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丸のこ等取扱作業従事者安全衛生教育とは?教育の概要から受講方法まで全解説
公開日:2024年6月24日 更新日:2024年9月10日
丸のこ等取扱作業従事者安全衛生教育とは?教育の概要から受講方法まで全解説
丸のこ等取扱作業従事者安全衛生教育(以下:丸のこ安全衛生教育)は、丸のこやそれに似た工具を業務上使用するすべての作業者に、受講が推奨されている講習です。特別教育ではなく、安全衛生教育というものになりますが、「特別教育とは何が違うのか分からない」という方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、丸のこ安全衛生教育の概要や特別教育の違い、また受講方法などに関して詳しく解説していきます。
目次
丸のこ安全衛生教育とは?
丸のこ安全衛生教育とは、業務上丸のこを使用するすべての方が受講することが推奨されている講習です。
対象となる丸のこは以下のようなものを指します。
- 携帯用丸のこ盤
- 携帯用丸のこ
- 可搬式丸のこ盤
業務上、上記の丸のこを使用される方は、丸のこ安全衛生教育を受講し、丸のこの危険性や事故が起きないようにする対策、さらに点検・整備に関する知識を身に着けることが推奨されています。
丸のこ安全衛生教育に受講義務はない
「安全衛生教育」は「特別教育」に準ずる講習という位置づけです。特別教育のような受講義務は生じませんが、受講することが強く推奨されている講習となります。
安全衛生教育の場合、受講の義務も、事業者に対する「従業員に受講させる義務」もないため、未受講の方が作業に従事したとしても罰則を受けることはありません。
しかし、丸のこはひとつ取り扱いを間違えると、命を落とす危険性もある工具のため、使用する場合は適切な知識が求められます。事業者としては、特別教育と同等であるという意識を持ち、丸のこを使用する可能性があるすべての従業員に受講してもらうべきでしょう。
建築業に限らずすべての業種が対象
丸のこ安全衛生教育は以下のように規定されています。
「建設業等において「携帯用丸のこ盤」を使用する作業に従事する者に対する安全教育の徹底について(平成22年基安発0714第1号)」
この規定だけを見ると、建設業者の従業員のみが受講すればいいようにも感じるかもしれません。しかし、受講すべきは建設業者に限らず、丸のこ及び丸のこと似た形状の切断工具を使用する、すべての業種の方が受講すべきといえます。
受講に関しては業種が限定されていないため、関連業務に従事する方は、できる限り受講すべき講習することをおすすめします。
丸のこ等取扱作業に関する事故事例
実施に丸のこがどのくらい危険なのかという点を、実例を踏まえて紹介していきたいと思います。
事例1. 携帯用丸のこが反発し作業者が死亡
河川の護岸工事現場にて、測量用の杭を作成するため、角材を携帯丸のこで切断していた作業員が、丸のこが反発したことにより被災しました。作業員は病院に搬送されるも死亡が確認されています。
事故は、丸のこに取り付けられていた安全カバーが変形しており、安全カバーの役割を果たしていなかったことにより発生しました。作業前に安全点検、および丸のこの整備を正しく行っていれば防げた事故となります。
事例2. 電動丸のこ盤が跳ねて作業員が死亡
作業現場において、グルーシートを抑えるための杭を作成するために、角材を電動丸のこ盤で切断していた作業員が、電動丸のこが突然跳ねた勢いで右太ももに刃が接触した事故です。作業員は病院に搬送されるも、出血多量で死亡しています。
この事故のケースでも、やはり電動丸のこ盤の安全カバーが正常に作動しなかったことが原因です。上の例と同じように、使用前の点検や整備が正しく行われていれば、防げる事故であったといえるでしょう。
上の2つの事例を見ても分かる通り、丸のこはひとつ間違えば命を落とすことになる危険な工具です。特に丸のこ使用時に発生する「キックバック」という現象が事故につながりやすく、上記の2例もキックバックの発生による事故といえます。
キックバックとは、丸のこの刃が切断している木材に挟まることで、丸のこの刃が進行方向と逆方向に向かって跳ねる現象です。このキックバックを抑えるために安全カバーが取り付けられていますが、安全カバーが正常に作動しないと、上記のような大事故に繋がる可能性があります。
丸のこを取り扱う際には、丸のこの構造を知り、また整備や点検の知識を身に着けることが非常に重要です。
丸のこ安全衛生教育の概要
丸のこ安全衛生教育には、学科科目と実技科目があります。それぞれの科目で受講する科目と、受講時間に関して解説していきましょう。
受講科目 | 受講時間 | |
---|---|---|
