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建設業許可がなくてもリフォーム工事は請け負える?許可が必要なケースも解説
公開日:2024年8月23日 更新日:2024年8月23日
建設業許可がなくてもリフォーム工事は請け負える?許可が必要なケースも解説
建設業許可に「リフォーム業」という業種はありません。リフォームは非常に小規模なものから大掛かりなものまでさまざまですが、リフォーム工事を請け負う際に建築業許可が必要かご存じでしょうか。
こちらの記事では建築業許可がなくてもリフォーム工事を請け負うことができるのか、許可が必要なケースはどういったものなのかについて詳しく解説します。
目次
建設業許可がなくてもリフォーム工事は請け負えるのか?
建設業許可には、「建設工事」といった総合的なものはありません。あとの章で詳しく解説しますが、建設業許可は建設工事の種類に応じて、工事業種ごとにそれぞれ取得する必要があります。
しかし、建設業許可がなくてもリフォーム工事を請け負うことが可能な場合がありますので、まずは建築業許可がなくても問題ない場合について見ていきましょう。
請負金額が500万円未満であればリフォーム工事を請け負える
税込み500万円未満の「軽微な工事」の場合は、建設業許可がなくてもリフォーム工事を請け負うことができます。住宅のリフォーム工事は500万円未満の小規模工事が全体の8割程度なので、建設業許可を取得せずに小規模工事ばかりを請け負うリフォーム会社が数多く存在します。しかし、融資や助成金を受けるため、または同業他社との差別化や中規模・大規模工事受注のために建設業許可を取得するリフォーム業者も年々増えてきています。
例外として、対象とする工事が「建築一式工事」に該当する場合は、請負金額が1500万円未満もしくは木造住宅で延床150㎡未満の工事であれば無許可で施工可能です。建築一式工事については、のちに解説します。
建設業法における付帯工事であれば請け負える
建設業法における「付帯工事」とは、建物本体の工事とは別に必要になる建築工事のことです。建設業法における付帯工事であれば、500万円を超える工事であっても建設業許可を取得せずに請け負うことが可能です。
ただし、たとえ建設業許可が不要であっても、それぞれの工事に関する資格の取得など他の法律規定を遵守する必要があるので注意してください。
建設業許可なくリフォーム工事を請け負う際の注意点
建設業許可なくリフォーム工事を請け負う場合、許可の必要な工事を無許可で施工してしまうと、大問題に発展する場合があります。500万円未満の小規模のリフォーム工事を無許可で請け負う際の注意点をしっかりと確認してから工事を請け負いましょう。
建設業許可がなくてもリフォーム工事を請け負えるのは、「軽微な工事」です。軽微な工事とは、建築一式工事に該当する工事、それ以外の工事でとらえ方が違います。
対象の工事が建築一式工事の場合は、「金額が1500万円未満もしくは延床150㎡未満の木造工事」、建築一式工事以外の工事の場合は、「請負金額が500万年未満の工事」が軽微な工事に該当します。建築一式工事であると判断し500万円を超える工事を受注したのに、実際には内装工事に該当する工事だった場合は業法違反にあたります。後から問題にならないよう、リフォーム工事に関する内容は事前にきちんと精査しましょう。
軽微な工事であるかどうかの基準は、金額である場合がほとんどです。ただし注意が必要なのはこの金額の考え方で、含めるべき費用を含めずにちょっとした変更だと判断し、無許可で施工して建設業法違反をしてしまう場合があります。建設業法違反をしないよう、次の内容についてしっかり確認することが必要です。
- 工事請負金額は、消費税込みで500万円・1500万円未満であるか
- 分割受注している場合、その分割受注分も含めた金額で判断しているか
- 追加工事があった場合、その追加工事の費用も含めて金額を判断しているか
- 資材の支給があった場合、その資材の価格を市場価格で加算しているか
軽微な工事だからとあいまいに計算せず、きちんとした金額を出した上で工事を請け負えるかどうかを判断してください。
新築やリフォームで500万円を超える工事を請け負う場合の条件とは
500万円以上のリフォーム工事を請け負う場合には、「専門工事」の許可が必要になります。ここでは専門工事とは何か、リフォーム工事の実例を見ながら、必要な建設業許可について解説します。
専門工事に該当する建設業許可が必要
専門工事とは、29種類ある建設業許可のうち、土木一式工事、建築一式工事以外の全ての建設工事のことです。電気工事、内装工事など、請け負う工事によって新たに専門工事の許可を取得しなければならない場合があります。
建設業許可が必要な29業種
建設業許可は、建設工事の種類に応じた建設業許可を工事業種ごとにそれぞれ取得する必要があります。建設業許可の基本業種は、一式工事(2種類)、専門工事(27種類)の、合計29種類に分けられています。
No. | 建設工事 | 内容 |
---|---|---|
1 | 土木一式工事 | 総合的な企画、指導、調整のもと、土木工作物を建設する工事 |
