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保護具着用管理責任者とは?|2024年4月から義務化

公開日:2024年4月22日 更新日:2024年4月22日

保護具着用管理責任者とは?|2024年4月から義務化

2024年4月から、化学物質のリスクアセスメントに基づいて労働者に保護具を使用させる事業場では、保護具着用管理責任者の選任が義務化されることとなりました。保護具着用管理責任者は、適切な保護具の選択や使用状況の管理、保守管理など、労働者の安全と健康を守るために重要な役割を担っています。本記事では、保護具着用管理責任者の職務内容や選任要件、必要な教育について詳しく解説いたします。


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目次

保護具着用管理責任者の職務内容

 
業務内容

保護具着用管理責任者は、化学物質のリスクアセスメントに基づいて、労働者に適切な保護具を使用させるための管理を行います。具体的な職務内容は以下の通りです。

保護具の適正な選択に関すること

保護具着用管理責任者は、リスクアセスメントや作業環境測定の結果、作業内容などを考慮して、適切な保護具を選択する必要があります。呼吸用保護具・防護服・保護手袋・保護長靴など、様々な種類の保護具の中から、作業に応じて最適なものを選ぶことが求められます。
保護具の選択にあたっては、有害物質の種類や濃度・作業時間・作業強度などを考慮し、十分な防護性能を持つものを選ぶことが必要です。さらに、使用する労働者の顔の大きさや形状に合ったものを選ぶことも重要となります。

労働者の保護具の適正な使用に関すること

保護具着用管理責任者は、労働者が保護具を正しく着用し、適切に使用しているかを確認する必要があります。特に呼吸用保護具については、顔面への密着性が重要であり、定期的にフィットテストを実施して、適切な着用状態を維持することが求められます。
また、労働者に対して保護具の必要性や正しい使用方法について教育を行い、理解を深めることも保護具着用管理責任者の重要な職務です。保護具の着脱方法や使用上の注意点、保管方法などについて、具体的な指導を行うことが大切です。

保護具の保守管理に関すること

保護具着用管理責任者は、保護具の適切な保守管理を行い、常に使用可能な状態に保つ必要があります。保護具の定期的な点検や交換の時期を管理し、劣化や破損がないか確認することが求められます。
また、使用済みの保護具を適切に廃棄することも重要な職務の一つです。汚染された保護具をそのまま放置すると、二次的な健康被害を引き起こす恐れがあるため、保護具の廃棄基準を定め、適切な方法で処分することが必要不可欠です。

保護具着用管理責任者の選任要件

保護具着用管理責任者

保護具着用管理責任者は、事業場における保護具の適切な管理を行うために重要な役割を担います。労働安全衛生規則では、保護具着用管理責任者の選任要件として、「保護具に関する知識及び経験を有すると認められる者のうちから選任すること」が定められています。ここでは、具体的な選任要件と、必要な教育について解説いたします。

保護具に関する知識と経験を有する者

保護具着用管理責任者は、以下のいずれかに該当する者の中から選任することができます。

(1) 化学物質管理専門家や作業環境管理専門家の要件に該当する者
(2) 労働衛生コンサルタント試験に合格した者
(3) 第一種衛生管理者免許または衛生工学衛生管理者免許を取得した者
(4)特定化学物質作業主任者技能講習、有機溶剤作業主任者技能講習、鉛作業主任者技能講習、四アルキル鉛等作業主任者技能講習のいずれかを修了した者

これらの資格や講習を修了した者は、化学物質の管理や作業環境の改善、労働者の健康管理などに関する専門的な知識を有しているため、保護具の適切な選択や使用方法、保守管理についても理解していると考えられるでしょう。

また、安全衛生推進者や衛生推進者として選任されている者で、労働衛生に関する知識や経験を有する者も、保護具着用管理責任者として選任することが可能です。

保護具着用管理責任者教育の受講

上記の選任要件を満たさない場合は、厚生労働省が定める所定のカリキュラムによる教育を受講した者の中から、保護具着用管理責任者を選任しなければなりません。この教育は、保護具に関する知識や管理方法を習得するために重要な役割を果たすものです。

保護具着用管理責任者教育の内容

講習会場

保護具着用管理責任者教育は、学科講習と実技講習で構成されており、合計6時間の講習時間が設けられています。学科講習では、労働安全衛生法令の関係条項や保護具の種類と性能、リスクアセスメントに基づく保護具の選択、労働者への教育方法などについて学びます。実技講習では、保護具の正しい着脱方法や、呼吸用保護具の顔面への密着性の確認方法などを習得します。
講習を修了した者には修了証が交付され、保護具着用管理責任者としての選任要件を満たすことができます。ただし、既に一定の資格を有する者が選任された場合でも、本教育を受講することが望ましいとされています。

事業者の責務

化学物質を取り扱う事業場において、労働者の安全と健康を確保するためには、事業者が適切な措置を講じることが不可欠です。特に、保護具の適正な管理については、事業者の責務として法令で定められています。ここでは、保護具着用管理責任者の選任、保護具の提供と管理、労働者への教育という3つの観点から、事業者の責務について解説いたします。

保護具着用管理責任者の選任

事業者は、化学物質を取り扱う作業場ごとに、保護具着用管理責任者を選任しなければなりません。保護具着用管理責任者は、保護具の適切な選択、使用状況の管理、保守管理などを行う重要な役割を担っています。
選任にあたっては、保護具に関する知識と経験を有する者から選ぶことが必要です。また、選任した保護具着用管理責任者に対しては、職務を遂行するために必要な権限を与えることが求められます。保護具着用管理責任者が適切に職務を遂行できるよう、事業者は必要な支援を行うことが大切です。

保護具の提供と管理

事業者は、労働者に適切な保護具を無償で提供する義務があります。リスクアセスメントに基づいて、必要な保護具を選定し、労働者に支給しなければならないのです。
また、保護具の定期的な点検や交換を行い、常に使用可能な状態に保つ必要があります。劣化や破損がないか確認し、適切な時期に交換することが重要です。保護具の保守管理については、保護具着用管理責任者と連携して取り組むことが求められます。

労働者への教育

事業者は、保護具の必要性や正しい使用方法について、労働者に教育を行わなければなりません。保護具の着用が義務付けられている作業場では、労働者が保護具の重要性を理解し、適切に使用できるようにすることが不可欠です。
教育の内容としては、保護具の種類や性能・選択方法・着脱方法・使用上の注意点・保管方法などが含まれるでしょう。保護具着用管理責任者と協力して、労働者の理解を深める取り組みを進めることが求められます。教育は定期的に実施し、労働者の知識と意識を高めていくことが重要です。

まとめ

保護具着用管理責任者

2024年4月から選任が義務化される保護具着用管理責任者は、化学物質による労働者の健康障害を防止するために重要な役割を担います。事業者は、保護具着用管理責任者の選任要件を満たす者を選任して必要な教育を受講させるとともに、保護具の提供や管理・労働者への教育など、法令で定められた責務を確実に果たす必要があるのです。保護具着用管理責任者制度の導入により、化学物質を取り扱う事業場における、自律的な安全衛生管理のさらなる促進が期待されます。


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