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作業主任者の設置が義務付けられている業務内容一覧
公開日:2024年8月23日 更新日:2024年8月23日
作業主任者の設置が義務付けられている業務内容一覧
労働災害の危険性が高い作業現場では、労働災害の発生を防止するために、作業主任者という役職者を設置しなければいけません。
この作業主任者は、どのような作業現場で選任しなければいけないのか、選任するための要件とは何か、選任された作業主任者が負う職務に関してなど、詳しく説明していきます。
目次
作業主任者とは?
作業主任者とは、労働災害を防止する必要がある特定の作業現場において、設置が義務付けられている役職者です。これは労働安全衛生法第14条において規定されています。
事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
事業者は政令で定められた業務を行う場合、必ず選任しなければいけません。
特定の作業現場で選任が義務付けられている
作業主任者の設置が義務付けられている作業現場は、労働安全衛生法施行令第6条で指定されています。
詳しくは後の項で紹介しますが、基準となるのは労働災害の危険性が高い作業現場、また労働災害による健康被害等が甚大になると想定される作業現場であり、今後も増えていく可能性があります。
また、作業主任者は設置するだけではなく、その存在や作業主任者が定めた事項を作業員全員に周知徹底させなければいけません。作業員全員の目の届く場所に作業主任者の指名や定めた事項を掲示するなどの対策が求められます。
また、作業主任者自身が腕章を着ける、他の作業員とは違う帽子やヘルメットを着用するなど、分かりやすくしておくことが求められます。
作業主任者に選任されるための要件がある
作業主任者は労働災害の危険性が高い作業現場で、直接的に指示、指導を行う立場となりますので、単に経験がある者を選任すればいいとはなりません。
作業主任者に選任されるためには、その業務で求められる資格を取得する必要があります。
作業主任者一覧
作業主任者の設置が義務付けられている作業現場をまとめて紹介していきましょう。同時に作業主任者として選任されるために必要な要件も掲載します。
作業主任者名称 | 要件 |
---|---|
高圧室内作業主任者 | 免許の取得 |
ガス溶接作業主任者 | 免許の取得 |
林業架線作業主任者 | 免許の取得 |
ボイラー取扱作業主任者 | 免許の取得 |
エックス線作業主任者 | 免許の取得 |
ガンマ線透過写真撮影作業主任者 | 免許の取得 |
木材加工用機械作業主任者 | 技能講習の修了 |
プレス機械作業主任者 | 技能講習の修了 |
乾燥設備作業主任者 | 技能講習の修了 |
コンクリート破砕器作業主任者 | 技能講習の修了 |
地山の掘削及び土止め支保工作業主任者 | 技能講習の修了 |
ずい道等の掘削等作業主任者 | 技能講習の修了 |
ずい道等の覆工作業主任者 | 技能講習の修了 |
採石のための掘削作業主任者 | 技能講習の修了 |
はい作業主任者 | 技能講習の修了 |
船内荷役作業主任者 | 技能講習の修了 |
型枠支保工組立て等作業主任者 | 技能講習の修了 |
足場の組立て等作業主任者 | 技能講習の修了 |
建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者 | 技能講習の修了 |
鋼橋架設等作業主任者 | 技能講習の修了 |
木造建築物の組立て等作業主任者 | 技能講習の修了 |
コンクリート造の工作物の解体等作業主任者 | 技能講習の修了 |
コンクリート橋架設等作業主任者 | 技能講習の修了 |
第一種圧力容器取扱作業主任者 | 技能講習の修了 |
特定化学物質作業主任者 | 技能講習の修了 |
鉛作業主任者 | 技能講習の修了 |
四アルキル鉛等作業主任者 | 技能講習の修了 |
酸素欠乏危険作業主任者(第1種) | 技能講習の修了 |
酸素欠乏危険作業主任者(第2種) | 技能講習の修了 |
有機溶剤作業主任者 | 技能講習の修了 |
石綿作業主任者 | 技能講習の修了 |
金属アーク溶接等作業主任者 | 技能講習の修了 |
指定される業務の範囲はそれぞれ定められていますが、詳細に関しては厚生労働省のHP等で確認するようにしてください。
一部免許の取得が必要になる作業もありますが、大半は技能講習の修了が条件といえます。両者の違いですが、大きな違いは取得方法と難易度といえるでしょう。
免許とは、国家試験に合格して取得できる資格です。そのため試験難易度もやや高く、しっかりと対策を練って受験する必要があります。一方技能講習とは、登録された講習機関による講習を受講修了するものです。
習得する内容に関して、しっかりと講習が行われますので、免許の取得と比較すれば取得難易度は低いといえるでしょう。国家試験を受験する免許に関してはイメージしやすいかと思いますが、技能講習に関しては、イメージがしにくいかと思いますので、ここからは技能講習に関して詳しく解説していきます。
技能講習とは?
