施工管理技士合格をアシスト
建設業特化の受験対策
特定化学物質作業主任者とは?能力向上教育を受講する方法について解説
公開日:2024年10月29日 更新日:2024年11月14日
特定化学物質作業主任者とは?能力向上教育を受講する方法について解説
特定化学物質作業主任者は「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了した者の中から選任されます。
作業主任者は労働安全衛生法に定められた国家資格のひとつで、さらに能力を向上させるために設けられた講習が「能力向上教育」です。
この記事では特定化学物質作業主任者の必要性と役割、そして能力を向上させるための講習の受講方法等について解説いたします。
目次
特定化学物質とは
特定化学物質とは、労働者に健康被害をもたらす可能性の高い危険な有害物質として指定されている化学物質のことです。
- 微量の曝露でがん等の慢性・遅発性障害を引き起こす物質(第1類物質、第2類物質)
- 大量漏洩により急性障害を引き起こす物質(第3類物質、第2類物質のうち特定第2類物質)
- 原則的に製造や使用などが禁止される製造等禁止物質
規制方法として作業場の床や壁に使用する材質の指定、関係者以外の立ち入り禁止、作業主任者を選定し管理にあたらせることなどがあります。
特定物質を扱う作業場では、労働安全衛生法によって特定化学物質障害予防規則が制定されており、さまざまな規制が行われています。
特定化学物質作業主任者とは
危険な有害化学物質を取り扱う作業現場には、労働者の安全と健康を管理する者として作業主任者を選任しなければいけません。(安衛法第14条)
特定化学物質作業主任者の講習(学科と実技)を受講し、試験に合格した者が作業主任者としての資格を持てます。
事業者はこの講習を修了した者の中から、特定化学物質作業主任者を選任し配置するのです。
特定化学物質作業主任者の仕事
特定化学物質作業主任者は、作業場において労働者の安全と健康を第一に考え環境を整える必要があります。
そのためには作業現場が常に危険と隣り合わせであることを自覚し、責任を持って臨まなくてはなりません。
また作業員の行動を監視し、改善するための努力を怠ってはならず、労働者に的確な指導を行います。
保護具の使用と管理
保護具は危険な有害物質から身体を守るための大切な道具です。
作業主任者は労働者が正しく装着しているか、把握しておかなければなりません。
保護服のわずかな破損が命取りになる可能性もあります。
また保護服の管理状況についても気をつけておきます。
作業員への指導
危険な有害物質を扱う作業場では些細なことにも注意を払い、労働者の安全を確保しなければいけません。
しかし、作業主任者がそれらすべてを行うことは物理的に難しいため、作業員一人ひとりに自覚を持ってもらうことも大事です。
そのためには作業場でOJTを行うことはもちろんのこと、定期的に勉強会を開くなどをして、それぞれのレベルアップを図ります。
特定化学物質作業主任者の選任
事業者は特別化学物質を取り扱う現場には、資格を持った作業主任者を置かなければいけません。
また特別化学物質作業主任者には常に向上心を持ち、レベルアップを心掛けるようにします。
能力向上教育は作業主任者が常に新鮮な知識を持ち、作業現場に馴れ合うことのないよう定期的な受講が求められます。
レベルの高い作業主任者を配置することが事業所の安全衛生的な環境を守り、事業の発展へと繋がっていくのです。
特定化学物質作業主任者能力向上教育について
特定化学物質作業主任者は、常に新しい情報と感覚を持って業務に就くことが求められます。
そのため作業主任者の資格を持っているからといって、そこで勉強は終わりではありません。
作業主任者として現場を監督し、優れた指導者として業務に携わるなら能力向上教育を受講するのがおすすめです。
受講要件
特定化学物質作業主任者能力向上教育の講習を受講するには、以下の要件が必要です。
- 満18歳以上であること
