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有機溶剤一覧に含まれる物質とは?有機溶剤を扱うには安全衛生教育が必要
公開日:2024年8月28日 更新日:2024年8月28日
有機溶剤一覧に含まれる物質とは?有機溶剤を扱うには安全衛生教育が必要
有機溶剤は塗装、洗浄、印刷などの作業で幅広く使用されているものです。有機溶剤は呼吸器や皮膚から体内に入り悪影響を与えるので扱いには注意が必要であり、それゆえに有機溶剤を扱う作業者には安全衛生教育が必要です。
この記事では有機溶剤一覧に含まれる物質と、有機溶剤を扱う作業者に必要な安全衛生教育について説明します。
目次
有機溶剤とは
有機溶剤とは他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称です。有機溶剤は塗装・洗浄・印刷・接着・化学製品の製造などの作業で使われます。
有機溶剤は常温では液体ですが揮発性が高く蒸気になりやすいのが特徴です。さらに、油脂に溶ける性質もあります。こうした特徴があるので、有機溶剤は作業者の呼吸器や皮膚から人体に侵入する危険性があります。
有機溶剤一覧に含まれる物質
労働安全衛生法施行令の別表第6の2には有機溶剤一覧が記載されています。有機溶剤一覧に含まれる物質は以下の通りです。
- アセトン
- イソブチルアルコール
- イソプロピルアルコール
- イソペンチルアルコール(別名イソアミルアルコール)
- エチルエーテル
- エチレングリコールモノエチルエーテル(別名セロソルブ)
- エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名セロソルブアセテート)
- エチレングリコールモノ―ノルマル―ブチルエーテル(別名ブチルセロソルブ)
- エチレングリコールモノメチルエーテル(別名メチルセロソルブ)
- オルト―ジクロルベンゼン
- キシレン
- クレゾール
- クロルベンゼン
- 酢酸イソブチル
- 酢酸イソプロピル
- 酢酸イソペンチル(別名酢酸イソアミル)
- 酢酸エチル
- 酢酸ノルマル―ブチル
- 酢酸ノルマル―プロピル
- 酢酸ノルマル―ペンチル(別名酢酸ノルマル―アミル)
- 酢酸メチル
- シクロヘキサノール
- シクロヘキサノン
- 1,2―ジクロルエチレン(別名二塩化アセチレン)
- N・N―ジメチルホルムアミド
- テトラヒドロフラン
- 1,1,1―トリクロルエタン
- トルエン
- 二硫化炭素
- ノルマルヘキサン
- 1―ブタノール
- 2―ブタノール
- メタノール
- メチルエチルケトン
- メチルシクロヘキサノール
- メチルシクロヘキサノン
- メチル―ノルマル―ブチルケトン
- ガソリン
- コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む。)
- 石油エーテル
- 石油ナフサ
- 石油ベンジン
- テレビン油
- ミネラルスピリツト(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリツト、ホワイトスピリツト及びミネラルターペンを含む。)
- 前各号に掲げる物のみから成る混合物
参照:e-GOV法令検索
有機溶剤業務とは
有機溶剤を扱う業務の代表的な例は次の通りです。
- 有機溶剤等の製造工程における有機溶剤等のろ過、混合、攪拌、加熱、または容器や設備への注入
- 染料・医薬品・農薬・ゴムなどの製造もしくは中間体を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、攪拌、加熱
- 有機溶剤含有物を使って行われる印刷
- 有機溶剤含有物を使って行われる文字の書き込みや描画
- 有機溶剤等を使って行われるつや出し、防水加工
- 有機溶剤等を使う接着
- 有機溶剤を使う洗浄や払拭
- 有機溶剤含有物を使って行う塗装
- 有機溶剤等は付着しているものの乾燥
- 有機溶剤等を使って行われる試験や研究
- 有機溶剤等を入れたことがあるタンク内部での業務
有機溶剤等とは、有機溶剤または有機溶剤含有物(有機溶剤と有機溶剤以外の物との混合物で、有機溶剤の含有率が5%を超えるもの)のことです。
有機溶剤一覧に含まれる54種類の有機溶剤、もしくは有機溶剤含有物を使って行われる業務は、有機溶剤中毒予防規則の対象となります。
有機溶剤一覧に含まれる物質の危険性
有機溶剤は揮発性が高く、油脂に溶けやすい性質があるので、取り扱いに注意しなければ有機溶剤が呼吸器や皮膚から体内に侵入し急性中毒を起こす危険性があります。