技能講習には大きく分けて2つのタイプが存在します。
1つ目が作業主任者に選任されるための技能講習です。ほかの作業員と比較して、その業務に関してより深い知識を持ち、適切に労働災害の発生防止のための取り組み、また、発生してしまった場合の対処について学ぶ講習です。具体的には「石綿作業主任者技能講習」などはこちらのタイプに該当します。
もうひとつのタイプが「就業制限に関する技能講習」です。技能講習を受講し修了することで、より広範な業務に従事できるようになる講習です。一例を挙げると「高所作業車の運転・操作」に関する技能講習があります。
高所作業車の特別教育を修了すると、作業床の高さが10m未満の作業のみ従事可能であり、10m以上の高さの作業車を操作できるのは、技能講習を修了した方のみです。このように、該当する業務の制限に関する技能講習も存在します。
作業主任者に選任されるために受講必須の講習
作業主任者に選任されるための技能講習は、誰でも実施できるわけではありません。講習を実施できるのは、各都道府県の労働局長に登録を行っている機関や団体に限られています。
登録機関・団体等が、定期的に実施している技能講習に参加して修了する形が一般的です。
講習終了後に認定試験に合格する必要がある
技能講習の大きなポイントとしては、講習を受講するだけでは修了とはならない点が挙げられます。どの技能講習も、受講後にその講習内容に関する認定試験が実施され、この試験に合格して初めて修了できる形になります。
認定試験自体はそこまで難易度が高いものではありませんので、講習をしっかり受講すること、また、分かりやすい講義を行う団体で受講することで、高確率で合格を目指せるでしょう。
【技能講習 一例】石綿作業主任者技能講習
技能講習をより分かりやすく説明するために、一例として石綿作業主任者技能講習の概要を解説していきます。
受講科目 | 受講時間 |
---|---|
作業環境の改善方法に関する知識 | 4時間 |
保護具に関する知識 | 2時間 |
健康障害及びその予防借置に関する知識 | 2時間 |
関係法令 | 2時間 |
受講時間合計 | 10時間 |
石綿作業主任者技能講習の受講科目と科目ごとの受講時間は上記の通りです。技能講習の受講は就業時間内が原則です。受講時間の合計が10時間となり、1日の就業時間では受講しきれないため、2日がかりでの受講という形になります。講習受講後には認定試験を受験することになります。多くの場合は、講習の受講と認定試験はセットになっており、受講直後に受験という形になるでしょう。
作業主任者の職務
作業主任者に選任された方が、実際に作業現場で行う職務について簡単に紹介します。
- 作業の直接指揮
- 使用する機械等の点検
- 機械等に異常を認めたときの必要な措置
- 安全装置等の使用状況の監視
作業主任者は、直接その業務に従事するというより、作業に当たる方全員の作業ルールを策定し、労働災害が発生しないような準備、指導が職務の中心となります。また、万が一労働災害が発生してしまった場合の迅速な対応も求められる職務の一つといえるでしょう。
まとめ
労働災害が発生する可能性が高いとされる特定の作業現場においては、作業主任者の選任は義務です。作業主任者に選任できるのは、指定された免許を取得している方か、技能講習を修了している方に限られます。この技能講習は、都道府県の労働局長に登録している機関しか実施できません。
受講を検討されている方や事業者の方は、CIC日本建設情報センターのような、登録機関の講習の利用を検討しましょう。