2 | 建築一式工事 | 総合的な企画、指導、調整のもと、建築物を建設する工事 |
3 | 大工工事 | 木材の加工、取付により工作物を築造、または工作物に木製設備を取り付ける工事 |
4 | 左官工事 | 工作物に壁土、モルタル、漆く、プラスター、繊維等をこて塗、吹付、はり付ける工事 |
5 | とび、土木、コンクリート工事 | ①足場の組立、機械器具・建設資材等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立、工作物の解体等を行う工事。 ②くい打ち、くい抜きおよび場所打ぐいを行う工事。 ③土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事。 ④コンクリートにより工作物を築造する工事。 ⑤その他、基礎的もしくは準備的工事 |
6 | 石工事 | 石材の加工、積方により工作物を築造、または工作物に石材を取り付ける工事 |
7 | 屋根工事 | 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事 |
8 | 電気工事 | 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事 |
9 | 管工事 | 冷暖房、空気調和、給排水、衛生などのための設備を設置、または金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事 |
10 | タイル、レンガ、ブロック工事 | れんが、コンクリートブロックなどによる工作物の築造、または工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取り付け、はり付ける工事 |
11 | 鋼構造物工事 | 形鋼、鋼板などの鋼材の加工、組立てによる工作物の築造工事 |
12 | 鉄筋工事 | 棒鋼などの鋼材を加工、接合、組立て工事 |
13 | 舗装工事 | 道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等によるほ装工事 |
14 | しゅんせつ工事 | 河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事 |
15 | 板金工事 | 金属薄板等を加工して工作物に取付け、または工作物に金属製等の付属物を取り付ける工事 |
16 | ガラス工事 | 工作物にガラスを加工して取り付ける工事 |
17 | 塗装工事 | 塗料、塗材等を工作物に吹き付け、塗り付け、はり付ける工事 |
18 | 防水工事 | アスファルト、モルタル、シーリング材等によって建築系の防水を行う工事 |
19 | 内装仕上工事 | 木材、石膏ボード、吸音板、壁、紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて構築物の内装仕上工事 |
20 | 機械器具設置工事 | 機械器具の組立などにより工作物を建設、または工作物に機械器具を取り付ける工事 |
21 | 熱絶縁工事 | 工作物、工作物の設備を熱絶縁する工事 |
22 | 電気通信工事 | 有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備の設置工事 |
23 | 造園工事 | 整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等による庭園、公園等の苑地の築造、道路、建築物の屋上等の緑化、植生の復元工事 |
24 | さく井工事 | さく井機械等を用いてさく孔、さく井工事、これらの工事に伴う揚水設備設置等の工事 |
25 | 建具工事 | 工作物に木製、金属製の建具等を取り付ける工事 |
26 | 水道施設工事 | 上水道、工業用水道等の取水、浄水、配水等の施設の築造工事、公共下水道、流域下水道の処理設備の設置工事 |
27 | 消防施設工事 | 火災警報設備、消火設備、避難設備、消火活動に必要な設備の設置、または工作物に取り付ける工事 |
28 | 清掃施設工事 | し尿処理施設、ごみ処理施設の設置工事 |
29 | 解体工事 | 解体工事 |
建設業許可の重要性と関係法令
建設業許可は、「建築業法」に基づいて行われるもので、建設業界の信頼性を高めるための重要な要素です。建築業許可を取得することで社会的信用が向上し、大規模なプロジェクトや公共事業にも参加できるようになり、企業の競争力が高まります。
建築業法では許可を取得せずに一定規模以上の建設工事を行うことが禁止されており、無許可で工事を行うと、罰金や営業停止といった罰則が科されることがあります。
建設業許可が必要な専門工事とリフォーム内容
ここからは、よくあるリフォーム工事の6つの例をもとに、建設業許可が必要な専門工事とリフォーム内容について説明します。
増改築リフォーム工事
住宅などの建築物の増築、減築のリフォーム工事は、建造物の床面積が変更になるので、建物構造の耐震強度などを総合的に判断する必要があります。そのため、必要な建設業許可は、「建築一式工事」に該当します。
