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振動工具取扱作業者安全衛生教育の概要とおすすめ受講方法
公開日:2024年6月24日 更新日:2024年9月18日
振動工具取扱作業者安全衛生教育の概要とおすすめ受講方法
振動工具取扱作業者安全衛生教育(以下:振動工具安全教育)は、振動工具を業務上使用するすべての作業員に受講が推奨されている安全衛生教育です。安全衛生教育とは特別教育に準ずる講習であり、受講義務こそないものの、受講が推奨されています。
振動工具安全教育の概要や、おすすめの受講方法に関して解説していきましょう。
目次
振動工具安全教育とは?
振動工具安全教育とは、チェーンソーや芝刈り機を除いた振動工具を業務上使用する方が受講となる安全衛生教育の1つです。振動工具にはさまざまな種類があり、建築現場を中心に多くの業種を対象とした安全衛生教育となります。
特別教育に準ずる講習
振動工具安全教育は「安全衛生教育」であり、「特別教育」ではありません。特別教育は、その業務に従事するすべての方に受講義務が発生する講習ですが、安全衛生教育には受講義務はありません。
しかし多くの業種の方で、振動工具を取り扱う業務に従事する方には受講が推奨されています。安全教育を受講せず、知識がないまま振動工具を使用すると、健康被害や周囲・自分の怪我などにつながる恐れがあります。被害を避けるためにも、事業者は積極的に受講させるべき講習といえるでしょう。
振動工具取扱作業者の資格が取得できる
振動工具安全教育を受講し修了すると、振動工具取扱作業者の資格が取得できます。
資格を取得することで、振動工具を正しく使用し、振動による健康被害に関する正しい知識を持っていることを証明ができます。結果として、企業での自分の付加価値を今よりも高められるでしょう。
対象となる工具や作業
以下の表は、振動工具安全教育の対象となる振動工具をまとめたものです。
工具の種類 | 主な工具 |
---|---|
ピストンによる打撃機構を有する工具 | さく岩機 チッピングハンマー リベッティングハンマー コーキングハンマー ハンドハンマー ベビーハンマー コンクリートブレーカー スケーリングハンマー サンドランマー ピックハンマー 多針タガネ オートケレン 電動ハンマー |
内燃機関を内蔵する工具(可搬式のもの) | エンジンカッター ブッシュクリーナー |
携帯用皮はぎ機等の回転工具 | 携帯用皮はぎ機 サンダー バイブレーションドリル |
携帯用タイタンパー等の振動体内蔵工具 | 携帯用タイタンパー コンクリートバイブレーター |
携帯用研削盤、スイング研削盤その他手で保持し、又は支えて操作する型式の研削盤(使用する研削といしの直径が150mmを超えるものに限る。) | |
卓上用研削盤又は床上用研削盤(使用するといしの直径が150mmを超えるものに限る。) | |
締付工具 | インパクトレンチ |
往復動工具 | バイブレーションシャー ジグソー |
振動工具には数多くの種類があり、これらを使う業種が振動工具安全教育の対象となります。主な業種は、建設業、解体業、採石作業、森林業、鉄道の保守安全作業などさまざまです。さらに製造業などでも振動工具を使用する場合は受講が推奨されています。
労働災害の実態からみる振動工具取扱作業者の必要性
振動工具安全教育の受講が推奨されている理由は、振動工具による労働災害の数が多いことが大きな要因です。ここから、振動工具によってどのような労働災害、健康被害が出るのか確認しつつ、取扱作業者の必要性をみていきましょう。
振動工具による振動障害が多数報告されている
振動工具を長時間使用していると、振動障害と呼ばれる健康被害を受ける可能性があります。以下の表は、厚生労働省が令和4年度に公表した「業務上疾病の労災補償状況調査結果」から、各年度における振動障害の労災補償状況をまとめたものです。(令和5年9月現在における最新情報となります。)
項目 | 平成30年度 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 |
---|---|---|---|---|---|