さらに、水に溶けにくい性質もあるので、体内に侵入しても尿と一緒に体外に排出されにくく、成分が神経や脳に影響し慢性中毒(蓄毒性)にも注意しなければなりません。
有機溶剤の慢性中毒症状
有機溶剤の慢性中毒症状は次の通りです。
- 頭痛
- めまい
- 疲労感
- イライラ
- 食欲不振
- 倦怠感
- 視力低下
- 有機溶剤の臭いをかぐと症状が回復する
有機溶剤一覧に含まれる物質は注意して扱わなければ、こうした慢性中毒の症状を引き起こす可能性があります。
有機溶剤業務従事者安全衛生教育が必要
有機溶剤一覧に含まれる物質を使う業務は健康被害が生じる可能性が高いです。したがって、有機溶剤を扱う事業者は従業員に安全衛生教育を実施することが推奨されています。
有機溶剤の使用による健康被害を予防するには、有機溶剤の性質や毒性を学ぶことが必要です。こうした目的のため、事業者は労働安全衛生法に基づき有機溶剤を取り扱う労働者に対し有機溶剤業務従事者安全衛生教育を実施する責任があります。
有機溶剤業務従事者安全衛生教育とは
有機溶剤業務従事者安全衛生教育のカリキュラムは以下の通りです。
科目 | 内容 | 時間 |
---|---|---|
有機溶剤による疾病および健康管理 | 有機溶剤の種類およびその性状 有機溶剤の使用される業務 有機溶剤による健康障害、その予防方法および応急措置 |
1時間 |
作業環境管理 | 有機溶剤蒸気の発散防止対策の種類およびその概要 有機溶剤蒸気の発散防止対策にかかる設備および換気のための設備の保守、点検の方法 作業環境の状態の把握 有機溶剤に係る事項の掲示、有機溶剤の区分の表示 有機溶剤の貯蔵及び空容器の処理 |
2時間 |
保護具の使用方法 | 保護具の種類、性能、使用方法および保守管理 | 1時間 |
関係布令 | 労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則および有機溶剤中毒予防規則(これに基づく告示を含む。)中の関係条項 | 0.5時間 |
合計 | 4.5時間 |
有機溶剤業務従事者安全衛生教育を受ける方法
有機溶剤業務従事者安全衛生教育を受ける方法としては次の3つがあります。
- 講習会
- 出張講習
- オンライン講習
それぞれの受講方法について具体的な内容を説明します。
講習会
有機溶剤業務従事者安全衛生教育は、安全衛生教育を実施できる登録教習機関が開催している講習会で受講可能です。講習会に参加するには、講習会が開催される日時に予定を調整し会場まで足を運ぶ必要があります。
出張講習
有機溶剤業務従事者安全衛生教育は出張講習で受けることも可能です。出張講習とは事業者が登録教習機関に講師の派遣を依頼し、自社の会議室などで講習を開いてもらう形式を指します。
自社で講習会を開くので仕事の予定に合わせて講習のスケジュールを組むことができるので従業員も参加しやすいのが特徴です。
オンライン講習
有機溶剤業務従事者安全衛生教育はオンライン講習での受講ができます。オンライン講習はネット環境と端末があれば講習を受けることが可能です。
スケジュールや場所の関係で講習会・出張講習で有機溶剤業務従事者安全衛生教育を受けるのが難しいという方にはオンライン講習をおすすめします。
おすすめはオンライン講習
有機溶剤業務従事者安全衛生教育は講習会・出張講習・オンライン講習のどれかで受講できます。この中でおすすめの方法はオンライン講習です。
オンライン講習はネット環境さえあれば時間や場所に関係なく受講することができます。講習会や出張講習が開催される日程に合わせて仕事やプライベートの予定を調整する必要はありません。
講習会の開催地が職場や自宅から遠い場合は交通費や宿泊費が必要です。オンライン講習なら交通費や宿泊費はかかりません。
講義動画は繰り返し視聴できるので、理解できるまで勉強することが可能です。
なお、CIC日本建設情報センターでは有機溶剤作業主任者能力向上教育を開講しています。この講座は有機溶剤作業主任者講習を修了後おおむね5年経過した方が、有機溶剤作業主任者としての能力向上を図るため労働災害の動向や新たな知識などを学ぶためのものです。
まとめ
この記事では有機溶剤一覧に含まれる物質、有機溶剤は中毒を引き起こす可能性があるので有機溶剤を扱う事業者は従業員に安全衛生教育を実施する必要があることを紹介しました。
CIC日本建設情報センターでは有機溶剤業務従事者安全衛生教育のオンライン講座を提供しています。有機溶剤を業務に使う事業所で従業員に安全衛生教育を実施したい方はぜひオンライン講座を活用してください。