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2024年新設のアーク溶接技能講習とは?特別教育との違いも解説
公開日:2024年7月22日 更新日:2024年9月13日
2024年新設のアーク溶接技能講習とは?特別教育との違いも解説
空気中のアーク放電の力を利用し、金属同士を溶接する技術がアーク溶接です。アーク溶接の作業現場には、必ずアーク溶接作業主任者(特定化学物質作業主任者)の選任が必要です。
このアーク溶接作業主任者の選任要件が、2024年1月1日に改正されました。この改正に合わせて新たに誕生したのが、「金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習(以下:アーク溶接技能講習)」という講習です。
この記事では、新たに誕生したアーク溶接技能講習の内容や、受講方法などに関して解説していきます。
目次
アーク溶接作業主任者の選任要件が変更に!
アーク溶接を行う現場には、必ずアーク溶接作業主任者を選任する必要があります。アーク溶接作業主任者の選任に関して、2024年1月1日から選任要件に変更がありましたので、そのあたりから説明していきましょう。
2024年1月1日から施行された新しい技能講習
アーク溶接の作業現場では、これまで「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了した者から「特定化学物質作業主任者」を選任する必要がありました。この「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」は、12時間の受講と認定試験の合格という条件があります。
講習時間が12時間ということは、最低でも資格取得まで2日間が必要です。作業主任者となる方は、そもそも経験豊富な従業員であり、こうした経験豊富な従業員が、2日間作業現場を離れなければいけないというのは、各事業場にとっても大きなマイナスと言えます。
アーク溶接の現場は数が多く、上記の講習を受講し作業主任者の資格を持った方をそれぞれの現場に設置するのが難しいという声がありました。その声に答える形で「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」から、アーク溶接にかかわる部分だけを抜粋した、「金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習」が誕生したわけです。
アーク溶接の作業主任者として選任されるためには、これまでより受講時間が短くなった、アーク溶接技能講習の修了が条件となりましたので、より取得しやすくなったといえるでしょう。
もちろん従来通り、「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了した方でも、特定化学物質作業主任者としてアーク溶接作業主任者の業務を行うことは可能です。
アーク溶接技能講習と特別教育の違い
アーク溶接に関しては、ここで紹介する技能講習のほかに、特別教育というものも存在します。技能講習と特別教育の違いに関して解説していきましょう。
取得難易度の違い
特別教育と技能講習の大きな違いは、取得難易度です。どちらも、アーク溶接の業務にかかわる大事な講習ですが、特別教育は指定の講習を受講し、修了することで資格が得られます。一方技能講習は、指定の講習を受講し修了した後、認定試験を受験し合格する必要があります。
認定試験の有無が、取得難易度の違いです。
取得後できることの違い
特別教育で得た資格と、技能講習で得た資格では、取得後作業現場でできることにも違いがあります。
特別教育とは、その業務に携わるすべての作業員に受講義務がある講習です。特別教育を受講して得られる資格は、その特定の業務に就くという資格に限られます。つまりアーク溶接特別教育を修了すれば、アーク溶接の業務に就けるということです。
一方、技能講習を修了した方は、アーク溶接の作業現場において作業主任者に選任される条件を満たすことができます。
そのため取得することで、現場の作業員としてだけでなく、現場責任者へのステップアップに期待できます。
アーク溶接技能講習とは?
アーク溶接技能講習は、2024年1月1日に誕生した新しい技能講習です。そんなアーク溶接技能講習の概要や、受講方法に関して解説していきましょう。
アーク溶接技能講習の概要
まずはアーク溶接技能講習の具体的な内容を確認しておきましょう。
受講科目 | 受講時間 |
---|---|
作業環境の改善方法に関する知識 | 2時間 |
保護具に関する知識 | 2時間 |
健康障害及びその予防借置に関する知識 | 1時間 |
関係法令 | 1時間 |
合計受講時間 | 6時間 |
アーク溶接技能講習は、学科4科目を合計6時間以上受講することで修了できます。実施されるのは学科科目だけであり、実技科目はありません。また、受講時間は法律上合計6時間とされていますが、厳密に言えば6時間以上となります。上の表で紹介している授業時間では、その内容を十分に理解できない場合、上記以上の時間を受講しなければいけません。
講習として単に指定された時間を消化するのが目的ではなく、各科目の内容を十分に理解することが目的となっています。
上記の6時間以上の講習を受講したのち、認定試験が実施されます。認定試験は制限時間1時間のマークシート方式です。一般的には講習受講直後に受験しますので、合格率の高い試験と言われています。しっかりと講習を受講していれば、まず落ちることはない試験ですので、何より講習をしっかり受講するようにしましょう。
アーク溶接技能講習の受講方法
特別教育に関しては、オンライン(Web)講座の受講でも修了できるケースが多くあります。しかし、講習受講後に認定試験が必要な技能講習の場合、オンラインでの資格取得は難しくなります。
アーク溶接技能講習は、外部団体や企業が実施する講習会に参加する形が一般的です。講習会の後には、そのまま認定試験を受験するケースが多く、多くの講習会は1日で完結すことになります。
また、アーク溶接技能講習は、まだ誕生してからの日が浅い技能講習です。2024年7月現在、アーク溶接技能講習を実施している団体や企業はまだ少ないという特徴もあります。従業員に受講をさせる場合は、まずは自社近隣で講習が行われているかどうかを確認することから始めましょう。
アーク溶接技能講習はCIC日本建設情報センターで
CIC日本建設情報センターでは、アーク溶接技能講習を実施しています。CIC日本建設情報センターは、東京労働局、大阪労働局で登録を受けている「登録講習機関」であり、アーク溶接技能講習を実施することが可能です。
CIC日本建設情報センターでは、定期的にアーク溶接技能講習を実施しており、カリキュラムは1日で完結できるように設定しています。もちろん講習後にはそのまま認定試験も実施し、合格者には当日その場で修了証の発行も行っています。
まとめ
この記事では、アーク溶接技能講習に関して解説してきました。
これまでは、アーク溶接作業主任者に選任されるためには、「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」の修了が必要でした。しかし、この講習は12時間と長く、資格取得のためには最低2日間受講する必要があります。そこで、上記の講習からアーク溶接にかかわる部分だけを抜粋し、受講時間を半分の6時間に短縮したものが、アーク溶接技能講習です。アーク溶接技能講習であれば、1日で完結できるため、より取得しやすくなったといえるでしょう。
2024年7月現在、まだ誕生して日の浅い技能講習のため、実施している機関が少ないというい問題がありますが、CIC日本建設情報センターでは、定期的にアーク溶接技能講習を実施しています。
アーク溶接作業主任者の選任が必要な事業者様は、まずはCIC日本建設情報センターが実施するアーク溶接技能講習の受講を検討してみてください。