学科 | 丸のこ等に関する知識 | 30分 |
丸のこ等を使用する作業に関する知識 | 1時間30分 | |
安全な作業方法に関する知識 | 30分 | |
丸のこ等の点検及び整備に関する知識 | 30分 | |
関係法令 | 30分 | |
実技 | 丸のこ等の正しい取扱い方法 | 30分 |
合計 | 4時間 |
丸のこ安全衛生教育では、学科科目が5科目、実技科目を1科目受講します。学科科目では丸のこの基本的な構造や、作業に関する知識はもちろん、事故を防止するための知識や、点検・整備について学びます。
実技科目は実際に丸のこを使った講義を受講し、すべて科目を受講すれば修了です。特に受講後の試験等はありません。
受講時間に関しては、上記の表内の時間は「最低限受講すべき時間」となっています。丸のこ安全衛生教育で重要なのは、受講時間ではなく、受講した科目の知識が身についていることが重要です。
そのため、最低受講時間として設定されており、必要であれば、上記の時間以上をかけて、確実に知識が身につくようにしなければいけません。
丸のこ安全衛生教育の受講方法
丸のこ安全衛生教育の代表的な受講方法は以下の2つとなります。それぞれの受講方法に関して、メリット・デメリットを踏まえた上で解説していきましょう。
外部団体の講習会に参加する
丸のこ安全衛生教育は、企業や団体が、全国各地で講習会を開催しています。この講習会に参加することで受講が可能です。
外部の講習会に参加するメリットは、事業者側は参加の申し込みを行うだけであり、手間がかからない点が挙げられます。また、専門講師が実技科目までしっかり教えてくれますので、質の高い講義が受講できるのもメリットといえるでしょう。
デメリットは、毎日必ず開催されているというわけではないという点が挙げられます。受講のスケジュールを事業場の都合で決められませんので、場合によっては業務に支障をきたす可能性があります。
また、自社の近隣で必ず実施されているというものでもないというのもデメリットでしょう。丸のこ安全衛生教育は、合計受講時間が4時間(以上)ですので、原則1日で修了できる講習です。しかし、講習会の会場が遠方の場合、往復の移動時間を含めると、場合によっては1日以上の時間がかかるケースがあります。
必要以上に時間がかかる上、受講は原則業務時間内となりますので、移動費用の負担などもあります。そのため費用面でも負担がかかることも考えなければいけません。
Web(オンライン)講座を受講する
丸のこ安全衛生教育は自社内でWeb(オンライン)講座することも可能です。
Web(オンライン)講座のメリットは、自社のタイミングで、自社の都合に合わせて受講できることが挙げられます。自社の業務が忙しいタイミングを避け、業務に余裕があるタイミングでの受講が可能ですので、効率よく受講することができます。
また、移動時間を考慮する必要がないため、確実に1日で修了できる点や、費用は受講料のみでそれ以上かかることはほぼないという点もメリットといえるでしょう。
デメリットは実技科目に関してです。Web(オンライン)講座では実技科目は受講できませんので、実技科目に関しては自社内で講師を選任して実施する必要があります。講師に関しては、丸のこに関する正しい知識を持っている方であれば選任できますので、自社内で該当する従業員を講師に選任すれば実技科目も実施可能です。
メリットとデメリットを含めて考えると、丸のこ安全衛生教育はWeb(オンライン)講座で受講するのがおすすめです。
丸のこ安全衛生教育のWeb(オンライン)講座を選ぶ際のポイント
丸のこ安全衛生教育のWeb(オンライン)講座は、多くの団体や企業が提供しています。その中からどの講座を受講するか選ぶ場合のポイントを解説していきます。
選ぶ際のポイントは、以下の通りです。
- 実技科目に対するサポートがあるか
- 修了証が発行されるか
- 講習に関しての実績があるか
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
ポイント1. 実技科目に対するサポートがあるか
まず、注目すべきは実技科目に対するサポートです。丸のこ安全衛生教育は、学科科目のみでは修了とはなりませんので、実技科目を受講しなければいけません。
たとえば、学科科目だけに対応して実技科目のサポートがなければ、丸のこを取り扱う安全衛生教育を完全に受講したとはなりませんよね。実技科目までサポートを受けて現場で必要な知識・技術を身につけたいはずです。
受講機関を選ぶ際は、実技科目に関してどのようなサポートがあるのかに注目しましょう。
ポイント2. 修了証が発行されるか
続いてのポイントは、修了証に関してです。安全衛生教育には修了証発行の義務はありません。