- 特定化学物質作業主任者技能講習を受講してから5年以上経過していること
- 「特定化学物質作業主任者」の修了証を持っていること
- 修了証に「特定化学物質」「技能講習 修了証」と表示されていること
- 修了証に「都道府県労働局登録教習機関」と表示されていること
修了証は、どこの研修機関でも受講する前に写しを提出し、当日には持参することが求められるため手元に準備しておきましょう。
受講形式
特定化学物質作業主任者能力向上教育の講習は、全国各地の教育機関で実施されています。
CIC日本建設情報センターでは、通学講座や出張講座など受講しやすい形式を選べます。
また通信環境が整っていれば便利なWeb講座で、いつでもどこでも受講可能です。
能力向上教育の受講目的
能力向上教育は受講が必要な講習ではありません。
現在取得している特定化学物質作業主任者資格の知識を、さらに深めたりステップアップしたりするためのプログラムです。
そして世の中の変化に対応し、常に新しい情報と意識を持ち続けることを目的として定期的に行われています。
労働者の健康と安全を守るため常に感覚を磨いておくことは、指導者としての責任ともいえるでしょう。
カリキュラム
特定化学物質作業主任者能力向上教育のカリキュラムは以下の通りです。
科目 | 範囲 | 細目 | 時間 |
---|---|---|---|
作業環境管理 | 作業環境管理の進め方 | ①特定化学物質の取扱いにあたっての安全性の事前評価 ②原材料管理の基礎知識 ③特定化学物質等の貯蔵・保管 ④残さい物が付着した布等の処理 ⑤反応中間生物への対応 |
2時間 |
作業環境測定、評価及びその結果に基づく措置 | ①作業環境測定結果報告書の見方のポイント ②作業環境測定結果の評価に基づく措置 |
||
局所排気装置、除じん装置等の設置及びその維持管理 | ①局所排気装置 ②全体換気装置 ③用後処理装置 ④維持管理 ⑤特定化学設備の保守管理 |
||
作業管理 | 作業管理の進め方 | ①適切な作業方法の決定に当たっての留意事項 | 1時間 |
労働衛生保護具 | ①呼吸用保護具 ②労働衛生保護手袋等 ③保護具保守点検 |
||
緊急時の措置 | ①漏えい、異常反応等けの対処方法 | ||
健康管理 | 特定化学物質等による健康被害の症状 | ①特定化学物質等の有害性 ②特定化学物質等の吸収経路 ③特定化学物質等の標的臓器 |
1時間 |
健康診断及び事後措置 | ①健康診断の基づく事後措置 ②健康管理手帳 ③身体汚染時の処置 |
||
事例研究及び関係法令 | 作業標準等の作成 | ①作業標準の作り方、作成のポイント ②作業標準の周知及び教育 |
3時間 |
災害事例とその防止対策 | ①災害事例とその防止対策 | ||
特定化学物質等に係る労働衛生関係法令 | ①労働安全衛生法 ②労働安全衛生法施行令 ③特定化学物質等障害予防規則(これに基づく公示を含む) |
||
計 | 7時間 |
修了証の発行
特定化学物質作業主任者能力向上教育の受講を修了すると、修了証を発行してもらえます。
CIC日本建設情報センターなら、Web講座なら受講終了後すぐにダウンロード可能です。
また申請すればカードタイプの修了証を郵送することも可能です。
まとめ
特定化学物質作業主任者は労働者の職場環境を整えて、安全で安心な職場作りをすることが求められます。
危険な特定化学物質を扱う作業場において、事故なく安全な日々を過ごすため最善を尽くすのが作業主任者の大きな役目のひとつです。
そのためには常に新しい感覚を持って仕事に従事しなければいけません。
特定化学物質作業主任者の資格があってもそれだけでは、刻々と変化する時代に乗り遅れてしまいます。
特定化学物質に認定される物質や使用する機器などの変化だけでなく、法令の追加事項などにも感覚を研ぎ澄ませておく必要があります。
能力向上教育は必ずしも受講すべき講習ではありませんが、だからこそ自らの強い意思を持ってステップアップしていくことが大切です。