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化学物質管理者になるための資格要件とは?
公開日:2024年4月22日 更新日:2024年4月22日
化学物質管理者になるための資格要件とは?
2024年4月1日から化学物質管理者の設置が義務化されました。該当するすべての事業場では、化学物質管理者を選任する必要があり、どのような人材を選任するかで悩んでいるという方も多いでしょう。
一部の事業場においては、化学物質管理者の選任要件があり、選任要件を満たす人材を育てる必要があります。
では、化学物質管理者になるためには何か資格が必要なのでしょうか?また、どのような人物を選任するべきか?化学物質管理者を選任する際の資格要件に関して解説していきます。
目次
化学物質管理者とは?
化学物質管理者とは、取り扱う化学物質の中で、危険性・有毒性のあるものを特定し、危険な物質による労働災害の発生を防止するという役目を負います。そのため化学物質に関する一定以上の知識を持ち、そのばく露防止対策などに長けた方を選任する必要があります。化学物質管理者は、取り扱う化学物質を分類し、有毒性など危険性のある化学物質がないかをチェックします。
危険性を持つ物質があった場合、その物質による影響の検証が必要です。また、その危険性に対しどのような防止策が有効かを考え、最適な防止対策を実施していくのが主な業務です。設置は事業場単位で最低1名。複数名指名することも可能になっています。
化学物質管理者の設置が義務化された背景には、減らない労働災害と、化学物質の多様化があります。
年々事業場で取り扱う化学物質は増加しており、従来の制度では対応できなくなっています。その結果、従来の制度で危険性物質に認められていない物質が原因となる労働災害が発生している、という実情があります。
こうした実情を改善するために、対象となる化学物質の範囲を広げるというのがひとつの目的です。
また、この法改正で現状には対応できますが、将来的に化学物質がさらに増えていった場合、同じように労働災害が増えていく可能性があります。こうした将来のためにも、事業場が自律的に化学物質の危険性を知り、十分な対策を講じられるようにすることも大きな目的です。
各事業場が自律的に安全対策を講じることが当たり前になれば、労働災害も減少していくでしょう。
化学物質管理者の業務
化学物質管理者の業務を簡単に紹介していきましょう。
まずは、その事業場で取り扱う化学物質を正確に分類し、危険性・有毒性のある化学物質を特定します。こうした物質にはラベルで表示したり、安全データシートを交付するなど、従業員やクライアントに対してしっかりと周知するようにします。
続いてはその物質に関するリスクアセスメントを行います。危険物質をほかの危険性がない物質に代替できるか?作業方法を工夫することでばく露防止になるか?など、細かな防止対策を検討し、最適な対策を実施します。
こうした対策の実施や結果を定期的に記録し、保管するのも業務の一つです。将来的にも活用できるデータを蓄積していきます。
このように対策をとっていても労働災害が発生した場合は、速やかに対応をします。自身での対応はもちろん、従業員が速やかに対応できるマニュアルの作成も必要でしょう。
事業場で扱う化学物質をしっかりと把握し、その物質による労働災害が発生しないような適切な対策を講じることが、化学物質管理者の業務の中心です。
化学物質管理者は国家資格や民間資格ではない
その事業場における化学物質の危険性の把握からばく露防止・低減の対策、さらにこうした安全確保に関する情報の周知徹底などを行う化学物質管理者には、当然一定以上の知識や、安全対策における知識などが求められます。
そんな化学物質管理者ですが、資格要件はありません。
そもそも国家資格や民間資格といったわけではありませんので、選任されるために必要な学歴や職歴などの条件はありませんし、試験に挑戦して合格する必要もありません。
どのような方でも、化学物質に関する知識や、リスクに対する対策の方法を身に着けていれば、化学物質管理者に選任されることができます。選任する側の事業者としては、しっかりと従業員の能力や知識、経験を見極め、誰を選任するのが最適かを考えて選任しましょう。
資格要件はないものの選任要件がある事業場も
上記の通り化学物質管理者に資格要件はありません。誰でも選任することが可能です。
ただし、資格要件こそないものの、一部事業場においては選任要件が発生します。選任要件が発生するのは、化学物質を製造する事業場です。製造事業場での選任要件は、厚生労働省が認可した化学物質管理者講習を受講することになります。
CIC日本建設情報センターでも化学物質管理者講習を、全国各地の会場で定期的に開講しています。
製造事業場における化学物質管理者に選任されるためには、2日間で計12時間の講習を受講し修了しなければなりません。講習では、化学物質管理者にとって必要な知識はもちろん、業務の流れや関係法令に関する知識なども学びます。
選任要件として講習の受講が必要なのは製造事業場のみですが、製造事業場以外の管理者も、同じように講習を受講することが推奨されています。
製造事業場以外の事業場向けの化学物質管理者講習は、製造事業場の管理者講習よりも短い期間で受講でき、多くの場合1日6時間の受講となります。
CIC日本建設情報センターでは、製造事業場向けの講習に加えて、取り扱い事業場向けの講習も開講しています。
化学物質管理者に選任されるためには?
化学物質管理者の選任は各事業場ごとになります。原則1名は設置しなければなりません。もちろん事業場によっては、1名では足りないというケースもあるでしょう。こうした場合は複数の化学物質管理者を選任することも可能です。
選任されるためには、上記の通り管理者講習の受講と修了が必要になります。特に製造事業場の場合、講習の受講は必須です。取り扱い事業場に関しては講習の受講は必須ではありませんが、受講することが推奨されています。
化学物質管理者の業務では、化学物質に関する正確な知識や、その化学物質に対する安全対策に関する知識が必要です。さらにこうした安全対策を講じ、その対策を従業員に幅広く周知していく必要もあります。
正確な知識に加え、従業員に対策を周知徹底できるような人材が選任されるケースが多いでしょう。
化学物質管理者講習を受講する方法
化学物質管理者に選任されるためには、化学物質管理者講習を受講するのが必須、もしくは推奨となっています。
講習は厚生労働省が定める教本やカリキュラムに則り進められるため、講習を受講してその内容を理解すれば、スムーズに化学物質管理者の業務に取り組めるでしょう。CIC日本建設情報センターでも、化学物質管理者講習を開講しており、東京や大阪・名古屋はもちろん、福岡・岡山・広島などでも講習を開催しています。
講習は上記の通り1日もしくは2日で修了できますので、各事業者の方が現場をうまく調整し、選任したい人材を講習に派遣するというのが一般的です。
まとめ
2024年4月より選任が義務化された化学物質管理者は、国家資格のような資格ではなく、また公的機関が免許証を発行するような免許制でもありません。そのため資格要件というものは存在せず、学歴や職歴などには関係なく、誰でも選任できます。
誰でも選任できるといっても、化学物質管理者の業務は簡単なものではありません。化学物質に関する知識や、安全対策に関する知識が必要です。こうした知識を持つ方を選任する必要があります。
また、製造事業場に関しては、化学物質管理者講習を受講し修了するという選任要件があります。管理者に選任する人材には必ず講習を受講してもらいましょう。製造事業場以外の場合、講習の受講は必須ではありませんが、受講が推奨されていますので、化学物質を取り扱う事業場では、管理者に講習を受講してもらうことが基本であると考えた方がいいでしょう。
化学物質管理者という業務自体が新たに誕生した業務でもありますので、選任する場合はできれば講習を受講させて、化学物質管理者の業務について正しい知識を持つ方を育てるのがおすすめです。
これまで以上に自律的に、そして的確な化学物質のリスク管理ができる環境づくりをしていきましょう。