施工管理技士合格をアシスト
建設業特化の受験対策
保護具着用管理責任者の役割や業務について解説!
公開日:2024年4月22日 更新日:2024年4月22日
保護具着用管理責任者の役割や業務について解説!
保護具着用管理責任者は2024年4月から省令により選任が義務付けられました。そこで保護具着用管理責任者にはどのような役割があるのか、具体的な業務内容について解説します。また、保護具着用管理責任者になれる要件を満たしている人の紹介や、要件を満たしている適任者がいない場合の1日間の教育カリキュラムについても解説します。
目次
保護具着用管理責任者とは?
2024(令和6)年4月1日に労働安全衛生規則等の一部を改正する省令が施行されました。その結果労働者に有害な物質や危険な現場で作業を行うために着用する必要がある保護具を使用させる事業場には、「保護具着用管理責任者」を選任しなければならなくなりました。
これは科学物質のリスクアセスメントに基づいた措置として保護具を使用させる事業場において、保護具に関する経験や知識が有する者として認められた場合に選任されます。なお、選任時期は選任事由発生から14日以内と定められています。
化学物質管理者との違い
保護具着用管理責任者と同じ日に化学物質管理者の選任も必要となりました。化学物質管理者について厚労省によると、事業場で化学物質を管理し、化学物質の表示や通知、ばく露低減対策、リスクアセスメントの実施・記録を保存、労働災害の対応といった内容を担当するものと定められています。
化学物質を扱う事業所では作業者を守るために保護具が必要な場合が多いですが、両者の違いは化学物質全般に関する管理や対策を行う管理者と保護具の管理に特化した管理者という点です。一般的には化学物質管理者が保護具着用管理責任者を選任するケースが多いのが特徴です。
保護具着用管理責任者の役割とは
保護具着用管理責任者は、化学物質管理者の指示を受け、事業場の責任者などに保護具についての様々な指示をする業務を行います。特に職務に支障がない限り他の職務との兼任になる場合が多く、実際には事業場の責任者や作業主任者が兼任することが考えられます。ただし、いち早く作業環境の改善が求められている「第三管理区分」として分類された事業場では併任不可となっているので注意しましょう。
保護具着用管理責任者の業務内容とは?
保護具着用管理責任者の具体的な業務内容について詳しくみていきます。
保護具の適正な管理を行う
保護具着用管理責任者は、対象となる事業所に適正な保護具を選択・準備し、保護具の管理をしなければなりません。適正な保護具の選択方法として、事業所での作業内容や作業環境を測定した結果を踏まえて選択します。
労働者の保護具の適正な使用を指導
事業所に適した保護具を選択、管理したとしても作業を行う労働者が間違った保護具の使い方をすると事故の元になります。そこで保護区着用管理責任者は、適正な使用に関して、保護具の使用マニュアルを作成しなければなりません。また保護具の着用方法や使用方法についての教育を行って、作業者に適切な保護具の使用を促します。また呼吸用の保護具については、フィットテストなどを行い、着用状態を確認しながら問題がないかどうかを確認するのです。
保護具の保守管理を行う
使用している保護具をしっかり保守管理を行わないと、保護具自体の破損や摩耗などにより本来の役目を果たせなくなる恐れがあります。そこで保護区着用管理責任者は、保護具の保守管理マニュアルを作成しながら、事業所の作業者に保守管理についての教育を行わなければなりません。そして保護具の管理においても使用に関する記録を作成し、適切に保管するように指導します。
保護具着用管理責任者の選任要件
保護具着用管理責任者は誰でもなれるわけではありません。「保護具に関する知識及び経験を有すると認められるもの」の中から選任します。知識と経験を有するものとは、具体的に以下の要件を満たした人となります。詳しくみていきましょう。
化学物質管理専門家の要件該当者
化学物質管理専門家の要件に該当している人は、保護具着用管理責任者の適任者として認められます。具体的には次の要件を満たした人です。
①労働衛生工学区分のある労働衛生コンサルタント合格者で実務経験が5年以上
②衛生工学の衛生管理者免許を受けたもので実務経験が8年以上
③作業環境測定士として実務経験が6年以上でかつ厚労省労働基準局長が定める講習を修了した者
④上記、①~③と同等以上の経験や知識を有する人
作業環境管理専門家の要件該当者
作業環境管理専門家の要件に該当している人も、保護区着用管理責任者の適任者とされます。具体的には次の要件を満たした人です。
①化学物質管理専門家
②労働衛生工学の区分がある労働衛生コンサルタント合格者、化学の区分がある労働安全コンサルタント合格者で実務経験が3年以上ある人
③衛生工学衛生管理者として実務経験が6年以上ある人
④衛生管理士選任者の中で、労働衛生工学の区分がある労働衛生コンサルタント合格者で、かつ実務経験が3年以上の人
⑤作業環境測定士として6年以上の実務経験者
⑥作業環境測定士として4年以上の実務経験者のうち、日本作業環境測定協会が実施する講習や研修のなかで、受講することが適当と定めたものをすべて修了した人
⑦オキュペイショナル・ハイジニストの資格取得者又は同等の外国資格を有する人
衛生工学の労働衛生コンサルタント
公益財団法人安全衛生技術試験協会が実施する労働衛生コンサルタント合格者のうち、試験区分に「衛生工学」が含まれている人は、保護具着用管理責任者の選任資格も有しています。
衛生工学衛生管理者免許または第1種衛生管理者免許を受けた者
厚生労働大臣が定める講習を受けて免許を取得した衛生工学衛生管理者、または労働安全衛生法で規定された国家資格である第一種衛生管理者に合格し免許を受けた人は、保護区着用管理責任者としての適任資格者なので、事業場に該当する人がいるか確認しましょう。
特定化学物質及び四アルキル鉛等の作業主任者技能工講習を終了したもの
日本作業環境測定協会が実施している作業主任者技能講習のうち、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技術講習を受講した人は、保護具着用管理責任者の選任対象です。
安全衛生推進者の要件の該当者
厚労省が定める安全衛生推進者の要件に該当する人も保護具着用管理責任者の資格があります。具体的には次の要件を満たした人です。
①大学又は高等専門学校を卒業し、1年以上安全衛生の実務に従事した経験者
②高校又は中学を卒業し、3年以上安全衛生の実務に従事した経験者
③5年以上安全衛生の実務に従事した経験者
④安全衛生推進者講習を受講し修了した人
保護具着用管理責任者教育がある
上記の5.で紹介した該当者がおらず選任できない場合は、「保護具管理に関する教育を受講した者」から選任することができます。対象者はリスクアセスメント最小物質を製造、譲渡、取り扱っている事業所で、保護具に関する経験や知識を有すると認められていないものの、保護具着用管理責任者に選任される予定の方や保護具について知識を深めたい方が対象となります。科目と時間は次の通りで、1日の講習です。修了試験や学科の免除規定はありません。
①保護具着用管理 30分
②保護具に関する知識 3時間
③労働災害の防止に関する知識 1時間
④関連法令 30分
⑤実技としての保護具の使用方法など 1時間
まとめ
2024年4月から必要と認められた事業所では選任が義務づけとなった 「保護具着用管理責任者」の役割と業務内容を解説しました。同日にやはり選任が義務付けられた「化学物質管理者」からの選任を受けますが、保護具着用管理責任者は誰でもなれるわけではなく、一定の要件を満たした人が選任されます。かりに要件を満たした人がいない場合は、1日かけて開催される保護具着用管理責任者教育を受ければ選任の資格が得られます。