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建設業で外国人労働者を雇用するためには?方法や注意点に関して解説
公開日:2024年8月23日 更新日:2024年8月23日
建設業で外国人労働者を雇用するためには?方法や注意点に関して解説
日本国内では、どの業界でも人材不足が問題となっています。長引く少子高齢化の影響で、現役労働力は年々減少しており、今後もこの傾向はしばらく続くことが予想されます。
こうした人材不足の影響が特に大きいのが、労働環境が厳しいというイメージがある建設業界です。そんな建設業界にとって、人材確保の一つの手段となっているのが外国人労働者の雇用です。
この記事では、建設業が外国人労働者を雇用する方法や、雇用の際に注意すべきポイント、さらに雇用するメリットに関して解説していきます。
目次
建設業界は外国人労働者を雇用しやすくなった
若者の労働人口が減少しており、建設現場の人材の高齢化も大きな問題となっています。この問題解決のため、国は2019年に新たな制度を制定しました。それが「特定技能」という在留資格の方でも、建築現場で働けるようにする制度です。
こうした制度改革もあり、2024年現在建築業界では、外国人労働者の雇用の幅が広がっています。
外国人労働者を雇用するための手順
建設業界にとっては貴重な人材である外国人労働者ですが、簡単に雇えるというわけではありません。外国人労働者を雇用するためには手順があり、また遵守すべきポイントもあります。そんな手順やポイントを簡単に紹介しましょう。
外国人労働者を募集する
外国人労働者を雇用するためには、何より求人広告の出稿が最初のステップとなります。どの国の外国人労働者を求めるかで、どこの出稿するのかも変わりますので、その点は留意しましょう。
一般的にはその国で発行されている日系の新聞や、その国の求人ポータルサイトなどに出稿します。また日本国内の人材派遣会社では海外の人材を集める業務を行っている会社もありますので、こうした会社に依頼するのもひとつの方法です。
在留資格を確認する
就業を希望する外国人労働者が見つかったら、その外国人労働者の在留資格を確認する必要があります。外国人労働者は、持っている在留資格によって、できる業務や就業できる期間などに定めがありますので、自社が求める業務を行える人材かどうかの確認が必要です。
そもそも日本国内で外国人労働者が働くためには、在留資格が必要です。在留資格のない方は就業できませんし、在留資格のない方を雇用したら、その企業も罰せられます。外国人労働者を雇用するにあたって、在留資格の確認はもっとも重要なポイントですので、慎重に確認しましょう。
外国人雇用状況の届出を提出する
在留資格を確認し、就労条件の面でも合意すれば雇用契約は可能です。外国人労働者と雇用契約を結んだら、必ず所管のハローワークで、外国人雇用状況の届出が必要です。届出の様式に関しては、厚生労働省にHP等で入手できますので、必要書類とともに提出しましょう。
外国人雇用状況の届出は、オンライン上でも可能です。不明な点等はハローワークなどで質問することもできますので、あまり経験のない方はハローワークで確認しながら、慣れている方はオンラインでの申請がおすすめです。
この外国人雇用状況の届出に関しても、怠ると罰金が科せられますので、忘れずに届出を行いましょう。
雇用できる在留資格と業務内容
建設業界に限らず、外国人労働者を雇用する場合には、在留資格の確認が重要です。この在留資格によって、就ける業務や雇用期間に違いがあります。まずは、外国人労働者として雇用できる在留資格を紹介しましょう。
- 技能実習
- 技能
- 特定技能
- 身分に関する在留資格
- 資格外活動許可
それぞれの違いや特徴を解説していきます。
技能実習
外国人労働者と聞いて、真っ先に思い浮かぶ在留資格が「技能実習」という方も多いのではないでしょうか。ただし、この在留資格は、日本国内で働くための資格ではありませんし、建設業等企業の人材不足を補うための資格でもありません。
技能実習資格とは、開発途上国の方に日本の技術を伝え、その技術を自国で活用してもらうための制度です。つまり、人材確保を目的とした制度ではなく、あくまでも国際貢献の一環としての制度ということになります。
そのため、雇用できる人材は、開発途上国の人材に限られますし、きちんと技術を伝えるための業務にしか就業してもらうことができません。建設業界でも、いわゆる単純作業に従事することはできないため、この点は注意が必要です。
技能実習の在留資格を持つ外国人労働者は、1~5年間雇用することが可能です。その際、取得すべき資格が以下の通りです。
- 技能実習1号 在留可能期間1年間
- 技能実習2号 在留可能期間2年間(2~3年目)
- 技能実習3号 在留可能期間2年間(4~5年目)
2号の資格取得には、技能実習生自身が検定試験に合格するなどの条件があります。3号の資格取得には、雇用主の事業規模なども参考に、出入国在留管理庁が決定します。
技能実習の対象となる業務を行う外国人労働者を求めている建設業者のみが利用できる在留資格といえるでしょう。
技能
技能実習ではなく、「技能」という在留資格もあります。技能とは、外国人労働者が自身の国で身に着けた技術を、日本で活かすための在留資格です。建設業の場合は、ゴシック建築の技術や、中国式建築の技術など、その国独自の建築技術が対象となります。
技能実習とは違い、その国独自の建築技術を持っていることが条件ですので、開発途上国に限らず、広く世界から人材を募集することが可能です。ただし、従事できる業務は、その外国人労働者の持つ技能が活かせる業務に限られます。
在留期間は3ヶ月~5年間となっており、外国人労働者が希望する在留期間や、雇用主の事業規模を参考に、出入国管理庁が期間を決定します。
特定技能
2019年に新たに制定された特定技能という在留資格は、外国人労働者という労働力を確保するために制定された資格です。
技能実習や技能のように、従事できる業務が限定されませんので、建設業界のすべての業務に従事することができます。そのため、建設業界としても即戦力の労働力を確保できる在留資格です。