内装リフォーム工事
内装リフォーム・リノベーション工事は、構造体はそのまま、建物の間取りを変えたり壁紙や床材を張り替えたり、畳やふすまなどの内装を改修・補修する工事です。
他にも、電気配線工事や塗装などさまざまな付帯工事も含まれますが、内装リフォーム・リノベーション工事の主たる工事は内装工事に該当するため、必要な建設業許可は「内装仕上工事」になります。
バス・トイレ・キッチンなどの水廻りのリフォーム工事
浴室のリフォームは、ユニットバスを設置するだけのユニット式工事の場合、ユニットを固定する工事が主な工事なので、「とび・土木・コンクリート工事」に分類されます。
一方、ユニット式以外の浴室の場合に必要な建設業許可の業種は、「内装工事」や「防水工事」、「タイル工事」など、工事の内容に該当する許可がそれぞれ必要です。
キッチン全体のリフォームとシステムキッチンの設置のみの工事とでは、浴室のリフォーム工事と同様該当する業種が違います。システムキッチン設置工事のみの場合はキッチンユニットを固定することが主な工事なので、該当する業種は、「とび・土工・コンクリート工事」です。
床材をビニールタイルからフローリングにしたり、収納棚の取り付けや照明の交換をしたり、キッチン全体のリフォームの場合は「内装工事」や「塗装工事」、「大工工事」などに該当します。
屋根リフォーム工事
屋根リフォーム工事は、瓦、スレート及び金属薄板などで屋根をふきますが、これらを統括して屋根ふき工事と呼びます。したがって、板金を使った屋根工事も板金工事には該当しません。
また、屋根の断熱工事も、断熱処理を施した材料で屋根をふく工事なので、屋根ふき工事の一部とみなされ、どちらも「屋根工事」に該当します。
屋根一体型太陽光パネルの設置に関しても「屋根工事」に該当します。屋根一体型ではなく、太陽光発電設備の設置工事のみの場合は、「電気工事」となります。
外壁の塗装を含むリフォーム工事
外壁の塗装を含むリフォーム工事の場合、主たる工事は塗装や「防水工事」です。外壁にガルバリウム鋼板を使用する場合は、該当する業種は「板金工事」になります。
外構壁を解体して新たに設置する場合には、「とび・土工・コンクリート工事」や「レンガブロック工事」などに当たる場合もあるので、工事内容ごとに確認が必要です。
エクステリアのリフォーム工事
エクステリアのリフォーム工事とは、外構工事を言います。具体的には、外壁や門扉の設置、改装工事などで、この場合「とび・土工・コンクリート工事」に該当します。庭に関する工事が加わる場合は、「造園工事」の許可も必要です。
建築一式工事の建設業許可があれば新築・リフォームは可能か?
「建築一式工事の許可」を取得していれば、リフォーム工事を請け負っても問題ないのでしょうか。そもそも建築一式工事とは何なのでしょうか。
建築業許可において建築一式工事とは、「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」のことを言います。
例えば家の新築工事の場合には、大工工事や内装工事、電気工事などいろいろな分野の専門工事を行います。いろいろな分野の専門工事を行う専門工事業者を統括して、施主と請負契約を締結する元受け業者が必要です。この元請業者が、専門業者を統括するために建築一式工事の建設業許可を取得していなければならいということになります。
建築一式工事以外の専門工事の建設業許可が必要
一般的に建築確認が必要な新築工事、大規模改修工事や増改築などは建築一式工事にあたるため、建築一式工事の建設業許可がなければ工事を請け負えません。
しかし、建築一式工事の建設業許可は、建築一式での工事を請け負うための許可ですので、電気工事など他の建設業許可が必要な工事を請け負うことはできません。専門工事を行う際にはその専門工事の建設業許可を取得する必要があります。
つまり、建築一式工事を取得しているからといって、リフォーム工事を請け負うことはできず、それぞれの建設業許可の取得が必要ということになります。
付帯工事なら可能
先にも述べた通り、内装工事に関連した付帯工事の場合には無許可で工事の請け負い、施工ができるので、住宅リフォーム工事の大半は対応可能になります。
ただし、外壁塗装工事、木工造作工事など、すでに専門分野がはっきりしている場合には、その工事に該当する許可を取得したほうが賢明です。外壁工事の場合は塗装工事、木工造作工事の場合は大工工事の許可に該当します。
まとめ
建築一式工事の建築業許可のみでリフォーム工事を請け負うことは可能です。しかしその場合は軽微な工事であること、500万円未満の工事であることなど建設業法で決められている内容に従わなければなりません。軽微な工事だと請け負ったけれど、後になって建設業法違反を犯していたとなると大問題になる可能性があります。
リフォーム工事は請け負う工事の内容によって専門工事の種類が全く異なります。工事を請け負う際には、どの専門工事の許可が必要かをきちんと確認しましょう。
建築業界の資格取得をお考えの方はぜひCIC日本建設情報センターのホームページを確認してみてください。
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