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安全管理者とは?職務や選任要件などについて詳しく解説

公開日:2024年9月25日 更新日:2024年9月25日

安全管理者とは?職務や選任要件などについて詳しく解説

指定された業種で、一定以上の規模となる事業場には、安全管理者の設置が義務付けられています。安全管理者とはどのような役目を負う存在なのか、安全管理者に選任されるための要件はあるのかなど、事業者が知っておくべきポイントを解説していきます。

安全管理者は、労働災害を防ぐという意味でも、非常に重要な役割を果たす存在です。事業者の方は、安全管理者について十分な知識を持ち、最適な人物を選任できるように準備しておきましょう。


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目次

安全管理者とは?

安全管理者とは?

安全管理者とは、設置された事業場における、従業員の安全管理全般に関する職務を担当する役職者です。労働安全衛生法という法律に基づき、一定以上の規模の事業場には設置が義務付けられています。

第十一条事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、安全管理者を選任し、その者に前条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除く。)のうち安全に係る技術的事項を管理させなければならない。

引用元:e-GOV法令検索 労働安全衛生法

設置義務が発生する条件

指定された業種において、常時働く従業員数が50名を超える場合に安全管理者の設置義務が発生します。設置が義務付けられる業種は以下の通りです。

常時の従業員数が50名を超える場合
安全管理者の設置が義務付けられる業種
林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業・製造業(物の加工業を含む)・電気業・ガス業・熱供給業・水道業・通信業・各種商品卸売業・家具/建具/じゅう器等卸売業・各種商品小売業・家具/建具/じゅう器等小売業・燃料小売業・旅館業・ゴルフ場業・自動車整備及び機械修理業

安全管理者は従業員の中から選任され、原則としてはほかの業務との兼任が可能です。そのため、ある程度の役職についている方が選任される傾向にあります。

専任の安全管理者の設置が義務付けられる条件

業種や事業場の規模によっては、他の業務との兼任ではなく、専任の安全管理者を設置しなければならなくなります。専任の安全管理者の設置が義務付けられる業種と条件は、以下の通りです。

条件 業種
常時300名以上の従業員数 ・建設業
・有機化学工業製品製造業
・石油製品製造業
常時500名以上の従業員数 ・無機化学工業製品製造業
・化学肥料製造業
・道路貨物運送業
・港湾運送業
常時1,000名以上の従業員数 ・紙・パルプ製造業
・鉄鋼業
・造船業
常時2,000名以上の従業員数 ・上記以外の業種※

※ただし、過去3年間の労働災害による休業1日以上の死傷者数の合計が100人を超える事業場に限る

上記の条件に当てはまる事業場の場合、専任の安全管理者の設置が必要となります。

安全管理者の職務

安全管理者の職務

安全管理者の職務に関して解説していきましょう。主な職務は以下の通りです。

  • 建設物、設備、作業場所または作業方法に危険がある場合における応急措置または適当な防止の措置
  • 安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期的点検および整備
  • 作業の安全についての教育および訓練
  • 発生した災害原因の調査および対策の検討
  • 消防および避難の訓練
  • 作業主任者その他安全に関する補助者の監督
  • 安全に関する資料の作成、収集および重要事項の記録
  • その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における安全に関し、必要な措置

事業場や作業現場における労働災害の発生を防ぐこと、また発生してしまった場合には適切な対処をすることが求められます。そのため、通常から作業現場を視察し、労働災害の危険性が考えられる箇所のチェックを行う、労働災害の発生を防ぐための設備や保護具の確認をするなどの職務が重要です。

また、事業者は、安全管理者が上記のような職務を遂行できるだけの権限を与える必要もあります。

安全管理者になるためには?

安全管理者になるためには?

安全管理者は、単に役職が高い方であれば誰でもなれるというわけではありません。選任されるためにはいくつかの条件があるため、その条件を確認していきましょう。

求められる学歴・職歴

安全管理者に選任されるためには、満たすべき学歴もしくは職歴があります。

  • 理系の大学・短大・高専を卒業し、産業安全の実務経験が2年以上
  • 理系の高校を卒業し、産業安全の実務経験が4年以上
  • 理系以外の大学・短大・高専を卒業し、産業安全の実務経験が4年以上
  • 理系以外の高校を卒業し、産業安全の実務経験が6年以上
  • 産業安全の実務経験が7年以上
  • 労働安全コンサルタントの資格を持つ者

理系の大学を卒業している方は、卒業後に実務経験が2年以上、理系以外の学部を卒業した方は4年以上の実務経験が必要です。高卒の方も卒業資格に加えて実務経験が必要です。

高卒以上の学歴がないという方の場合、産業安全に関する実務経験が7年以上あれば選任要件を満たしますので、職歴に注目しましょう。

安全管理者選任時研修を受講する

上記の学歴や職歴の条件をクリアした方は、全国各地にある労働基準協会で実施される安全管理者選任時研修を受講します。受講すべき内容は以下の通りです。

受講科目 受講時間
安全管理 3時間
事業場における安全衛生の水準の向上を図ることを目的として、事業者が一連の過程を定めて行う自主活動(危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置を含む) 3時間
安全教育 1時間30分
関係法令 1時間30分
合計受講時間 9時間

安全管理者選任時研修は、業務上受講必須の研修です。そのため、受講は就業時間内が原則となります。受講時間は合計9時間で、合間の休憩時間等も考慮すると、1日の就業時間では受講不可能なため、一般的には2日間にわたって研修を受ける形となります。

安全管理者に選任される方は、2日間自社業務に従事できなくなりますので、受講してもらう事業者の方は、自社の業務状況も加味したうえで、スケジュールを組みましょう。

また、安全管理者選任時研修はオンライン受講も可能です。オンライン受講であれば、自社内でも受講可能であるため、講習会場までの移動時間や移動費用を抑えることが可能です。オンライン受講が可能かどうかも合わせて確認しておきましょう。

安全管理者に求められる講習

安全管理者に求められる講習

必要な学歴と職歴を満たし、安全管理者選任時研修を受講し修了すれば、安全管理者として選任が可能です。しかし、事業場の状況というのは時代によって目まぐるしく変わっていくものです。そのため、安全管理者には、状況によってさらなる講習の受講が推奨されています。

こうした講習は能力向上教育と呼ばれ、多くの団体がこの講習を実施しています。能力向上教育に受講義務はありませんが、概ね5年に一度程度の頻度での受講が推奨されている状況です。

また、安全管理者の方は、事業場で取り扱う設備機器に変更があった場合や、事業場の異動や転職があった場合などは、5年という期間に関係なく能力向上教育を受けるべきといえるでしょう。能力向上教育では、その時に問題となっている安全管理に関する講習が受けられますので、受講すれば安全管理に関する知識は最新にアップデートされます。

安全管理者としての職務をまっとうするためにも、随時受講することを心がけるのがおすすめです。

まとめ

安全管理者のまとめ

安全管理者は指定された業種において、一定以上の規模の事業場に設置が義務付けられています。安全管理者に選任されるためには、学歴や職歴の条件をクリアしたうえで、安全管理者選任時研修を受講し修了しなければいけません。

選任された安全管理者は、その事業場で行う業務において、労働災害が発生しないような措置、訓練、点検などの職務を負います。こうした安全管理の知識は年々アップデートしていく必要があり、そのためには、随時能力向上教育を受講するのがおすすめです。

事業者の方は、従業員の中から安全管理者を選任し、さらに定期的に能力向上教育を受講してもらえるように手配しましょう。


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