林業 | 24 | 24 | 27 | 22 | 24 |
鉱業(採石業を除く) | 31 | 34 | 24 | 15 | 5 |
採石業 | 8 | 4 | 4 | 4 | 3 |
建設業(土木業を除く) | 137 | 150 | 146 | 121 | 128 |
製造業 | 30 | 33 | 32 | 30 | 43 |
その他 | 51 | 40 | 36 | 29 | 17 |
合計 | 281 | 285 | 269 | 221 | 220 |
出典:厚生労働省|業務上疾病の労災補償状況調査結果(全国計)
表をみると、例年一定の割合で振動による労働災害が生じていることがわかります。「自分は大丈夫」と慢心せず、自分と周囲の人間の安全を守るためにも、労働安全衛生教育は受講したほうがよいでしょう。
振動障害の種類と症状
「振動工具による振動障害には何があるの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。
以下の表は、振動障害による症状をまとめたものです。
振動障害 | 症状 |
---|---|
末梢循環障害 | 手指など末梢部分の血の循環が悪くなってしまう症状です。血の循環が悪くなるため、手指が白く変色し、手指の冷えや痺れ、痛みといった症状を発し、これをレイノー現象と呼びます。一般的にレイノー現象は15分程度で治まりますが、治まらない場合は理学療法など、長期間の治療が必要です。 |
末梢神経障害 | 手指など末梢部分の神経に異常が発生する障害です。症状は痛みや痺れ、さらに症状が悪化すると、知覚が鈍ったり、手指の細かな動きができなくなるといった症状も現れます。手指にある末梢神経は、振動工具の影響を受けやすく、症状によっては外科的な治療が必要なケースもあり危険です。 |
運動器障害 | 振動工具の振動により、手や肘の関節や骨に影響がでるのが運動器障害です。症状が進むと骨が変形したり、変形した骨により神経が圧迫され、手指の動きが悪くなったりするなどの重篤な症状を発症するケースもあります。 |
表をみると、振動障害による症状は1つだけでないことがわかります。こうした健康被害に遭わないためには、安全教育を通して振動工具による影響や振動工具に関する知識を身につけることが必要です。
振動工具安全教育の概要
ここからは、振動工具安全教育の概要や、受講科目、受講時間に関して解説していきます。振動工具安全教育で実施されるのは学科科目の受講のみです。受講科目と受講時間は以下をご覧ください。
受講科目 | 受講時間 |
---|---|
振動工具に関する知識 | 1時間以上 |
振動障害及びその予防に関する知識 | 2時間30分以上 |
関係法令 | 30分以上 |
合計 | 4時間以上 |
受講科目は3科目で、合計受講時間は4時間以上に設定されています。受講時間に関しては、上の表の時間が最低限受講すべき時間です。必要であれば上記以上の時間を受講し、講義内容をしっかりと理解することが求められています。
振動工具安全教育の受講方法
振動工具安全教育の受講方法は2つです。どちらの方法で受講しても、しっかりと講義内容を理解できていれば、受講を修了できます。それぞれの方法の特徴やメリット・デメリットに関してみていきましょう。
外部の講習会に参加する
振動工具安全教育は、受講が推奨される業種が多いため、日本全国で講習会が開催されています。こういった講習会を受講することで振動安全教育は修了可能です。
外部の講習会に参加するメリットは、専門講師の講義をライブで受講できることです。外部の講習会では、専門講師が分かりやすい講義を行ってくれます。また、講師によるライブの講義となりますので、もし不明点があれば質問してその場で解決することも可能です。
デメリットは、自社の近隣に講習会場があるとは限らないということです。振動工具安全教育は全国の団体や企業が講習会を開催していますが、企業によっては講習会場までが遠く、時間や費用がかかるというケースがあります。
また、講習会の開催は、実施する団体や企業が開催しているタイミングで受講するしかありません。自社の都合で受講できないのはデメリットといえるでしょう。
