は分析結果を活用して職場環境のストレス要因の軽減に取り組むことが望まれる。 |
参考:厚生労働省|小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル
外部委託ではなく自社でストレスチェックを実施する場合は、自社内で医師や保健師などの実施者などを選定し、守秘義務に基づく結果の取り扱いが必要になるなどの注意点があります。
法改正による高年齢労働者の労働災害防止対策は令和8年4月1日から施行されています。これは、今後も増加が予想される高年齢者の労働災害発生率を考慮し、高年齢労働者が安全に働ける職場環境の実現を推進するためのものです。
事業者が講ずるよう努めるべき措置には、以下の5つがあります。
| 事業者が講ずべき措置 | 内容 |
|---|---|
| 1.安全衛生管理体制の確立など |
|
| 2.職場環境の改善 |
|
| 3.高年齢者の健康や体力の状況の把握 |
|
| 4.高年齢者の健康や体力の状況に応じた対応 |
|
| 5.安全衛生教育 |
|
参考:厚生労働省|高年齢者の労働災害防止のための指針エイジフレンドリー指針を策定しました、厚生労働省|高年齢者の労働災害防止のための指針
法改正により、令和8年4月1日から職場における治療と仕事の両立支援の推進が事業主の努力義務になります。
両立支援を行うための環境整備には、以下の4つがあります。
| 両立支援を行うための環境整備の種類 | 内容 |
|---|---|
| 1.事業主の方針表明 | 事業主が両立支援に取り組む基本方針を表明し、社内に周知することで治療と就業の両立を実現しやすい職場風土をつくる。 |
| 2.研修などを通じた意識啓発 | 治療と就業の両立支援に関する研修を通して、全ての労働者や管理職に理解してもらい、主体的な行動を促す。 |
| 3.相談窓口の明確化・社内の支援体制の整備 | 労働者が安心して相談や申し出を行えるように、相談窓口や対応手順を整理し、情報の取扱い方法を明確にする。 |
| 4.社内制度(休暇制度・勤務制度)の整備 | 休暇制度や勤務制度を整備し、通勤の負担軽減など治療のための配慮を行うことが望まれる。 |
法改正に対応することによる企業側のメリットには、以下の2つが挙げられます。
こちらでは、上記2つのメリットについて解説します。
法改正に積極的に対応することで、安心して安全に働ける職場を提供できるため、安定した人材確保につながります。
努力義務となる「高年齢労働者の労働災害防止対策」「治療と仕事の両立支援の推進」を進めていくことで、現時点で高年齢の方や治療が必要な方にとって魅力的になる以外にも、「将来的に安心して働ける場所で働きたい」という若い世代へのアピールポイントになるでしょう。
法改正への対応が健康経営につながることも、企業側のメリットといえます。
努力義務である「ストレスチェックデータに基づく職場環境の改善」「高年齢者の身体機能の維持や向上のための取り組み」「病気の治療と仕事の両立の促進に向けた取り組み」などは、健康経営の評価向上につながるでしょう。
この記事では、「ストレスチェック」が全事業場での義務化、高年齢労働者の労働災害防止対策、治療と仕事の両立支援の推進について詳しく解説しました。
法改正にいち早く対応し、多様な社員が安心して働ける職場を築くことは、優れた人材の確保や「健康経営」の推進といった大きなメリットをもたらします。
制度の導入だけでなく、現場のメンタルヘルス対策や安全衛生の意識を高める体制づくりをあわせて進めることが重要です。
また、令和8(2026)年1月1日から段階的に施行される、「労働安全衛生法及び作業環境測定法改正の主なポイント」についても、「【2026年最新】労働安全衛生法改正の全体像と施行スケジュール総まとめ」の記事でまとめていますので、ぜひご確認ください。
CIC日本建設情報センターでは、ストレスチェックの義務化に伴い、経営者、管理者、健康管理に関わる方、セルフケアやラインケアの知識を身につけたい方のために「メンタルヘルス・マネジメント講座」も提供していますので、こちらも併せてご検討ください。
他にも、数々の特別教育・安全衛生教育に関連する講座をご提供しておりますので、一人親方を筆頭とした個人事業者の方もぜひこちらから講座一覧をご確認ください。

【労働安全衛生法改正②】特定自主検査と資格講習が厳格化!機械や化学物質についての変更点を解説

【労働安全衛生法改正①】一人親方の労働災害への備えはどう変わる?混在作業現場での義務を徹底解説

【2026年最新】労働安全衛生法改正の全体像と施行スケジュール総まとめ

建設業の作業環境改善に使える助成金・補助金とは?対象設備や注意点を解説

【2026年】建設業のハラスメント対策を徹底解説!部下へのパワハラを防ぐ環境づくりが重要

【2026年】建設業で起こりやすいパワハラ事例と解決策をご紹介!企業が取るべき防止策や対処法

【2026年】建設業でのコンプライアンス違反対策を解説!企業が守るべき3つの法律

【法務・実務担当者向け】改正下請法(取適法)の要点とは?企業が取るべき5つの対応を徹底解説