講座によっては、修了証が発行されないケースも考えられます。ただし、外部の講習会の場合、講習を開催した団体や企業から修了証が発行されるのが一般的です。
作業現場で丸のこを使用する際、現場監督等から安全教育の受講に関して聞かれるケースも想定されます。その際、事業場に連絡し、事業場で受講した記録を提示すれば問題ありませんが、手間がかかりますよね。
そのため、修了証はないよりあった方が便利です。修了証の発行があるかどうか、またどのような形の修了証となるのかを確認しておきましょう。
ポイント3.講習に関しての実績があるか
安全衛生教育の講習に関してどれだけ実績があるかもポイントの1つです。実績のない機関だと、受講する際に不安を伴います。
特にWeb講座の場合、「オンラインでも必要な知識が身につくの?」「動画で出てくる講師は信頼できる人?」などの疑問を抱くかもしれません。ほかにも、聞いたことのない機関の講座を受講した結果、必要な知識が身につかなかったなんてことも考えられます。
丸のこ安全衛生教育を含め、講習に関して多くの実績があれば安心して受講できます。講習機関の実績に関してもあわせてご確認ください。
CIC日本建設情報センターの丸のこ安全衛生教育
CIC日本建設情報センターでは、丸のこ安全衛生教育のWeb(オンライン)講座を提供しています。その講座の特徴やおすすめポイントを紹介していきましょう。
受講生個々にアカウントを作成
CIC日本建設情報センターでは、受講生個々にアカウントを作成しています。そのため受講生が個々に受講することが可能です。受講生もいろいろな業務に従事しているかと思います。それぞれが自身の業務の合間の時間で受講することで、業務に影響することなく、かつ効率的に受講ができるシステムになっています。
また、受講はパソコンに限らずタブレットやスマホでも受講可能ですので、いつでもどこでも受講できるのも特徴です。
顔認証システムで受講確認
Web(オンライン)講座の問題点として、講師がついていないという問題があります。講師がいないために受講生がきちんと受講しているかどうかを確認することが難しいという点は問題です。
CIC日本建設情報センターのWeb(オンライン)講座では、顔認証システムを採用しています。講義動画を再生中は常に顔認証システムが作動し、受講者が画面の前にいないと判断した場合は自動的に講義動画が停止するようになっています。
実技教育のサポート動画
Web(オンライン)講座における大きな問題となる実技科目に関しては、サポート動画の提供を行っています。実技科目をどのように進めるか、どのようなポイントが重要かなどが動画になっていますので、講師役の従業員を選任するだけで、スムーズに実技科目が実施できるでしょう。
受講後には修了証を発行
Web(オンライン)講座の講義を受講修了すれば、修了証の発行が可能になります。修了証には2パターンあり、無料で即発行できるPDF版の修了証と、有料になりますが携帯可能なカードタイプの修了証が発行可能です。
修了証に関しては、学科科目の修了証ということになりますが、裏面には実技科目を修了したことを記入できる部分が設けられており、自社内で実技科目を修了したら、その旨を記載することで、修了証として活用できるようになります。
丸のこ安全衛生教育に関するよくある質問
ここでは、丸のこ安全衛生教育に関するよくある質問をまとめました。
Q. 丸のこ安全衛生教育で実技科目はありますか?
丸のこ等の正しい取り扱い方法を学ぶため、0.5時間(30分)の実技が含まれています。
Q. 草刈り機・チェーンソーは、この講習に当てはまりますか?
草刈り機・チェーンソーは丸のこ安全衛生教育に該当しません。「刈払機取扱作業者安全衛生教育」が該当します。
Q. 丸のこ安全衛生教育は本当に受講が必要なの?
厳密には安全衛生教育なので「特別教育」と違い受講義務がありません。ただし、丸のこは危険な工具で、正しい使用方法を知らなければ労働災害につながる恐れがあります。
そのため、丸のこ等取扱い作業従事者教育は受講が強く推奨されています。自分・周囲の方の安全を守るためにも、安全衛生教育を受講してください。
まとめ
丸のこ安全衛生教育は、特別教育に準ずる講習であり、受講義務はありません。しかし丸のこに関する労災事故は多く、中には命を落とすような重大事故も発生しています。こうした事故を避けるためにも、特別教育と同等の講習という意識を持ち、より多くの従業員に受講させるべき講習と言えます。
受講方法は2つの方法が考えられますが、よりメリットが大きく、デメリットが小さいのがWeb(オンライン)講座による受講です。特にCIC日本建設情報センターのWeb(オンライン)講座であれば、ほぼデメリットはなくなりますのでおすすめです。
CIC日本建設情報センターの丸のこ安全衛生教育Web講座の利用をぜひご検討ください。