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確認申請が必要となる工作物とその手順を解説!
公開日:2024年5月16日 更新日:2024年5月16日
確認申請が必要となる工作物とその手順を解説!
建築業の方が建築する建造物にもいろいろな種類があり、たとえば屋根や壁、柱がある建造物は建築基準法により「建築物」と定められています。こうした建築物を建築する場合は、事前に建築確認申請を行い、さらに建築基準法に則っての建築が必要です。
一方こうした建築物に含まれない工作物を建築する場合はどうでしょう?
原則として工作物は、建築物に含まれない「土地に定着する人工物」ですので、建築基準法の対象外です。そのため建築に関しても確認申請は不要です。
しかし、一部の工作物に関しては、確認申請をしなければいけない物もあります。
この記事では、建築確認申請が必要となる工作物とその申請方法に関してまとめていきましょう。
目次
工作物は原則確認申請は不要
工作物とは、建築物に含まれない建造物です。建築物とは、屋根と柱や壁などがある建造物であり、建築物を建築する場合は建築基準法を遵守して建築する必要があります。
しかし工作物は建築物以外であるという定義のため、工作物を建築する場合は、原則建築基準法の対象外ですし、建築確認申請を提出する必要もありません。
そもそも建築確認申請とは、これから建築する建築物に関して、建蔽率や容積率などが、建築基準法に則っているかどうかをチェックするために行われるもので、建築物の建築前に自治体に提出して、審査を受けるというものです。
自治体によっては、自治体独自の条例を持つケースもあり、こうした条例も遵守しているかどうかがチェックされます。2020年からは省エネ基準なども建築確認申請の項目に含まれるようになっています。
上記の通り、建築確認申請は、原則として建築物が対象となりますが、工作物の中にも建築確認申請が必要なケースもあります。
一例を挙げると、一般的には門や塀といった建造物は工作物です。そのため、門や塀単体での建築の場合は建築確認申請は不要です。しかし門や塀が、建築物に付随されているものと見做される場合、門や塀も含めて建築物となりますので、この場合は建築確認申請が必要ということになります。
このように工作物であっても建築確認申請が必要なケースはありますので、どのようなケースで必要になるのかを覚えておきましょう。
確認申請が必要になる工作物
上記の通り、工作物の建築に建築確認申請は原則不要ですが、一部建築確認申請をしなければいけないケースがあります。
たとえ単体で建築する場合でも、建築確認申請が必要となる工作物を紹介していきましょう。
準用工作物
準用工作物に分類される工作物に関しては、建築の前に建築確認申請を行う必要があります。主な準用工作物には以下のようなものがあります。
- 高さ6mより高い煙突
- 高さ15mより高いRC柱・鉄柱・木柱
- 高さが4mより高い広告塔・広告板・装飾塔・記念塔
- 高さが8mより高い高架水槽・サイロ・物見塔
- 高さが2mより高い擁壁
- 観光用エレベーター・エスカレーター
- ジェットコースター・ウォーターシュート
- メリーゴーランド・観覧車
倒壊などの危険性が高い、高さのある工作物が原則として準用工作物に含まれます。鉄柱や煙突のようなもので、一定規模以上のものを建築する場合は、建築確認申請が必要です。
また、ジェットコースターやメリーゴーランドといった遊戯施設も同様にある程度の危険性があるということで準用工作物に指定されています。
難しいのがエレベーターやエスカレーターでしょう。商業施設などの建築物の中に設置される場合は、そもそも建築物に付随する工作物として建築物とみなされます。
それ以外のケースで、観光用などで設置されるエレベーターやエスカレーターは単体で設置され、建築物の要件を満たしていない場合でも準用工作物として建築確認申請が必要です。
聞きなれない単語として「擁壁」という単語がありますが、これは高低差のある土地などで、土砂崩れを防ぐために建設される壁状の建造物を指します。土砂崩れ防止の用途を持たない、一般的な壁単体の建築の場合は建築確認申請は不要ですが、擁壁の場合は建築確認申請が必要です。
指定工作物
建築確認申請が必要となるもうひとつの工作物が指定工作物です。
- 製造施設
- 貯蔵施設
- 遊戯施設
- 自動車車庫
- 汚物処理場
- ごみ焼却場等
事業場内に設置される製造施設や、貯蔵施設、また事業場の敷地内でも単独で建設されるごみ焼却炉なども指定工作物となりますので、建築確認申請が必要になります。
一般家庭のマイホームでも建設されることが多い、自動車車庫に関しては、一定の条件を満たすと指定工作物となることがあります。
工作物の確認申請の手順
工作物の建築確認申請に関しては、各自治体の担当窓口に提出する形になります。建築確認申請の対象となる工作物としては、上記のような準用工作物、指定工作物がありますが、自治体の条例によっては、そのほかにも建築確認申請が必要な工作物があります。
