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クレーン等業務従事者の安全衛生教育とは?内容や重要性について解説
公開日:2024年7月17日 更新日:2024年7月17日
クレーン等業務従事者の安全衛生教育とは?内容や重要性について解説
クレーン車の操作をする者として、安全衛生教育の内容を知りたい方もいるでしょう。荷役作業中の事故を防ぐには、専門知識の勉強が欠かせません。そこで安全衛生教育の内容を知り、実際に受講すれば、事故を防ぐポイントがわかります。今回は、クレーン等業務従事者の安全衛生教育について、大まかな内容を解説します。これを読めば、講座の内容と重要性がわかるでしょう。
目次
クレーンの安全衛生教育の重要性
建設現場でクレーンを使うとき、いつ事故が起きるかわかりません。労働災害を防ぐために、クレーンの安全衛生教育が重要です。ここでは、法的根拠や事故の事例などを踏まえつつ、教育の意義について解説します。
クレーンの労働災害を防がなければならない
建設現場でクレーンを使う場合、労働災害の予防が欠かせません。全国でクレーンの転倒事故や、作業員のケガなどが起きているからです。事故を未然に防ぐため、安全衛生教育の社会的意義は大きいといえます。
建設現場での事故を防ぐには、さまざまな場面で安全対策が求められます。重機の転倒や吊り荷の落下などを防ぐため、クレーンの作業従事者は、専門知識を学ばなければいけません。専門知識が不十分だと事故のリスクが高まるのです。こうしたリスクを防ぐ意味でも、クレーン従事者向けの安全衛生教育は重要といえます。
安全衛生教育の法的根拠
クレーン等業務従事者の安全衛生教育の法的根拠は、労働安全衛生法第60条の2にあります。それによると事業者は安全衛生の水準を上げるため、危険または有害な業務の従事者に対し、安全衛生教育を受けさせる決まりです。
クレーンを使った作業では、吊り荷の落下や機材の転倒などの危険が伴います。リスクを最小限に抑えるため、建設系企業の事業者は、作業者に安全衛生教育を受けさせなければなりません。労働安全衛生法でクレーンの作業者は、安全衛生に関する専門知識の学習が必要です。事前の勉強が事故の予防につながります。以上からクレーン作業に携わる方は、現場で作業をする前に、十分な知識を備えなければなりません。
労働災害の実際の事例
クレーンのある作業現場では、さまざまな労働災害のリスクがあります。全国ではクレーン車の転倒事故がたびたび起きています。たとえば、積み込みや荷下ろしの作業中にジブを伸ばしたところ、クレーンの転倒事故にいたるケースがありました。定格荷重を超える吊り荷が原因で、重機が転倒したこともあります。
ほかにも、ワイヤーロープの損傷で、吊り荷が落下する事故も想定されます。荷振れによって吊り荷が作業員にあたり、ケガを負わせるケースにも注意しなけければなりません。クレーン関連の労働災害には、さまざまなパターンがあります。あらゆる事故を防ぐために、作業者に対する安全衛生教育が欠かせません。
クレーン従事者の安全衛生教育とは
クレーン従事者の安全衛生教育は、教育対象者や教育実施時期が決まっています。従事者によって安全衛生教育の内容が違うため、注意してください。ここでは、教育の概要について解説します。
教育対象者
クレーンの運転や、玉掛け業務などに携わる方が、安全衛生教育を受けるしくみです。たとえば、クレーンの運転中の交通事故だけでなく、作業中の転倒のリスクも抑えなければなりません。玉掛け業務は、クレーンの吊り荷に関する作業を指します。荷物を吊り上げる用具の準備や、用具のフック掛けまたは取り外しなどの作業で、専門知識が求められるのです。
クレーンや玉掛けの業務で、特別教育の必要な業務をする方も、安全衛生教育を受けなければなりません。危険有害な業務に従事する一部の人物も、同様の教育が必要です。教育対象者の内容を調べ、自身が安全衛生教育を必要とするか確かめておきましょう。
教育実施時期
クレーンの安全衛生教育は、原則としておおむね5年ごとに行われます。一度安全衛生教育を受けた後でも、5年経てば同様の教育を受けなければなりません。一度学んだ知識を忘れたことで、安全への配慮がおろそかになり、事故につながるケースもあります。安全に関する知識は、繰り返しの学習が欠かせません。
