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クレーンの玉掛け作業に資格は必要?玉掛け特別教育と技能講習について解説
公開日:2024年7月31日 更新日:2024年7月31日
クレーンの玉掛け作業に資格は必要?玉掛け特別教育と技能講習について解説
クレーンの玉掛け作業はとても危険です。扱うには高い知識と技術が必要になりますが、その資格を取得するにはどうすればいいのでしょうか。
クレーンの玉掛け作業とはどういったものか、また資格を取得するための「玉掛け特別教育」と「玉掛け技能講習」の受講方法について解説いたします。
目次
クレーンの玉掛け作業とは?
クレーンの玉掛け作業とは、工事や建設現場などで使われているクレーンのフック部分に、荷を掛けたり外したりする作業のことです。
玉掛け作業は重い荷物を扱うことが多くて大変危険な作業のため、誤った作業をすれば人命に関わる重大な事故に至る可能性があります。安全を確保するには、作業をする者に高い専門知識と技術が必要です。
また作業場では併せてクレーンの操作を行う必要があり、安全でスムーズな作業にはクレーンオペレーターとの柔軟なコミュニケーションも求められます。
そのためにはクレーンの特徴などの把握もしておかなければなりません。
玉掛けはクレーンのフックに荷を掛けたり外したりする作業
玉掛け作業の流れは、まずクレーンに吊るす荷にロープやスリングなどを安全に掛けることからはじまります。この時、途中で外れたりしないようロープをかける位置は慎重に決めることが大切です。
次にクレーンのフックに荷を掛けるためにクレーンを呼びます。バランス良くクレーンのフックの中心に荷を吊り下げます。
この時も、ロープなどのねじれがないか細心の注意を払わなければなりません。
しっかりと安全が確認できたらクレーンを持ち上げるように合図をし、30cmほど持ち上げたところで再度確認。
問題がなければクレーンオペレーターが巻き上げを行います。
クレーンオペレーターとペアでする作業
クレーンオペレーターとは、クレーンを操縦する人のことです。玉掛けの作業員は、クレーンのフックに荷物を掛けてからクレーンの操縦者に合図を送ります。その合図によってクレーンオペレーターはクレーンを操縦します。
このようにクレーンオペレーターと玉掛け作業員は、息を合わせてペアで作業をすることが求められます。安全かつスムーズに任務を遂行するためには、とても大事なコミュニケーションです。
クレーンの玉掛け作業に資格は必要?
クレーンの玉掛け作業を行うには「玉掛け特別教育」または「玉掛け技能講習」の受講が必要です。「玉掛け特別教育」と「玉掛け技能講習」の違いは、扱う吊り上げ荷の重さによります。
吊り上げ荷重が1トン未満の場合は「玉掛け特別教育」を受講します。吊り上げ荷重が1トン以上の場合には「玉掛け技能講習」の受講が必要です。
この二つの講習の受講は義務化されてますので、玉掛け作業に関わる作業員は全員受講しなければなりません。講習を受講することで資格を得られますので、クレーンの玉掛け作業に従事する人は吊り上げ荷重にかかわらず必ず受講しましょう。
1トン未満なら「玉掛け特別教育」の受講が必要
吊り上げ荷重が1トン未満の場合は「玉掛け特別教育」の受講が必要です。学科科目と実技科目からなる講習を受講すればよく、試験を受験する必要はありません。玉掛け作業を行う予定の方は、必ずこの講座の受講をするようにしましょう。
受講するだけで資格を取得することができますが、知識をしっかりとつけて、現場ではより安全な作業を心がけるようにします。
1トン以上は「玉掛け技能講習」の受講が必要
吊り上げ荷重が1トン以上の場合は「玉掛け技能講習」の受講が必要となります。取得している資格や実務経験によって受講すべき時間数に違いがあり、最大で19時間の講習の受講が必要です。
受講後には学科試験と実務試験を受験しなければならず、合格すれば資格を取得することができます。
玉掛け特別教育・玉掛け技能講習について
クレーンの玉掛け作業をするには、作業員は必ず「玉掛け特別教育」または「玉掛け技能講習」の受講が必要です。これらの講習は、作業員が現場で安全かつ効率良く作業を行うために、事業者に課せられた義務となっています。
事業者がこれらの義務を怠った場合には罰金等のペナルティが科せられますので、注意が必要です。しかし何より従業員の安全を心がけることが先決であることを忘れてはいけません。
「玉掛け特別教育」の詳細