そのため、工作物を建築する際は、まずは自治体の窓口に相談に行き、建築確認申請が必要かどうかを確認の上、以降の手順を踏むのがおすすめです。
必要書類の準備
自治体の窓口に事前に相談に行き、建築確認申請が必要であると判断された場合、当然ですが申請を行うことになります。
申請は窓口で行いますが、その際には必要書類を沿えて申請する必要があります。
必要書類に関しては、自治体ごとの対応となりますので、ここでは一例として東京都目黒区に建築確認申請を出す場合の必要書類を紹介しておきましょう。
書類 | 必要部数 |
---|---|
確認申請書 | 2部(正副) |
設計図書 | 2部(正副) |
確認申請時の添付書類等一覧表(目黒区様式) | 1部 |
建築計画概要書 | 1部 |
建築工事届 | 1部 |
確認申請時の添付書類一覧表のように、その自治体で様式を定めている書類もありますので、事前相談の時点で必要書類に関しても確認しておくのがおすすめです。
審査を受ける
必要書類とともに建築確認申請を行うと、自治体で審査が行われます。審査に必要な時間に関しては、自治体ごとの対応となりますし、申請のタイミングで自治体自体が忙しい状況か、比較的暇な状況かでも変わります。
一般的に工作物の確認申請の場合、1週間程度で審査が完了するケースが多いでしょう。
審査の結果問題がなければ検査済証が発行されます。問題があった場合は審査に通りませんが、なぜ通らないのかという理由は担当窓口で確認できるはずですので、確認の上、計画等を修正して再度提出しましょう。
検査済証が発行されたら建築作業開始
上記の通り、確認申請の内容に問題がなければ、自治体から検査済証が発行されます。この検査済証が発行されれば、工作物に関しても建築がスタートできるようになります。
反対に言えば、検査済証がなければ建築自体に取り掛かれないということ。とくに自治体が忙しい時期の場合、審査に1週間以上の時間がかかるケースもあります。納期が決まっている工事の場合は、早めに申請を行い、あらかじめ検査済証を受け取っておくのがおすすめです。
確認申請の注意点
とくに工作物に関して建築確認申請を行う場合、必要書類を漏れなく提出するというのは当然ですが、まずは何より申請前に窓口で相談するようにしましょう。
たとえば京都市の美観地区では、確認申請ではありませんが、「認定申請」が必要なケースがあります。
ほかの自治体であれば、建築確認申請は不要の自動販売機ですが、京都市の美観地区に高さ1m以上の自動販売機を設置する場合、京都市に対し認定申請が必要です。
このように、自治体によって申請にもさまざまな基準があります。工作物を建築する場合でも、まずは自治体の担当窓口に出向き、申請が必要かどうか確認するのがおすすめです。申請が必要な場合には、提出すべき書類は何かという点も併せて確認しておくといいでしょう。
建築物や工作物の改修や解体に関して
古くなった建築物や工作物を改修や解体する場合、事前に調査が必要なケースがあります。それが石綿に関する調査です。石綿は健康被害が大きく、石綿を取り扱う工事の場合、きちんと石綿に関する講習を受講した作業員しか作業に従事できません。
その石綿の有無を調査するのが事前石綿調査です。
2023年10月から、建築物の解体や改修の前に、事前石綿調査を行うことが義務化されています。建築物の事前石綿調査に関しては、「建築物石綿含有建材調査者」の資格を持つ方を選任しなければいけません。
さらに2026年1月1日からは、工作物に関しても、改修・解体工事をする前に、事前石綿調査を行うことが義務化されます。
工作物の事前石綿調査に関しては、「工作物石綿事前調査者」の資格を持つ方が選任されることになります。
工作物石綿事前調査者の資格取得のためには?
工作物石綿事前調査者の資格を取得するためには、工作物石綿事前調査者講習を受講し修了する必要があります。この工作物石綿事前調査者講習に関しては、2024年7月から、CIC日本建設情報センターでも全国各地で開講予定です。
開講直後は受講希望者が殺到することが予想されています。
CIC日本建設情報センターでは、2024年5月現在、工作物石綿事前調査者講習の無料資料請求を受付中です。無料資料請求をいただいた事業場の方は、優先して受講受付を行いますので、受講予定の事業場の方は、ぜひ活用してください。
まとめ
一般的に工作物は建築物に含まれない建造物全般を指します。建築物ではありませんので、原則建築基準法を遵守する必要はなく、建築に関しては確認申請も不要というのが工作物です。
しかし、工作物の中でも、一部の工作物は建築確認申請が必要になります。日本全国どの自治体でも確認申請が必要になるのが準用工作物と指定工作物です。
また、自治体によっては独自の条例を定めているケースがあり、こうした条例に関する工作物を建築する場合は、確認申請が必要になるケースもあります。
確実に建築を進める場合、まずは自治体の担当窓口に相談に行き、確認申請が必要かどうかという点を確かめてから建築に移るのがおすすめです。