安全衛生教育には随時教育のルールもあります。たとえば、クレーンの関連設備や操作方法が変わった場合、随時の学び直しが必要です。人的ミスによる労働災害が起きた場合も、随時教育が適用されます。
クレーンの安全衛生教育では、以下に当てはまる場合も、随時教育に準ずる教育が必要です。
- 資格取得からおおむね3年を超え、初めて特定業務につく方
- 特定業務から離れて5年超が経ち、再び特定業務につく方
クレーンの安全衛生教育はおおむね5年ごとが原則である一方、状況次第では、作業者が随時の教育を受けなければなりません。
クレーンに関する安全衛生教育には3種類ある
クレーンの安全衛生教育は、以下の3種類に分かれます。
- クレーン運転業務従事者への教育
- 移動式クレーン運転業務従事者への教育
- 玉掛け業務従事者への教育
たとえば、クレーン運転業務従事者への教育は、クレーン運転士や床上操作式クレーン運転技能講習修了者などが対象です。移動式クレーンの運転技能講習の修了者や、実際に運転している方は、移動式クレーン運転業務従事者向けの教育を受けなければなりません。
玉掛け技能講習修了者は、玉掛け業務従事者向けの教育を受けるしくみです。作業内容によって、安全衛生教育の内容が変わります。
クレーン従事者安全衛生教育の内容
クレーン従事者向けの安全衛生教育について、カリキュラムを事前に知っておきましょう。修了証交付のしくみとともに、詳細を解説します。
教育カリキュラム
カリキュラムの合計受講時間は、大抵の場合6時間です。ただし、講座の提供者によっては、受講時間が異なることもあります。科目や範囲などの例を、以下の表で見ていきましょう。
科目 | 受講時間 | 範囲 | 細目 |
---|---|---|---|
最近のクレーンと安全装置 | 2時間 | 構造と制御機構 | ・機種別の動向
・制御方式と制御機構の動向 |
安全装置等 | ・安全装置等の種類や機能、特性 | ||
クレーンの取り扱いと保守管理 | 2.5時間 | 操作方法 | ・操作上の一般的留意事項
・作業ごとの操作方法 |
作業計画 | ・作業計画と作業手順
・作業計画に応じた安全上の留意事項 |
||
点検・整備 | ・作業開始前等の点検
・定期自主検査 ・点検結果に基づく措置 |
||
災害事例及び関係法令 | 1.5時間 | 災害事例と防止対策 | ・クレーンの災害発生状況
・災害の原因や対策、事例研究 |
労働安全衛生法令のクレーン関連条項 | ・労働安全衛生法とその施行令
・クレーン等安全規則 |
修了証の交付等
カリキュラムの受講をひととおり終えると、安全衛生教育の修了証が交付されます。修了証の発効義務はないものの、実施記録は各事業者による3年間の保存が推奨されているしくみです。従って事業者は教育修了者名簿を作り、保管することが大事です。修了者の把握は、クレーン作業時の適切な人員配置に欠かせません。
CICのWeb受講についてご紹介
CIC日本建設情報センターでは、クレーン作業に関する安全衛生教育について、Webで受講できます。該当する講座は以下のとおりです。
講座名 | 受講時間 | 受講料(税込) |
---|---|---|
クレーンの運転の業務に係る特別教育 | 約9.5時間 | 13,200円 |
玉掛けの業務に係る特別教育 | 約5.5時間 | 11,000円 |
玉掛け業務従業者安全衛生教育 | 約5時間 | 11,000円 |
このように、クレーンや玉掛け業務従事者向けとして、安全衛生教育や特別教育を提供しています。Web受講ができるため、自宅や事業所から動画で授業を受けられるしくみです。そのため、従来の対面講座より、手軽に受講できます。気になる方は、CICのWeb受講を検討してください。
まとめ
クレーン作業では事故を防ぐため、多方面への安全対策が重要です。そのため、一部従事者は、安全衛生教育を受けなければなりません。受講により安全確保の知識を得られ、事故を防ぎながら作業できます。安全衛生教育の一部はWeb受講が可能です。クレーン作業で重要な業務をする方は、自分や他人の身を守るため、定期的に安全衛生教育を受けてください。