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特別教育・安全衛生教育・技能講習について解説!現場教育の種類や概要、それぞれの違いも解説
公開日:2024年6月18日 更新日:2024年6月18日
特別教育・安全衛生教育・技能講習について解説!現場教育の種類や概要、それぞれの違いも解説
建設現場や工事現場、工場など直接身体に危険を及ぼす可能性のある職場では、特に従業員の安全を最優先に確保しなければいけません。
そのためには個々人の意識を高めて知識を向上させる必要があります。
従業員一人ひとりが、何が危険でどうすれば自分自身の身を守ることができるのかを知っていれば、最低限の危険を回避することができます。
危険を伴う職場では特別教育の受講が義務づけられていますが「安全衛生教育」「特別教育」「技能講習」など、さまざまな言葉で表現されています。
これらはどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの違いと特徴についてわかりやすく解説いたします。
目次
安全衛生教育とは
安全衛生教育というのは文字通り、安全や衛生について学ぶことを言います。労働者がそれぞれ労働上の安全と衛生に対して意識を高めることができれば、労働環境でのトラブルは減少するでしょう。
安全衛生教育は特に危険な環境である工場や工事現場などの職場、また衛生的であることを求められる食品等を取り扱う職場などで、特別教育が盛んに行われています。
安全衛生教育は具体的には事故の予防や感染予防対策、自身の健康維持を助けるために行うために不可欠です。
労働をする上で非常に役立つ知識を学ぶことができるのも特徴となっています。
また危険な労働環境の職場において、労働者に安全衛生教育を学ばせることは雇用者の責任であり必須です。
特別教育とは
安全衛生教育には6つの種類があります。
- 雇入れ時・作業内容変更時の教育
- 特別教育
- 職長等に対する教育
- 安全管理者等への能力向上教育
- 危険・有害な業務に従事する者に対する安全衛生教育
- 健康教育・健康保持増進措置
特別教育は安全衛生教育のうちの義務として位置づけられています。
労働安全衛生法第59条3項により事業者は、労働者を危険または有害な業務に従事させる場合には安全衛生教育の特別教育を受講させる必要があります。
特別教育の特徴
特別教育は安全衛生教育の一種で、危険な作業や特殊な技術が必要な環境の職場の場合には特別教育を受講しなければいけません。
特別教育を受けなければいけない具体的な特徴は以下となります。
- 危険を伴う作業や有害な業務に従事する労働者
- 就業する前に取得しておく安全衛生の基本的な知識
- 特定の職種・業種に伴う安全衛生の知識と技術
特別教育の受講内容
特別教育の主な受講内容については以下の通りです。
- 労働中の作業の危険性やリスクを知る
- 安全な作業の方法や装具や道具の正しい使用方法
- 事故防止の対策と緊急時の対処
- 労働者の健康・ストレスの管理
特別教育の必要な作業例
特別教育を受講しなければいけない例として、電気工事士と高圧または低圧電気取扱者があります。
電気工事士は国家資格で、電気事業法で定められた電気工事を行うことができます。しかし電気工事は実際には高所や器材の扱い方など、危険な作業が伴う労働です。これは労働安全衛生法に定められた危険な作業に該当するため、特別教育を修了していることが求められます。
特別教育は資格の有無ではなく、危険な作業等や有害な業務を伴う労働を行う作業員の安全を確保するために実施されるものです。危険な作業を特別教育を受講しないまま従事した場合には法令違反となります。
法令に定められた特別教育
特別教育の内容はそれぞれの作業や業務によって違いはありますが、どれもが法令によって定められた内容となっています。
そのため講師は専門店な知識や経験を持つものが行うことになっています。
特別教育の講座は各地で厚生労働省登録講習機関によって開催されており、いつでも受講は可能です。またWeb講座が用意されているところもあり、さらに手軽に受講可能となっています。
試験がなく修了証のみで資格を取得することが可能なものもあり、危険な作業等に従事する労働者は必ず就労前までに取得しておくようにしましょう。
特別教育と安全衛生教育の違い
危険性を伴う作業に従事する労働についての特別教育というのは、安全衛生教育がベースとなっておりその中で取得すべき教育の位置づけとなっています。
安全衛生教育の大きな目的は、労働災害の防止です。
実際に危険な作業を伴う作業を行う個人はまずは自覚することが必要です。その上でそれぞれ身を守る行動をし、より安全に作業を行うという意識を持たなければなりません。
そのためには高度な知識を身につけておくことが大切なのです。
特別教育の内容は安全衛生教育に則ってカリキュラムが組まれています。
特別教育は安全衛生教育の中のひとつであり、安全衛生教育なくしては特別教育は成り立ちません。
特別教育の受講の実施
特別教育を実施する方法は、外部の登録機関を利用する方法と自社で行う方法があります。また外部機関によってはWeb講座の対応しているところがありますので、受講しやすいものを選ぶことができます。
また自社で特別教育を実施する場合、十分な知識と経験を持つ者が自社にいればその者が講師になることができますので外部に依頼しなくても構いません。
特別教育を実施せず従業員に教育をさせないまま危険な作業等に従事させた場合は、6ヶ月以下の懲役または50万円の罰金が科せられる可能性があります。
このように安全衛生に関わった特別教育は法令で定められた重要な教育となっています。従業員の危険に対する認識と意識向上を図り、また機器の安全な使い方などを学びそれぞれに身を守ることを目的としています。
特別教育・技能講習を必ず受講し従業員の安全を確保するようにしましょう。
技能講習とは
特別教育によく似たものに技能講習というものがあります。この2つには似て非なる大きな違いがあります。
従事する労働の内容や環境によって取得を検討しなければいけません。
技能講習と特別教育について解説いたします。
技能講習と特別教育の違い
技能講習と特別教育の違いは、資格が取得出来るか否かにあります。
技能講習は講習を修了すれば国家資格を取得することができますが、特別教育は受講を修了しても資格の取得はできません。
ただ、特別教育は修了証がなければ従事する作業に制限があります。自身がどの仕事をするかによって受講する講座にも違いがあるため注意が必要です。
技能講習は危険な作業や有害な業務において、作業主任者としての役割を担うために取得する講習と就業制限業務に従事する人が受講する講習となっています。
作業主任者には次の技能講習があります。
- 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能講習
- 足場の組立て等作業主任者技能講習
就業制限業務には次の技能講習があります。
- 不整地運搬車運転技能講習
- 玉掛け作業技能講習
まとめ
安全衛生教育や特別教育、技能講習はそれぞれ危険性を伴う作業や有害な業務に従事する者の安全な労働環境を確保することを目的として行われます。
安全衛生教育は労働者全体の安全を確保するための広義の意味で使用されるものです。
特別教育と技能講習はその安全衛生教育の中に包括され、その基本的な概念のもと設定されています。
特別教育も技能講習も労働者の安全が最優先に考えられており、危険な作業や有害な業務に従事する者の意識向上を図ります。
また特別教育は技能講習とは違い資格の取得は出来ないものの、修了しておかなければ労働に従事することができないため必ず受講しなければいけません。