吊り上げ荷重が1トン未満の「玉掛け特別教育」の受験資格は、満18歳以上です。「玉掛け特別教育」は、学科科目と実技科目からなる講習で、通常は2日間かけて行われます。
学科科目のカリキュラムは以下の通りです。
科目 | 受講時間 |
---|---|
クレーン等の知識 | 1.0 |
力学の知識(玉掛け) | 1.0 |
玉掛けを行う方法 | 2.0 |
関係法令 | 1.0 |
合計 | 5.0 |
実務教育のカリキュラムは以下の通りです。
科目 | 受講時間 |
---|---|
玉掛けの作業 | 3.0 |
合図の方法(クレーンの運転) | 1.0 |
合計 | 4.0 |
「玉掛け技能講習」の詳細
吊り上げ荷重1トン以上の「玉掛け技能講習」の受験資格は、満18歳以上です。さらにA、B二つのコースの内、Bコース対象者は以下の様々なクレーン関連の資格を有している必要があります。
- 移動式クレーン運転士免許
- クレーン・デリック運転士免許
- 揚貨装置運転士免許
- 床上操作式クレーン運転技能講習
- 小型移動式クレーン運転技能講習
「玉掛け技能講習」は学科科目と実技科目からなる講習で、通常は3日間かけて行われ、それぞれ終了時に試験があります。
AとBのコースによって受験科目に違いがあり、さらにBコースは、保有している資格により免除される科目があります。
1、2日目の学科科目のカリキュラムは以下の通りです。
科目 | 受講時間 |
---|---|
クレーン等の知識 | 1.0 |
玉掛けの方法 | 7.0 |
力学の知識(玉掛け) | 3.0(Bコースは免除) |
関係法令 | 1.0 |
学科修了試験 | 規定時間 |
合図の方法(クレーンの運転) | 1.0(Bコースは免除) |
合計 | 13.0+試験時間 |
3日目の実技科目のカリキュラムは以下の通りです。
科目 | 受講時間 |
---|---|
玉掛けの作業 | 6.0 |
実技修了試験 | 規定時間 |
合計 | 6.0+試験時間 |
「玉掛け特別教育」と「玉掛け技能講習」の難易度
「玉掛け特別教育」と「玉掛け技能講習」の講習の取得率は、いずれも90%以上といわれています。「玉掛け特別教育」は試験はありませんので、講習を受講するだけで1トン未満の玉掛け作業に従事することができます。
「玉掛け技能講習」は受講後に学科と実技の試験があり、合格する必要がありますが、講座をしっかりと聞いておけばそれほど難しくはありません。どちらも難易度は低いので安心です。
玉掛けの資格と一緒にクレーン免許の取得もおすすめ
玉掛けの作業を行うには資格の取得が求められますが、単体で取得するよりもクレーン免許もあれば、もっと活躍の場は広がります。玉掛けの作業はクレーンオペレーターとの息の合ったコミュニケーションが不可欠であり、そのためにはお互いの作業について深い理解が必要です。
より安全で安心な環境を確立させるためにも、玉掛けと一緒にクレーン免許の資格取得をおすすめします。クレーンの種類によって必要な免許や資格に違いがあるので、事前に確認しておくことが必要です。
クレーン免許・資格の種類
クレーン免許・資格の種類は次の通りです。
- クレーン・デリック運転士免許(限定なし)
- クレーン・デリック運転士免許(床上運転式限定)
- 移動式クレーン運転士免許
- 揚貨装置運転士免許
- 小型移動式クレーン運転技能講習
- 床上操作式クレーン運転技能講習
- クレーン運転(5トン未満)特別教育
クレーン免許のメリット
クレーンの免許を取得すれば、クレーンの仕組みや動きをより深く理解することができます。そうすれば玉掛け作業もよりスムーズに理屈を理解しながら連携を図れるため、お互い安心して作業が行えるのです。
また玉掛け以外の資格を積極的に取得すれば、活躍する幅も広がります。クレーンの種類は多いですが、それほど難しくもないことから、比較的取得しやすい資格となっています。
まとめ
玉掛けは危険と隣り合わせの作業です。作業自体は単純ですが、少しでも油断をすれば大きな事故へと繋がりかねません。
だからこそ常に慎重に行うことはもちろん、クレーンの仕組みや吊り上げ荷のバランスの取り方など、ひとつひとつの作業を丁寧に行うことが大事なのです。
作業員の安全を最優先に考え、また自らの身を守ることを自覚させるためにも「玉掛け特別教育」と「玉掛け技能講習」は必要な教育だと言えるでしょう。
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