特定技能の在留資格には1号と2号があり、1号であれば最長5年間、2号であれば在留期間の制限なく在留が可能です。一定期間以上、長く雇用したい事業者向けといえるでしょう。
特定技能の在留資格を得るためには、技能検定や日本語検定などをクリアするなど、一定の条件がありますので、取得のハードルは低くない在留資格でもあります。
身分に関する在留資格
すでに日本に在留している外国人の方など、その方の身分に関する在留資格を持つ方も雇用可能です。主な在留資格は以下の通りです。
- 定住者
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
すでに日本に定住している方や、日本人の方と結婚している方などが対象です。こうした身分に関する在留資格を持つ方は、雇用期間に制限がなく、また従事する業務にも制限はありません。
こうした在留資格を持つ方を募集する場合、日本国内で求人広告を出す方法もあります。
資格外活動許可
外国人として、日本に就労目的以外で在留する方に発行されるのが、資格外活動許可というものです。分かりやすい例を挙げると、日本に留学目的で来ている留学生が、アルバイトで働く場合に取得する資格です。
資格外活動許可の資格を持つ方は、1週間に28時間という労働時間の制限がありますので、主にアルバイトとして雇用する形となります。
労働時間にこそ制限はありますが、すべての業務に従事してもらうことができますので、アルバイトでもかまわないという雇用主の方におすすめです。
外国人労働者を雇用する場合の注意点
外国人労働者を雇用する場合は、いくつか注意すべき点がありますので、その点について解説していきましょう。実際に外国人労働者を雇用する場合は、ほかにも注意すべき点はあるかと思いますが、特に注意すべき点を紹介していきます。
来日後の日常生活のフォロー
来日する外国人労働者の中には、日本語がまだあまり理解できないという方も少なくありません。こうした外国人の方が、日本という他国で新たな生活を始め、そこで新たな仕事に就くわけですから、来日後のフォローができる体制を、雇用主としても用意してあげる必要があります。
外国人労働者の方が困るケースが多いのが、銀行口座の開設や、役所での各種手続き、さらに不動産関係の契約などです。こうした場で、外国人労働者の方が困らないよう、できるだけフォローできるような体制を整えましょう。
労働災害などに関する教育が必要
海外と日本国内では、労働条件や労働環境においてもさまざまな違いがあります。日本国内で働く以上は、日本国内のルールに合わせたルールを身に着けてもらう必要があります。こうした労働災害などの対策となるルールの教育などをしっかりと行える環境も整えておきましょう。
外国人労働者に対する理解が必要
外国人労働者を雇用するということは、ほかの日本人従業員とともに業務に当たってもらうことになります。雇用する方はもちろん、一緒に働く日本人従業員の方も、こうした外国人労働者の持つ文化などに理解を示す必要があります。
言語の面はもちろん、特に意識したいのが宗教や民族といった部分の文化です。日本で生活しているとあまり問題にならない部分が問題となるケースもありますので、しっかりと日本人従業員に、外国人労働者の持つ文化に対する理解をしっかり持ってもらうことが重要です。
同一労働同一賃金を遵守
外国人労働者と聞くと、比較的安い賃金で雇用できる労働力というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、それは違法に不法滞在の外国人の方を雇うケースや、過去の雇用の話です。
現在では外国人労働者も含め、すべての労働者は同一労働同一賃金が原則です。ほかの日本人労働者と差がつかないよう、しっかりとこの考えを遵守したうえで雇用する事が重要です。
外国人労働者を雇用するメリット
外国人労働者を雇用するということは、多くの準備やサポートの体制、各種申請など多くの手間がかかります。こうした手間をかけてでも、外国人労働者を雇用するメリットは大きいといえるでしょう。
もちろん労働力を確保するというのが最大の目的です。建設業界は人材不足が深刻であり、また恒例の労働者が多いという点も問題となっています。こうした問題を解消できるのが、若い労働力である外国人労働者です。
また、今後海外進出を視野に入れている企業の場合は、外国人労働者とともに働くということが、将来の糧となるでしょう。
外国人労働者の雇用をきっかけに労働環境の改善も
外国人労働者にも気持ちよく働いてもらうためには、労働環境の整備が重要です。違う文化で育ってきた外国人労働者にとっても働きやすい環境は、当然日本人にとっても働きやすい環境ですので、結果的に自社の労働環境の改善が望めます。
労働環境の改善を目指す場合は、衛生管理者を選任して適切な衛生管理などを徹底するという方法もあります。衛生管理者は国家資格ですので、国家試験に合格する必要があります。
衛生管理者試験は、そこまで難関試験ではありませんので、しっかりと対策ができれば独学でも合格は目指せます。より確実に、短期間での合格を目指すのであれば、CIC日本建設情報センターの試験対策講座の受講がおすすめです。
労働環境が改善できれば、日本人労働者に対しても大きなアピールポイントとなります。日本人労働力を確保するという点でも期待できますので、労働環境の改善は大きなメリットといえるでしょう。
まとめ
日本国内の少子高齢化の問題は解決の糸口が見えず、現状はもちろん、今後しばらくは大きな問題として日本に残る問題です。その影響で現役労働人口は減少することが予想されます。特に労働環境が厳しいというイメージが強い建設業界は、今後も労働力不足という問題に直面することが予想されます。
この問題解決に直結するのが外国人労働者の雇用です。外国人労働者を雇用するためには、各種手続きや準備が必要ですが、その手間をかけても採用するメリットは大きいといえるでしょう。
単に労働力不足を補うだけではなく、職場の労働環境を改善するという効果も期待できますので、労働力に困っている建設業界の方は、外国人労働者の積極的な採用も考えましょう。
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