Web(オンライン)講座で受講する
振動工具安全教育は、自社内でWeb(オンライン)講座で受講することも可能です。振動工具安全教育のWeb(オンライン)講座を提供している団体や企業は多数あります。
Web(オンライン)講座を受講するメリットは、自社内で自社のタイミングで受講できるという点です。外部講習会に参加する場合、講習会のスケジュールに合わせる必要がありますが、Web(オンライン)講座であれば、好きなタイミングで受講できますので、自社の業務状況を考えたスケジューリングが可能です。
また、費用面でもメリットが考えられます、外部の講習会の場合も、Web(オンライン)講座の場合も、基本的には受講者の人数分の受講費用で受講できますが、外部講習会の場合、そこまでの移動費用の負担も必要です。振動工具安全教育は業務上必要な講習ですので、就業時間内の受講が原則となります。当然移動にかかる経費は会社負担となりますので、この点でもWeb(オンライン)講座の方がメリットがあるといえるでしょう。
デメリットはほぼありませんが、強いて言えばその場に講師がいないという点です。講師がその場にいないため、受講者がきちんと受講しているかどうかの確認が難しくなります。また、講義動画の質が悪い場合は、講義内容が理解できないケースもあるでしょう。こうした場合に質問する相手がいないというのもデメリットです。
CIC日本建設情報センターのWeb講座では、「顔認証システム」を導入しているため、上記のデメリットもクリアしています。詳しくは、次の章を確認ください。
CIC日本建設情報センターの振動工具安全教育
CIC日本建設情報センターでは、振動工具安全教育のWeb(オンライン)講座を提供しています。その特徴を詳しく解説します。
質の高い講義を自社内で受講できる
CIC日本建設情報センターでは、多数の安全衛生教育や特別教育のWeb(オンライン)講座を提供しています。その中で得た講義動画を制作するノウハウを活かしていますので、どなたでも分かりやすい、質の高い講義が特徴です。
講義はもちろん専門講師が行い、振動工具に関する知識をまったくもたない方を対象に講義を行います。講義では丁寧な解説を行っており、受講する中で不明点が出ないような講義になっています。
受講者個々にアカウントを発行
CIC日本建設情報センターでは、受講者個々にアカウントを作成するため、受講者の方の都合に合わせて個々に受講することが可能です。受講者が個々に受講できるため、それぞれが業務の合間などに受講できます。そのため業務への影響も最小限に抑えられますし、効率的に多くの方に受講してもらえるでしょう。
受講確認は顔認証システムで
Web(オンライン)講座で問題となる受講状況の確認ですが、CIC日本建設情報センターでは顔認証システムを採用しています。講義動画を再生している間は、顔認証システムで受講者が画面の前にいるかどうかを確認可能です。画面の前に受講者がいないと判断した時点で、講義動画は自動的に停止しますので、しっかりと受講しないと修了できないシステムになっています。
2パターンの修了証の発行に対応
CIC日本建設情報センターでは、PDFタイプとカードタイプの2パターンの修了証発行に対応しています。振動工具安全教育に修了証の発行義務はありませんが、もし修了の確認をされた場合にでもすぐに対応できるため、修了証はあった方が安心です。PDFをスマホに入れ、さらにカードタイプを携帯していればどのような状況でも修了を証明できるでしょう。
まとめ
振動工具安全教育は、特別教育に準ずる講習であり、受講義務はありません。しかし、振動工具による健康被害は、深刻なケースもありますし、なにより振動工具の取り扱いを間違えて大きなケガをしてしまう可能性もあります。事業者は、特別教育同様に重要な講習であると考え、より多くの従業員の方に受講してもらうことがおすすめです。
振動工具安全教育の受講方法は2種類ですが、よりメリットが大きく、デメリットが少ないのは、自社内でWeb(オンライン)講座を受講してもらう方法です。
振動工具安全教育のWeb(オンライン)講座に興味のある方は、CIC日本建設情報センターのご利用をぜひご検討ください。